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![]() ![]() POWER L∞P の実力を探る? そして、三洋2700のすごい・・・ * 記事を掲載 2007/3/17
* 自己放電テストの結果を掲載 2007/4/16
エネループ似のデザインの怪しい激安電池が発売されているとの情報を元に、エージェントが秋葉原で極秘裏に入手した写真の充電池が手元に届きました。 POWER LOOPの単3型2000mAhと2700mAhを購入しました。 もちろん、エネループのOEMでは無いようです。 こういう「狙った」デザインにしてくるという事は、eneloopのように自己放電も少なく買ってスグ使える新型充電池なのでしょうか? 果たしてこの電池の実力や如何に!?
![]() OOの部分は∞(無限大)になっています。 中国製のパチモンであちら仕様の電池かと思いきや、なんと説明書き等が全て日本語!で最初から日本人をターゲットにした電池だったのです。国内の会社が企画・製造委託? しかしやはりパチモン。電池型番、メーカー名、生産国、製造日・製造所固有記号など、製造元が分る記述は一切ありません。やっぱり怪しい物です。 店頭販売・ネット通販をしているあきばお〜では単三型2000mAhタイプ(税込 188円)はBP50AA2000、単三型2700mAhタイプ(税込 279円)はBP50AA2700と、BP社のニッケル水素充電池の型番の付け方と一致します。 しかしネットで検索してもBP社のHPで調べてもBP50AA2000/BP50AA2700という型番ではそういう電池は存在しません。(2007/3 現在の情報) ![]() 同じ2000mAhか2700mAhの物が手に入ればよかったのですが、自分で秋葉原中を探し回ったわけではないので千石電商で売っていてすぐ買えるBP50AA2750(税抜 220円)となりました。 本体の缶の形、封の為のくぼみ、長さ、外装フィルムの巻き方はどちらも同じです。 +−の各端子の写真です。(いちばん左は参考の為のeneloop) ![]() +−の電極(−側は缶の底)の直径や形は同じですね。 +極のまわりのカバーの色はPOWER LOOPは外装フィルムに合わせて(eneloopに合わせて?)白色になっています。 +極の直径はeneloopや国産電池に比べるとすごく細いです。中国製電池に多いパターンですね。 電池の形だけ見るとやはりBP社の電池のように見えます。 BP社が自社製品として作っていると電池にも社名などを印刷しているでしょうから、やはりどこかの怪しい会社がeneloopのパチモンとしてBP社に発注してOEM生産させた可能性が高いです。 しかしあちらの国では外見もそっくりな模造品を作る事はそれほど難しくはありませんので、型番がBP社のものと同じで外見も似ているだけでは本当にBP社が製造しているかどうかは不明としか言いようが無いでしょう。 ※ POWER LOOPの販売元はhttp://www005.upp.so-net.ne.jp/seventh-heaven/yoyogi/との情報を頂きました。リックベリー製と書かれていますね。(2008/11/4) ![]() 気になる全長と「肩」の高さです。 全長はPOWER LOOPもeneloopもほとんど変わりありません。 が、しかし・・・・肩の高さはPOWER LOOPは旧eneloopより更に高い! これではeneloopではボディが長くて入らなかったり+極が接触不良を起こした一部の機器では更に悪い事になりそうです。 ちょっと嬉しくありません。
![]() 測定には自作「放電器Type-G」と「データロガー(K8047)」を接続しPCでデータ記録を取っています。 ・500mA 定電流放電 (懐中電灯等) ・1000mA 定電流放電 (ミニ四駆/モーター等) の2モードで行います。 「放電器Type-G」は上記2種類の定電流モードで使用しています。 ※ 実験は2007年3月。室温20度±3度の環境で行っています。 ※ 5秒または10秒毎に記録したデータを1分毎に平均化した後にグラフを描いています。 ※ 測定精度は3V/8bitです。グラフの縦軸は1〜1.5Vレンジですので多少カクカクして見えます。 ※ 充電にはBQ-390またはNC-M58を使用しています。 ● 購入直後、「買ってすぐ使える?」1000mA 定電流放電 eneloopは自己放電が少ない為「買ってすぐ使える」が売り文句です。 POWER LOOPは買ってすぐに使えるのでしょうか? それとも普通のニッケル水素電池同様「使用する前には充電してください」なのでしょうか? 購入後に充電せずにすぐに1000mA放電テストを行ってみました。 ▼グラフをクリックすると拡大表示
