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![]() ![]() ![]() エネループ/パナループ(緑パナ) 性能試験 三洋、松下から相次いでニッケル水素電池の新型が発売されました。 従来の充電池のマイナス面を改善した新電池。 果たして新電池の性能は? ※ 一部文章を加筆しました (8/26)
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SANYOから発売された「繰り返し使える、使い捨てない電池、eneloop」は果たして乾電池の代わりに使えるのか?
ニカド電池・ニッケル水素電池などの充電して繰り返し使える電池は以前からありました。 TVコマーシャルを見ているとまるで「使い捨てない電池が世界で初めて開発された」かのような誤解を消費者に与える内容でJAROに電話したくなるのは私だけでは無いはずです。 まーそれはおいといて。 eneloopの優れた点は「自己放電が非常に少ない」「メモリー効果が非常に少ない」そうです。(「無い」ではなく「非常に少ない」と私は表記します) 細かな説明をすると長くなるので割愛しますが、要するに今までのニッケル水素充電池だと使い方や充電の仕方にいろいろと制約があって一般的では無かったのが、改良を重ねてかなり普通の乾電池のように気軽に使える(充電などで失敗をしない)充電池になったということです。 さて現在(2006/3)発売されている単三型ニッケル水素充電池の最大容量は2700mAhです。 それに対してeneloop(単三型)の容量は2000mAhと少し控えめです。 開発の時点でいろいろとあったらしいのですが、新技術の投入でここまでが現時点での限界のようです。 では、2000mAhという容量で果たしてアルカリ乾電池の代替電池として使えるのでしょうか? 100円ショップアルカリ電池の検証で使用したものと同じ機器でeneloopの性能を実験してみましょう。 eneloopはほかのニッケル水素電池のように「買って最初は充電しないといけない(放電してしまっている)」ことが無いというのも売り文句の1つです。自己放電が非常に少ないので工場出荷時に充電しておけば、半年くらいならわずかな自己放電しかしないために乾電池のように買って封を切ってすぐに使えるというもの。(防災用品にも使えるという触れ込み) 購入直後のeneloopがどれくらいの容量が保持されているのか、またフル充電で電池自体のポテンシャルを最大限に引き出した際との違いはどのくらいあるのかも検証してみましょう。 比較対象として100円ショップランキング一位の「QQショップアルカリ電池」と、もう魅力の無くなった「金パナ」のデータを重ねてあります。 測定結果のグラフです。(グラフの原寸画像は[こちら]をクリック) ![]() どうでしょうか? これはあくまでデジカメ等での1A程度の大電流を流す用途での実験ですので、全ての使用機器で同じ結果となるものではありませんが、この実験ではeneloopは電圧・使用時間の両方でアルカリ電池を越える結果となりました。 電子機器での終止電圧2Vまでの時間では、アルカリ電池(QQブランド品)より約20〜30分長くなっています。 アナログ的な機器での使用終了時間は数分の差ですのであまり声高に高性能とは言えませんが、Ni-MH系の充電池の特徴である終止前まで高電圧を安定して供給できる特徴があらわれていて乾電池より強いパワーを続けて出せることがうかがえます。 この実験の目的である「アルカリ乾電池の代替になるのか?」という点については2000mAhの容量でも十分にその目的を果たせそうです。 乾電池仕様に設計されていて消費電流の少ない機器ではニッケル水素電池のような充電池では電圧不足で使用できないものもありますが、それ以外では十分に乾電池の代わりに使えるのではないでしょうか。
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パナソニックから発売されたHHR−3MPS、三洋エネループのように愛称が無いのでここではネット等で自然発生的につけられた「パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)」と呼ぶことにしますが、この松下パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)と三洋エネループの性能を比較してみましょう。
![]() 海外販売ぶんは「INFINIUM(インフィニウム)」という名前が付けられて売られているそうです。 パナループではありません。 [追記ここまで] エネループの容量は2000mAh(min1900mAh)ですが、パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)はmin2000mAhとだけ表記されていて公称容量がどこにも書かれていません。 ニッケル水素電池では設計時の最小容量をmin表記とし、実際にはそれ以上の容量(+100〜200mAh)が実現されているのでその公称容量を電池の性能値として表記するのが一般的です。ここでminしか書かれていないということは、公称容量を書くと何かマズいことでもあるのでしょうか? 単純にmin値で比較すると、エネループの1900mAhより100mAh大きいということになり、公称値は2100mAh程度でしょう。 松下からは公称2100mAhのHHR-3PPSという電池が発売されていました(生産終了)。電池やパッケージに「2100」と書くとこの古い電池と混同してしまいそうなので、あえて2100という数字を使いたくなかったのではないかと想像できますが果たして? 測定結果のグラフです。(グラフの原寸画像は[こちら]をクリック) ![]() 新品開封初回のグラフでは、パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)のほうが最初の電圧の落ち込みが大きいようですが30分経過時ではエネループと変わりなくなっています。製造後購入までの時間放置されてきたわけですから、エネループのグラフでも最初は少し落ち込んでから復活しているのがわかりますので、購入直後の使用では電池が少し寝ているようです。 中盤から後半にかけては、エネループは終了の少し前まで一定の電圧を保っていますが、パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)はゆるやかに電圧が下がっています。 終了までの時間はやはり2000mAhと2100mAhの容量差が出たという感じです。初回・フル充電後のいずれでもパナループ・緑パナ(HHR-3MPS)のほうが長くなっています。 7分目から48分までの約40分間はパナループ・緑パナ(HHR-3MPS)のほうが電圧が高いようです。後半の下がり具合とあわせて見れば、開始から終了まで通して通常のニッケル水素の放電特性とほぼ変わり無い(ゆるやかな下りカーブ)ということになります。 フル充電直後の数分だけミニ四駆のレースで使用するなら三洋エネループ。少しテスト走行等を行ってレース本戦には数分後の状態で使用するのなら松下パナループ・緑パナ(HHR-3MPS)のほうがほんの僅かですが有利ということでしょうか。 ※ 2006年7月から、タミヤ公式レギュではニッケル水素電池の使用が禁止されました
フル充電後のグラフでは、1時間30分までの両者の記録を見る限り、ほとんど差はありません。終了までの時間差も約5分です。(実売価格の差くらい?) 通常の機器で使用するのに両者に実際に体感できるほどのパワー差は現われないと思います。 放電カーブの特性から、エネループの場合は放電末期まで機器の「バッテリー残量メーター」が高い数値を示し続ける場合があります。 「電池メーターが"満"から"中"になってスグに電池切れになった。"少"になったら電池を入れ替えようと思っていたのに突然切れた。」というような報告をされるている方もいらっしゃいます。 確かにエネループの放電特性では高い電圧を長期維持し、最後はストンと落ちてしまう特性になっていますので、電池残量メーターは最後に短時間に落ちてしまいます。 ちょっと今までの充電池と放電カーブが違いますので、残量メーターが付いている機器で使用される方は注意が必要かもしれません。 1A放電特性では似たような成績となりましたが、これらの新電池のうたい文句「自己放電が少ない」に関しては充電後にかなりの時間(1〜6ヶ月)放置して自然に放電させ、同時に測定してどれくらの能力になっているかを調べなければなりません。 松下のパッケージには「6ヶ月後で80%維持」と書かれていますので、それが果たして真実なのか? これは別の実験を行ってみたいですね。 記事掲載: 2006年3月23日 変更更新: 2006年3月30日 変更更新: 2006年8月26日 *** その他、エネループに関するページのご案内 ***
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