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自転車ダイナモ発電機で白色LEDをつける
* 記事を掲載 2007/4/27
* 回路図を一部追加 2007/4/29
自転車のダイナモ(発電機)の発電で白色LEDを点灯させたい、というご希望が多いようです。 自転車のダイナモ(発電機)の発電電圧はスピードによって変わりますし、交流発電機です。 LEDは電圧が低いと点灯しませんし、過電圧だとすぐに焼けきれてしまいます。もちろん直流用素子ですので逆電圧にも弱く交流をかけてはいけません。 LEDとは相性の悪い自転車のダイナモでLEDを安定して、また安全に点灯させる回路についていくつかご紹介します。 ■ 自転車のダイナモとは? ■ 交流の基礎、整流とは? ■ シャント型レギュレータ(並列型・定電圧回路) ■ シリーズ型レギュレータ(直列型・定電圧回路) ■ ステップダウン型DC/DCコンバータ ■ トランジスタ2石、定電流回路 ■ ステップダウン型DC/DCコンバータの定電流電源化 (良い物もあれは、悪い物もあります) ■ おまけ、倍電圧整流回路 全くの私情ですが、私は自転車発電機に付属の豆電球式のライトが好きです。 LEDがいくら良くなったとはいえ、同じ電力ではまだ豆電球のほうが明るくて「道路を照らす」という意味では豆電球式のライトにアドバンテージがあります。 光の色も「照らす」「障害物を認識する」にはLEDの白色より電球色のほうが良いように感じます。電球色LEDもありますが・・・ ですので自分の自転車ではダイナモ発電機のライトは無改造でそのまま豆電球式です。 バッテリー(電池)式のハンドルライトにはLEDを使用して、ふだんはハンドルライトで走行して、LEDでは暗くて仕方が無い場所では足元のダイナモのリリースレバーを蹴って「ガチャン!」とダイナモライトを点灯!というパターンで使用しています。 ペダルは重くなりますが、電球の強力な黄色い光(今使っているライトは従来品よりかなり明るい)でビュワー!っと照らすのが好きです。
「ダイナモ」とは「発電機」の事です。
自転車のダイナモには主に「リムダイナモ(ローラーダイナモ)」と「ハブダイナモ」の二種類があります。 「リムダイナモ(ローラーダイナモ)」は古くからあるダイナモで、本体から回転する「軸」が出ていて、その軸を自転車の前輪の「リム」(タイヤをとりつけているリング状の金属の輪)に当てて走行すると軸が回転することで発電します。 昔は発電機からコードが延びていて、別個になっているライトに接続していましたが、最近ではライト部を一体化した製品が多いようです。 「ハブダイナモ」は最近出来た新技術で、前輪の回転軸(ハブ)部分に最初から発電機を組み込んでしまったものです。 リムダイナモより軽い(らしい)のが好まれています。 こちらは発電機からライト部までコードが延びています。 どちらも軸(またはギヤにより回転する機構、ハブダイナモではハブ内部)に取り付けられた永久磁石が回転し、固定されているコイルに交流電圧が発生するしくみです。つくりが簡単になる為、そして豆電球を点灯させるのにわざわざ直流発電機にする必要も無い為に交流発電機になっています。 ● 発電電圧・電流は? JIS規格では自転車の発電機には「15Km/hの時に6V、3W(または2.4W,6W)」とされていて、スピードが低い場合と高い場合の誤差範囲も規定されています。 15Km/hというと、自転車で「少し速いと思うくらい」のスピードで走ったくらいで、街中などでは8〜12Km/h程度だと思います。 「6V時に3W」の発電能力ですので、電圧が6Vの時には0.5A程度の電流を取り出せることになります。 「6V-0.5A」の豆電球を点灯させるのにちょうど良い出力、というか発電機の出力にあわせて自転車用の豆電球はたいてい「6V-3W」(前後の値)という規格になっていますね。 LEDを点灯させたりする際にも、6Vの時に0.5A取り出せるという電源能力はしっかり押さえておきましょう。 むやみに大きな消費電流のハイパワーLEDは点灯できません。
自転車のダイナモは「交流発電機」です。
交流なので色々と注意しなければなりません。 「6V」と一口に言っても交流と直流では少し意味が違います。 直流では変化しない電圧の値そのものを指しますので「直流6V」とあればテスター等で測れる直流電圧は6Vです。 交流の場合、「交流6V」とあれば交流電圧計(テスター等の交流電圧レンジ)で測れば「6V」と測れますが、これを整流して直流に直すと電圧は「正確には6Vとは限らない」という不便なものに変わってしまいます。