はい、全くフニャフニャでたいして使い物になりません。 それぞれ公称表記の半分以下程度の容量・能力です。 eneloopに似せたデザインにしていますが、中身までは似せられなかったようです。 ごく普通のニッケル水素電池のフィルムだけ付け替えた、そんな電池ですね。 まぁテストするまでもなく、購入する前からそんな物だとは想像がついていましたが、やはり実際にテストしてはっきりデータを取るのが「気の迷い」の流儀ですから・・・。 2700mAhの片方が激しく抜けていますが、もしかして三洋2700と同じく自己放電が激しくて数日で電気が抜けてしまう穴空き電池なのでしょうか? 自己放電テストはまた後日行ってみたいと思います。 ● POWER LOOP 2000 vs eneloop それではPOWER LOOP 2000とeneloopの放電特性を比べてみましょう。 どちらも表記上は2000mAhの電池です。 ★ 1000mA 定電流放電 ▼グラフをクリックすると拡大表示
上記購入直後の放電から満充電した後、充電器から外して6時間後に測定を開始しました。eneloopは他の実験等で既に約20回程度使用したものを使用し、POWER LOOPと同時に同じ条件で充電・放電を行ったデータです。 この後も数回同じテストを行いましたが、購入後初回の冒頭で見られた「電池が寝ている」様子も一回の放電→充電で全く見られなくなり、このグラフの放電特性が毎回ほぼ同じように現われました。 POWER LOOP 2000はeneloopより初期電圧・維持電圧も低く、終止までの時間も短いようです。 電圧特性は普通のニッケル水素電池そのもの。容量的にはeneloopより少し少ない感じで、放電特性に於いては特に高性能電池ということではありません。 ★ 500mA 定電流放電 ▼グラフをクリックすると拡大表示
引き続き500mAでの定電流試験を行いました。電圧、持続時間共に1000mA定電流放電テストと同様、POWER LOOPのほうがeneloopより少し低い値となっています。 やはり一般的なニッケル水素電池の特性ですね。 この容量差は放電時だけのものではなく、NC-M58で急速(倍速ではない)充電した場合、eneloopよりPOWER LOOP 2000のほうが数分早く充電が終わります。充電できる容量自体が少ないようです。(BQ-390でも同じように早い事を確認) 電圧・容量の差はほんの僅かですので、一本188円、4本でも752円とeneloopの市価の約半額の格安電池として見ればそこそこ良いのではないでしようか。 購入直後のデータを見る限り、自己放電特性も普通のニッケル水素電池なみでしょう。 後は耐久性ですね・・・ ● POWER LOOP 2700 vs AA2750 さて次は、POWER LOOP 2700とBP社製BP50AA2750の比較です。 ★ 1000mA 定電流放電 ▼グラフをクリックすると拡大表示
どちらの電池もほぼ変わり無い維持電圧です。終止電圧までの時間はBP50AA2750のほうがわずかに長く、これが2700mAhと2750mAhの50mAhの差???(それ以上ありますが…) 購入直後に電圧が下がりまくっていたPOWER LOOP 2700の一本目(赤線)は、数回の充放電で復活したのか二本目より少し電圧が高いです。 今回購入したこの二本には明らかに電圧・維持時間に差があり、新品でこれ・・・というのは今までに私が見てきた海外製電池のバラつきに共通するものです。 BP50AA2750のほうは非常にマッチした二本のようで、偶然の産物なのでしようか。良い感じです。 ★ 500mA 定電流放電 ▼グラフをクリックすると拡大表示
