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Cycle Energy Blue 性能比較実験
eneloopやHHR-3MPS(緑パナ)と違うの?
3ヶ月放置した後の放電特性 (追加)

※ 3ヶ月自己放電特性グラフを追加しました 2007/9/7

 「サイクルエナジーブルー」(NH-AA)
 2006年末にSonyから発売された初の三洋エネループ(eneloop)のOEM製品です。

 エネループと性能的な違いはあるのでしょうか?
 従来の1Ω定電流放電の他に、500mA/100mAの定電流放電試験も追加して、より詳しく実際の利用場面での電池活用法について解説してゆきます。

 サイクルエナジーブルーだけでなく、エネループやHHR-3MPS(緑パナ)を使用される際の参考になればと思います。


*** その他、エネループに関するページのご案内 ***
 エネループ関係のテスト・評価などの記事一覧はこのページの最後にあります。


 2008/1に「Cycle Energy Blue はSony工場で生産していると三洋電機から回答されました」という投稿を頂きました。
 本記事作成時には「OEM製品」と記載していますが、三洋工場で生産されていない場合はOEM(相手先ブランド生産)ではありませんのでOEM品という表記は正しくありません。
 こちらでは三洋電機には未問い合わせですので、何かのついでに三洋電機から正式な回答を頂くまでは記事はそのままにしておきます。(何かの機会があるかは未定です)

 尚、測定した電池の性能、外観からわかる缶材などはeneloopと変りはありませんので、本記事の性能測定データなど実測値に基づく掲載内容に変更する点はありません。


■ SONY CycleEnergy "Blue"


 2006年末にSonyから「サイクルエナジーブルー」(NH-AA)が発売されました。
 初の三洋eneloopのOEM製品です。

 OEM製品ですので、電気特性はeneloopと違わないとは思いますが、確かめる為に購入しました。

 実物を見ると、ボディ(缶)のデザインや外装フィルムの材質・巻き方まで同じで、単にフィルムの印刷が違うだけだけとわかります。
 昔の三洋の充電池は底に「HR」の刻印がありましたが、eneloopが出た頃から無くなったので見分けがつけにくくなりましたね。

 実際に測定してみたところ、放電性能・充電時にかかる時間や発熱温度などはeneloopとほぼ変わりありませんでした。
 このことからも特に内容を変えた新製品では無いことがうかがえます。

 放電特性については次の項で詳しく掲載します。


■ 100mA/500mA定電流放電テスト(+α)

 サイクルエナジーブルーとエネループの比較をすると同時に、Panasonic HHR-3MPSやアルカリ電池との比較も行います。

 測定には自作「放電器Type-G」と「データロガー(K8047)」を接続しPCでデータ記録を取っています。
  ・100mA 定電流放電
  ・500mA 定電流放電
  ・1Ω定抵抗放電
の3モードで行います。

 サイクルエナジーブルーとエネループの比較をする目的が主ですので、サイクルエナジーブルーとエネループは2本づつ、他は一本をグラフに掲載しています。

※ 実験は2007年1月。室温20度±3度の環境で行っています。
※ 5秒毎に記録したデータを1分毎に平均化した後にグラフを描いています。
※ 測定精度は3V/8bitです。グラフの縦軸は1〜1.5Vレンジですので多少カクカクして見えます。


● 100mA 定電流放電
▼グラフをクリックすると拡大表示

 100mAで定電流放電をしました。
 100mAと言えば小型ラジオ・数灯のLEDライト・小型電子機器での消費電流に近いものです。

 サイクルエナジーブルー二本とエネループ二本の間に特に大きな差は見られません。
 サイクルエナジーブルーは新品購入後に3〜4回放電と充電を繰り返して基礎性能テストを行ったもので、エネループは基礎テストの後に10回程度実際に使用したものです。サイクルエナジーブルーのほうが0.01〜0.02V程度維持電圧が高いようですが、ほぼ新品のサイクルエナジーブルーと少し使用したエネループの差でしょう。