ここで交流で言うところの「6V」とは交流電圧の「実効値」という電圧であり、実際の交流波形の最も電圧の高い部分の電圧ではありません。交流波形の最も電圧の高い部分の電圧は「最大値」と言い、「実効値の√2倍の電圧」です。 実効値が6Vの場合 6V × √2 = 8.485V です。 交流は電圧がサイン波形で変化して「正(+)の方向に電圧のある時間」「負(−)の方向に電圧のある時間」が交互に繰り返され、正・負それぞれの方向でもサイン波形で電圧が変わりますので電力的には常に最大値の電圧で働くわけではありません。 そこで交流を負荷にかけた場合に電力的に一定の力を取り出せると換算できる値を「実効値」として表記することにしています。(少し後で説明します) 家庭のコンセントに来ている「交流100ボルト」も実は実効値で、電力的には100Vで働きますが実際の最大値は「100V×√2=141V」なので最も電圧が高い部分(時間的な瞬間)では141Vもの電気が流れています。 LEDは交流では光りません。(正確には光りますが、逆電圧に弱い素子ですのでちょっと高い逆電圧をかけると簡単に壊れます) そこで「整流」という作業をしてやって、交流を直流にしてからLEDを光らせます。 最もポピュラーな整流回路はつぎの「ダイオードブリッジによる全波整流回路」です。 ![]()
ダイナモで発電した交流をダイオードブリッジで一定の+−の方向のある電流に変換します。それだけではまだ「向きが揃った交流」で、電圧の高い瞬間と低い瞬間がありますのでまだ完全な直流ではなく、この状態の電流を「脈流」と言います。
欲しいのは「直流」ですので、脈流をコンデンサで平滑して完全な直流にしてやります。コンデンサは容量の大きな電解コンデンサを使用します。左の図を見ると、実効値より上の部分の面積(電力)が、実効値より下の部分で欠けていた部分をちょうど埋めているのがわかります。 適正負荷で使用した場合、このように「脈流を平滑した時に得られる直流の電圧」が実際に利用できる電圧ですので、これを「実効値」と呼んでいるわけです。 もちろんLEDを点灯させるだけなら脈流でも一向に構わないのですが、LEDは一定の電流値以上を流すと簡単に焼けて壊れてしまう素子ですから、安全な数値を計算しやすいように、そしてダイナモの発電回転が遅い時にチラチラと点滅しないようにちゃんと直流にしてやりましょう。 ※ 脈流のほうが良い場合もあります。後に説明します。
さて、自転車のダイナモに図1のような整流回路をつけてやると出力電圧は何Vになるのでしょう? 本当に実効値の6Vでしょうか? もちろんゆっくり走った時には電圧は低く、速く走ると電圧が高くなるのはわかります。 どんどん速く走るとLEDを光らせる限界の電圧・電流を超えてLEDは焼き切れてしまいます。 とりあえず、何か条件をつけてやらないと話が進みません。 たとえば「15Km/hで走っている時」としましょう。 JIS規格通りの発電能力なのであれば「15Km/hの時6V-3W」ですね。この時には交流6Vが発電されているとしましょう。 すると、整流された出力電圧は「実効値の6V」なのでしょうか? それとも「最大値の約8.5V」なのでしょうか? どちらだと思いますか? 実はどちらでもある可能性があるのです。
図1のような整流回路の場合、負荷に何も繋がなかった場合(LED等は繋がない)、発電機で発電された電圧はコンデンサに蓄えられるだけですので最も電圧が高いところまで電気が蓄えられますので、整流後の出力電圧は「最大値の約8.5V」になります。※実際はダイオードの順電圧ぶん、単純に実効値の√2倍より少し下がりますが
ライトの豆電球やLED点灯回路が適正な電流を流す負荷の場合、ちょうど消費電力と発電電力が均衡して定格通りの実効値電圧が出力されます。豆電球の場合はわざわざ整流してやる必要はありませんが…
ダイナモの発電能力(定格)以上の電力を消費するような負荷の場合は、ダイナモの発電電圧が下がってしまい、整流後の直流電圧も下がります。ダイナモにも過負荷となり発熱など不具合が起きる場合もあります。