500mAでの定電流放電試験結果です。それぞれの電池の性格は1000mAhの場合とほぼ変わりません。 POWER LOOPの二本目(オレンジ線)がやはりわずかに電圧が低いのも同じ、何回かの実験でも同じような差が出ています。 BP社の技術資料では、充電池の容量は0.2C放電で測定した場合のものを基準にしているようなので、2700mAhと表記されている電池に対しては540mA放電で測定した維持時間が表示容量の元になっているはずです。 500mA放電はほぼ540mA放電と変わりませんので、今回の測定で維持された時間がこの電池の標準的な容量と考えてよいでしょう。(測定温度も20℃±3とほぼ標準的です) BP50AA2750が約5時間で2500mAh。(公称 Typ.2650,Ah/Min.2550mAh) POWER LOOP 2700が約4時間48分で2400mAh(公称値不明)です。 その差100mAh‥‥もしかしてPOWER LOOPの中身って、BP50AA2750の1つ前の製品の2600mAh電池BP50AA2600(千石では在庫処分品)なんじゃ??? Min.値としても2400mAhでは公称2700mAhはサバ読みすぎ… それとも、2700mAh品として作ったけれども検査で落ちたB級品を安く買い叩いて作ったOEM製品なのかも? POWER LOOPはあきばお〜で一本税込 279円(4本で1116円)なので国内メーカーの2500mAh電池よりは安いですが様々な面でビミョーです。 BP50AA2750は千石電商で一本税込231円(4本924円)と三洋2700よりかなり割安です。しかもPOWER LOOP 2700より安くて高容量。 POWER LOOP 2700の立つ瀬無し・・・。 ● POWER LOOP 2700 vs 三洋2700 さて次は、POWER LOOP 2700と三洋2700の比較をしようと思いましたが・・・・できませんでした。 ★ 500mA 定電流放電 (三洋2700のグラフを加える) ▼グラフをクリックすると拡大表示
ご覧の通り、三洋2700は容量では最大のもので1800mAh、維持電圧もなんとか1.25Vを保っているだけになってしまいました。このグラフは放置して寝ている状態から一回充電をしただけではなく、数回の充電と放電を繰り返してもずっと同じ状態なのでその3回目のものです。 容量では2700mAhの66%と、JIS規格で定められた「60%を寿命とする」テストにあてはめると間もなく寿命でアウトです。既に60%を下回っているものもあります。 性能テストも含めて20回も使っていません。 ではなぜここまで性能が劣化したのでしょうか? 考えられるのは過放電による極物質の劣化です。 電池関係の「迷い箱」でも説明しましたが、ニッケル水素電池は1.0Vを下回ると中の材質の崩壊・劣化が始まります。 普通の電池であれば使用機器に入れっぱなしで過放電させない限りはそう簡単には1.0Vを下回って崩壊は起こしませんが、三洋2700はその自己放電の凄さで機器に入れずに単に保管(放置)しているだけでもすぐに1.0Vを下回ってしまいます。 過放電で1.0Vを下回っても一瞬で壊れるものではなく、長期間その状態にしておくとじわじわと崩壊が進みます。 保管中に長期間に渡って1.0Vを下回った状態が続き、電池を使っていないにもかかわらず内部では劣化がどんどん進んだ結果がこの4本の電池のグラフに現われているものだと推測しています。 この4本は「大容量が必要な時に使おう!」と思って自己放電テストを行った後には使用せず、1〜2ヶ月に一回程度は電圧を見て充電しておいたものです。 毎回電圧が1.0Vを下回っていて、自己放電の凄さに改めてため息をついていたものでした。 三洋2700は「使用前に必ず充電して短期間に使用する」以外に「保管中も1〜2週に一回程度電圧を計って、もし1.0Vを下回るようなら充電する」という非常に取り扱いが難しい電池のようです。 詳しい電圧を計ったり、放電グラフを描いたわけではありませんが、「20回使えない電池」と悪評高い昔の三洋2100の時もこういう理由だったのかもしれません。 思わぬところで「過放電した電池の劣化」のテストができたと思うと三洋2700も役に立ってくれたのでしょうか?