 終止電圧1.0Vまで約19時間半程度使用できました。
 Wiiリモコンは電池2本使用で消費電流が200mWと書かれていますので、平均で70〜80mA程度の消費電流のようです。実機でテストはしていませんがeneloopでは約25〜30時間の使用が可能だと思います。

 アルカリ電池は最初は1.6V程度の高い電圧ですが、時間が進むと共に電圧は下がり、8時間程度で今回テストした充電池の電圧より下がってしまいます。

 ニッケル水素充電池(新電池系)は約1.3V程度の電圧を長時間維持しています。
 最後のほうはニッケル水素充電池の放電特性として急激に電圧が下がりますので、ライト等に使用した場合はアルカリ電池は使い始めから徐々に暗くなり、ニッケル水素電池はある程度まで一定の明るさを維持して最後に急に暗くなります。

 サイクルエナジーブルー等の新電池は特にその傾向が強く、従来のニッケル水素電池より長い時間高い電圧を維持しますが、最後に切れる速度が急になっていますので注意が必要です。

 100mA程度の少ない電流で動く機器ではサイクルエナジーブルー等の新電池は多少の放電特性の違いはありますが、アルカリ電池の代わりに使用しても同じように使えるようです。

 グラフの前半部で見て取れるように、どうしてもアルカリ乾電池の高い電圧が必要な機器ではニッケル水素充電池では電圧が足りずに正常に動かない機器もありますので、お使いの機器が充電池に対応しているかよく調べてから使用しましょう。
 そういう機器ではアルカリ乾電池を使用した際も高い電圧を維持している間しか動作しませんので動作時間はこのグラフより短くなります。
● 500mA 定電流放電
▼グラフをクリックすると拡大表示

 500mAと言うと、一般的な電球式の懐中電灯(0.5A球使用)と同じくらいです。

 終止電圧1.0Vまで約3時間半程度使用できました。

 アルカリ電池では約2時間半程度ですので、300〜500mA程度の消費電流からはサイクルエナジーブルー等のニッケル水素電池のほうがより長時間・高電圧で使用できることがわかります。

 犬の散歩などで毎夜ライトを持ち歩くような場合は使い捨てのアルカリ電池より、ニッケル水素充電池を使用したほうがより長時間明るく使用でき、電池を買い換える手間と費用が助かります。
 仕事で毎日数時間ライトや数百mA程度電流を消費する機器を使用する場合は充電池はかなり有効ですね。(よく使う場合はエネループより2500mAhタイプ等のほうが最適です)

 非常用・災害用に用意しておく懐中電灯の場合、乾電池は使用推奨期限が5年ありますので用意してから数年は交換しなくても良いですが、充電池の場合は放置しておくと自己放電してしまい、いざ使いたいときには電気が無くて使えません。
 サイクルエナジーブルー等の新電池のうたい文句は「6ヶ月後に××%以上残っている」という事ですので、半年〜1年くらい放置してもライトを点灯させることができそうですが、1年以上も放置したままだとかなり放電してしまっていて本来使いたい使用維持時間よりかなり少ない時間しか使用できないのは間違いありません。

 長期間使用しない用途で保管する場合でも、半年に一度くらいは充電しておきましょう。
● 1Ω定抵抗放電
▼グラフをクリックすると拡大表示

 強力なモーターを回す用途(電池式ドリル・工具/ミニ四駆ほか)や、強力ライト等での使用に近い電流での放電です。

 100mA/500mAでの放電では放電器の電流制限機能を使用して「定電流」で放電していますが、この1Ω放電テストでは電流制限ではなく1Ωの抵抗器のみで電流を制限して流しています。
 電池の電圧が下がると流れる電流も下がってゆく(パワーが弱くなる)モーターや電球等の負荷で使用する場合に近い放電グラフとなります。