さてさて、この発電機の出力を単純に整流して直流にしただけでは、繋ぐ負荷によって出力電圧も変わってしまうことになり、単純に「発電能力が6Vの時に」というだけでは今後の色々な計算ができなさそうです。 しかしながら「白色LED一個の場合は…」「白色LEDニ個の場合は…」「白色LED三個の場合は…」「ハイパワーLED1Wの場合は…」「ハイパワーLED3Wの場合は…」なんていちいち全部を列記してはいられませんので、今回の記事ではダイナモの発電電圧はそのままの数値であつかう事にして、次の条件があるものとして話を進めます。 【条件1】 負荷が軽い場合は電源電圧が少し上がるので、グラフ内の入力電圧値より高い入力電圧値での出力結果が得られる。 【条件2】 負荷が重い場合は電源電圧が少し下がるので、グラフ内の入力電圧値より低い入力電圧値での出力結果が得られる。 【条件3】 記事中の入力電圧はダイナモの(あるスピードの時の)発電電圧そのものの値では無く、負荷条件により変化するある一定の条件下で出力されている電圧。 少しややこしいですが、この条件がある事を踏まえた上で各種実験に進みましょう。 [余談] Panasonic自転車のハブダイナモ式LEDライト搭載車を見ていると、どうやら平滑はしていないようです。(脈流で点灯) 歩く速さくらいでゆっくり走っている時にはLEDライトの光がチラチラと点滅しているのがわかります。 これは平滑して実効値の電圧で使用するよりも、最大値の瞬間のより高い電圧で点灯したほうが遅いスピードで点滅状態でもライトが少しでも点灯して「目印灯」としての役目を果たせる為、の設計のように思えます。 自分でPanasonic自転車は持っていないので分解・確認はしていませんが、道路ですれ違う自転車を見た感じではそういうふうに見えます。 本ページでご紹介する回路の場合、平滑しないと正常に動作しないものもありますので基本的には平滑して使用することとします。
図1の整流回路だけでは「速く走ると電圧が上がりすぎてLEDが焼けてしまう」という欠点がありました。
それに対応するため「ある一定の電圧以上はカットする」回路をとりつけ、LEDは一定の電圧で点灯させる事ができる回路をとりつける方法があります。 このように出力電圧を一定に保つ電源回路を「定電圧電源回路」と呼びます。 ![]() ツェナーダイオードはダイオードの一種で、ダイオードには+(アノード)と−(カソード)の極性があり、アノードからカソードへは電流は流れますが、カソードからアノードへの逆方向には電流は流れません。 ダイナモの交流から直流を得る整流部に使用している「ダイオードブリッジ」もその働きを利用したものです。 ですので普通のダイオードを図2のように接続してもそのダイオードは極性が逆向になりますので電流は流れません。 ツェナーダイオードには普通のダイオードとは違い「ある一定の逆電圧を超えると逆方向にも電流を流してしまう」という性質があります。 図2の回路では5Vのツェナーダイオードを使用していますので、ダイナモの出力が整流された結果の電圧が5Vを超えると、ツェナーダイオードの働きでそれ以上の電圧がかかってもツェナーダイオードの中を通って電流が流れ、LED側にかかる電圧は5Vで一定に保たれます。 0V〜5Vの間はツェナーダイオードは働かないのでLED側にかかる電圧はそのままです。 図2.2はツェナーダイオードの代わりにトランジスタ等を使った回路を使用する場合ですが、今回は詳細は説明しません。 働きはツェナーダイオードと同じですが、ツェナーダイオードは大きな電力を流せない部品ですので、より大きな電力を使用する回路(大きな電力を発電する発電機)で使用する場合は別途回路を組んで使用します。 ツェナーダイオードを使用した回路、また何らかの電子回路を使った制御回路をこのように電源と「並列」に接続する定電圧電源回路を「シャントレギュレータ(並列型レギュレータ)」と呼びます。 【利点】 電源の出力電圧が一定に保たれるため、LEDに流す電流から直列に入れる制限抵抗の値も簡単に計算できるので便利です。 後で説明するほかの定電圧電源回路とは違い、電源回路中での電圧降下(ドロップ電圧)がほとんど無いので、低速で走っている場合の低い電圧でもロス無く出力に電圧を取り出せます。 【欠点】
設定した電圧以上は並列接続された負荷(ツェナーダイオードや電子回路)に流してしまって消費しますので、スピードを上げて発電電圧が上がれば上がるほど負荷抵抗が下がり大量の電流を流します。それに伴ってどんどん発電機にかかる負荷が大きくなりますのでペダルが重くなり、高速走行すればするほど自転車にブレーキをかけた状態になります。 負荷回路の発熱も膨大なものになり、放熱装置などをしっかり作っておかないと電源回路の部品自体が焼けることにもなりかねません。 強力な筋力トレーニングマシンを作りたい方にはお勧めしますが、自転車にLEDヘッドライトをつけたいという方にはあまりお勧めできません。 本記事ではいちばんお勧めできない回路として、この回路については製作・実験は行いません。 (何Wもの大電力用のツェナーダイオードなんて部品箱に入れてませんし…)