● POWER LOOP 2700 vs 松下2600 気を取り直して、手持ちの2700mAhでは比較実験できないのでかわりに少しだけ容量が少ないですが松下2600と比べてみましょう。 ★ 500mA 定電流放電 (松下2600のグラフを加える) ▼グラフをクリックすると拡大表示
使用した松下2600は既に約20回程度使用したものです。新品での比較ではありませんのでご注意を。使用で少しだけ容量が低下しているようです。松下2600は今回約2300mAh使用できました。(公称 Min.2400mAh/Typ.2600mAh) こうしてみるとPOWER LOOP 2700は公称2700mAhの電池としてはやはり少し容量が少ないのではないかと思えます。 海外製2品種と比べて松下2600が前半の電圧が高いですね。 これくらいの使用時間の差であれば、格安のBP50AA2750がコストパフォーマンスの良い電池のようですが、やはり最終的な判断は継続使用しての性能維持能力や自己放電テストをしてみないことには判断できません。
POWER LOOPの自己放電テストを行います。
またBP50AA2750も、高容量2700mAhという難しい技術の為に三洋2700のような物凄い自己放電電池なのでしょうか? 充電直後(6時間後)/10日放置/一ヶ月放置を比べてみました。 ● POWER LOOP 2000 自己放電テスト ▼グラフをクリックすると拡大表示
それほど自己放電特性が良い…という感じもしませんし、特に悪いという感じでもありません。 この自己放電特性を見ても普通のニッケル水素電池のように見えます。 ※(5/7) 他の海外製ニッケル水素充電池との自己放電比較でPOWER LOOP 2000/2700の
特性が従来品より良いことが判明しました。「海外ニッケル水素充電池の性能テスト」に掲載。 POWER LOOP 2000と同時に自己放電実験を行ったeneloopとの比較です。 同じケースに入れて全く同じ温度条件などで保管したものです。 ![]() 3ヶ月後には満充電時の容量の半分くらいに減っていそうなので、一ヶ月以上放置した場合は使用前に必ず充電したほうが良さそうです。 ● POWER LOOP 2700 自己放電テスト ▼グラフをクリックすると拡大表示
充電直後(6時間後)は充電時の高電圧状態が反映されています。10日放置の放電開始からしばらくの電圧がかなり低くなっていますが、このラインがこの電池の基礎性能のようですね。 一ヶ月放置でも電圧や持続時間は少なくなりますが、グラフの形は10日放置とほとんど変わりません。 ● BP 2750 自己放電テスト ▼グラフをクリックすると拡大表示
充電直後(6時間後)から10日放置の間は、やはり充電直後の高い電圧のグラフと、安定した電池本来の性格が現われたグラフといった感じになっています。一ヶ月放置ではそこそこ放電が進んでいます。 三洋2700のような惨い自己放電ではありませんが、あまり長期保管には向いていないことが予想できます。 POWER LOOP 2700と比べてみましょう。 ![]() 充電してから使用するまでの放置期間が一ヶ月以内であればBP50AA2750のほうが有利、一ヶ月以上放置する場合はPOWER LOOP 2700のほうが有利という感じです。 ということは、POWER LOOPはeneloopほどでは無いけれども、多少は自己放電特性が良くなったニッケル水素電池ということなのでしょうか? それほど画期的に自己放電特性が改善されているようには見えませんが、一応「エネループ似」の電池という部分はありそうですか? ※(5/7) 他の海外製ニッケル水素充電池との自己放電比較でPOWER LOOP 2000/2700の
特性が従来品より良いことが判明しました。「海外ニッケル水素充電池の性能テスト」に掲載。 東芝 2500(但し10回以上使用)も同時に自己放電テストをしてみましたので比べてみました。 ![]() こうして比べてみると、POWER LOOP 2700も特に「自己放電が少ない」ということでは無いことがわかります。 POWER LOOP 2700でも、3ヶ月後には満充電時の容量の半分くらいに減っていそうなので、一ヶ月以上放置した場合は使用前に必ず充電したほうが良さそうです。 BP50AA2750もこの放電特性なら一ヶ月以上放置したものは使用前の充電をお勧めします。
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