 これくらいの大電流になるとアルカリ電池よりニッケル水素充電池のほうがたいへん適していることがわかります。

 但し、大電流機器では単2電池や単1電池を使用する機器が多く、実際に単3アルカリ電池を使用するものは少ないと思います。
 単1や単2アルカリでは単3アルカリの数倍のパワーがありますので、使用電流にもよりますが単2アルカリと単3サイクルエナジーブルー等で同程度、単一アルカリと比べるとサイクルエナジーブルー等では容量不足で十分な利用ができない場合があります。
 単3電池を単1や単2に変換するアダプターも売られていますが、大電流用途の場合は単3電池を形だけ変換してもパワー不足で機器が正常に動作しないか、動作時間が短くなってしまうことには注意しましよう。


■ 自己放電特性は?

 今回は実使用に於ける「性能」として放電特性を調べてみましたが、新電池の有効性の1つ「自己放電に強い」についてはどうでしょうか?
 放電特性から見て中身はそのままエネループですので、前に測定したエネループの保存特性(キープ実験)と変わりは無いと思いますが、いつか時間が取れればサイクルエナジーブルーについても放置実験を行ってみたいと思います。

● 3ヶ月放置後 [ここより 2007/9/7 追加]

 eneloopでは一ヶ月の自己放電テストは行っていましたので、サイクルエナジーブルー3ヶ月間放置してみました。

 尚、今回の放置期間は6・7・8月の3ヶ月間日本で最も暑い季節でした。
 この間の室温は28〜35℃程度と非常に高く、JIS規格実験の20℃より電池にとって過酷な環境となっています。
 ですので、メーカーの表示の数値より自己放電が進んで悪い数値が出る可能性が非常に高いのですが、厳密なJIS試験ではなく「一般家庭で充電後に保管した状態、季節は夏」という実験だとお断りしておきます。

 放電電流は本ページの500mA放電グラフと比較する為、今回も500mAで行っています。放電中の室温は28〜30℃(やはりJISより高い)でした。
※ 厳密には放電時の温度が違いますので、わずかながら放電性能に差が出ていると
思われますが、元々が厳密なJIS規格での試験ではありませんのでご了承ください。
▼グラフをクリックすると拡大表示
 夏の3ヶ月放置で、容量は約85%程度まで減っています。
 メーカー公称値で6ヶ月後で90%、一年後で85%ですので、やはり夏の気温の高さが影響して自己放電が早くなっているのでしょうか。(それとも元々こういう性能?)

 電圧は500mAの電流を取り出しながら約1.25V程度を長時間保持しています。
 充電後間もない状態と比べるとかなり目劣りしますが、1.25V以上を出せていればほとんどの機器ではバッテリー警告も出ずに普通に使えそうです。
 ある海外メーカー製の普通のニッケル水素充電池では、夏場に約一ヶ月放置しておいたら全く使用していないのにデジカメがバッテリー警告を出して使えませんでした。
 容量が無くなっていたわけではなく、不活性化して内部抵抗が高くなり、大きな電流を取り出そうとしたら電圧が下がってそれがデジカメの警告電圧を下回ったようです。
 放電器でテストしたら最初の数分は電圧が落ち込んでいましたが、すぐに元に戻りましたのでこういう放置後の不活性状態が少ないか/多いかも長期間放置する場合のポイントになります。

 NexcellのenergyON同じ夏の一ヶ月で約79%まで放電していましたから、日本の夏を3ヶ月間乗り切って約85%も容量が残っていたサイクルエナジーブルー(中身はeneloop)の自己放電性能はたいへん優秀だと思えます。
 通常のニッケル水素充電池ではもっと放電してしまっていると思いますので、やはり「自己放電が少ない」が売り文句のサイクルエナジーブルー(中身はeneloop)はさすがです。


記事掲載: 2007年2月1日
追加更新: 2007年9月7日


*** その他、エネループに関するページのご案内 ***
 このページを読まれる方でまだ読んでいないという方はいらっしゃらないと思いますが、三洋エネループ松下HHR-3MPS等の新型ニッケル水素充電池について、「どっちが良い?」「差はあるの?」等の基本事項に付いては「エネループ/パナループ(緑パナ) 性能試験」に掲載しています。
 エネループ関係の各記事を読む前に必ず基本は押さえておきましょう。
 エネループの自己放電特性は「NC−M58満充電キープ機能実験」のページに詳しく掲載しています。
 10日後、一ヶ月後の状態をほかのニッケル水素電池との比較などとまとめて検証しています。
 「エネループを買うのが果たして正解なのか?」に対する一つの回答がそこにあります。
 本ページとあわせてご覧下さい。
 2007年初頭より、新しくなったeneloopが順次店頭に並んでいます。
(旧製品もまだ売っています)
 旧製品と新製品の違いはあるのでしょうか?
 「新型eneloop、その名は「eneloop-」もあわせてご覧下さい。
 6ヶ月後自己放電テストの結果も掲載しています!
 電池の小箱に「150回使ったエネループ」を掲載しました。
 追加、「充電できなくなったeneloop (約250回使用)」を掲載しました。
 本ページとあわせてご覧下さい。
 ほか、アルカリ乾電池の性能比較や、100円ショップ電池は使えるのかなどの電池実験も盛り沢山!
 詳しくは「気の迷い、トップページの記事一覧」からお選びください。



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 実験データ見せて頂きました。
 エネループやサイクルエナジーブルーは内部抵抗が低いんですね。自己放電を低くする=内部抵抗を低くする努力を開発でかなりされたのかと思います。
 最近のニッケル水素の傾向として容量が大きくなるに従い内部抵抗が大きくなっていく感じでしたので今後期待できる充電池だと感じました。

 余談ですが、昔はSONYの充電池もSANYOに作らせていました。現在も国内製造元はSANYOとPanasonicとYUASAくらいなのでしょうか?もしかするとサイクルエナジーブルーもSANYOのOEM(同じもの?)かもしれませんね。
(匿名希望) 様
お返事  エネループは最近のニッケル水素電池の中では特に内部抵抗が小さくなっているようですね。
 しかし他の電池が容量が大きくなると内部抵抗が大きくなりがちというのはどうもこちらで行っている電池のテストではそのような結果は出ていません。
 旧来品とほとんど変わっていないか、逆に改善されているように見えますが、何か測定方法が違うのでしょうか。

 現在でも国内でニッケル水素電池を作っているのは大手では三洋・松下・ユアサの3社ですね。(ユアサは市販の民生用ではありませんが)
 サイクルエナジーブルーがどこのOEMなのかは、本文中に書いていますのでお読みください。
お返事 2007/2/20
 
 既に、ご存知でしょうか?
 http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/column/2007/02/01/381.html
 エネループは、0.05Vほど従来のNiMHよりも電圧が高いそうです。
 オシキライド程では無いのですが、ちょっとした利点となっているそうです。
デジカメ好き 様
お返事  エネループが少しだけ電圧が高い、高い状態で終わり近くまで維持される、は既によく知られているエネループの特性の1つです。
 「気の迷い」の充電池テストの各グラフをご覧になられてもその特性は現われていると思います。

 ただ、お知らせ頂きましたページで三洋の開発者の方が語っていたりグラフに示されるほど大きな旧来電池との差はこちらの実験では現われていません。
 比較広告の為に旧来電池の性能を少し低く表示しているように見えます。
 そのページの内容は三洋の広報ですし、書かれている技術・理論・効果については間違いではありませんが、0.05Vの差でデジカメではどうだという内容についてはちょっと「誇大広告」っぽい表現だと思います。
 また「良く見える点」だけ強く訴えていますが、悪い点や弱点などにはほとんど触れないように語られていますので、メーカーが新製品を売りたいが為に行っている「広告」の全てをそのまま鵜呑みにするかどうかは皆様の受け取り方次第だと思います。
お返事 2007/2/15
 

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