定電圧電源回路には回路に並列に入れる「シャントレギュレータ」のほかに、回路に直列に入れる「シリーズレギュレータ(直列型レギュレータ)」があります。
電源回路の世界ではこちらのほうが一般的ですね。 ![]() 三端子レギュレータは複雑な電源回路を一個のパッケージ内に収めた便利なICで、出力電圧や電流値などで色々な種類があります。 7805は出力5V(固定)、電流は1Aまで流せる三端子レギュレータです。 普通は入力電圧は出力電圧より高くする必要があります。 出力電圧を一定にする為に、IC内部の負荷回路が入力と出力の間に直列に接続されていて、それが「抵抗」として働いて常に出力電圧を一定にする抵抗値に制御されています。 出力側の負荷が変動してもIC内部で自動的にその抵抗値が変わるので出力電圧は常に一定に保たれますが、出力に流れる電流が多くなれば、また入力と出力の電圧差が大きければ内部の抵抗回路で消費する電力は大きくなり、ICの発熱が多くなります。 三端子レギュレータを使用せずに、トランジスタ等を組み合わせた電源回路を作っても良いのですが、部品一個で定電圧電源を簡単に作れるのでかなりのシーンで使用されています。 【利点】 少ない部品で安定した電源回路を製作できる。誰でも製作時の失敗が少ない。 【欠点】 スピードが遅くダイナモの発電電圧が必要電圧に達していない場合は出力も定電圧よりかなり低く、低速時にはLED点灯には適しません。
安定化させる為に入力と出力の電圧差のぶんはIC内部の回路が抵抗となって「電流制限」をしますので、抵抗回路の電圧×電流が全て熱に変わります。必要に応じて放熱板をつけるなどしないとICが熱で焼けます。ICの入力側と出力側の間に電圧差が無いと正常に動作しないので、欲しい電圧より高い電源電圧が必要です。 ● 動作測定グラフ ![]() 点灯開始は約5Vから。(もちろんまだ十分な明るさではありません) 約7V以上で安定した電流供給ができています。 入力側(ダイナモ側)の電流はLEDに流れる出力電流と同じです。 今回使用した電流制限抵抗ではLuxeon-Iの最大定格350mAより少し多い400mAを流してしまっているようです…。 グラフの紫色の破線「抵抗」は入力電圧・電流から計算した「この回路がダイナモにとってどの程度の抵抗になっているか」をグラフ化したものです。 上にゆくほど「電気抵抗値が高い=ペダルが軽い」下にゆくほど「電気抵抗値が低い=ペダルが重い」ことになります。 ペダルは7Vで一旦最大に重くなっていますが、それ以上では必要な電流を流すのに余裕がある電圧の為、三端子レギュレータ内の抵抗回路がどんどん抵抗値を上げて電流が流れ難くして(回路に流れる電流は一定ですが、ダイナモ電圧に対しての抵抗値を上げて)、結果的にダイナモにかかる負荷は少なくなってゆく様子がよくわかります。 【走行感】(シミュレーション) このグラフは実際に自転車で走って測ったのもではなく、可変電圧電源装置から電圧を与えて計ったものなので実際の走行感とは多少異なるかもしれませんが、自転車で使用した際の感じについて予想してみます。 スピードが10Km/h程度まで全く光らないのはどうかと思います。 豆電球式ライトの場合、歩く程度のスピードでもぽんやり光って、路面を照らす用途には使えなとしても、暗闇で「ここに自転車が居ますよ」という目印灯としてくらいにはなりますので、闇夜での交通事故防止には役立ちます。 しかしLEDの場合はある一定の電圧にならないと全く光らないので、その電圧に達するまでかなりちゃんと走らないといけないのは実用上はどうでしょうか。 スピードを上げて約4〜7Vの間に徐々に明るくなってゆきますが、ダイナモのしくみについて説明したとおりこの回路では消費電流が豆電球(6V3W)よりは少ないので、スピードに対して実際に入力される電圧はグラフの入力電圧より少し高い目になり、グラフの点灯開始スピードより少しは低いスピードから点灯しはじめると思います。 【改善点】 7805はドロップ電圧が約3Vですが、他の三端子レギュレータで「低ドロップタイプ」と呼ばれるドロップ電圧0.5〜1V程度のものを使用すれば、もう少し遅いスピードからでも点灯するでしょう。 また出力電圧可変タイプの三端子レギュレータを使用して4V程度の出力として、LEDの制限抵抗も4Vに合わせれば更に入力が1V程度低い状態でLEDを点灯開始できるでしょう。 ※ 出力3.3Vの三端子レギュレータを使用して、(LEDのVfが3〜3.6Vだからといって)LEDの制限抵抗を無くすのはお勧めしません。LEDによっては焼けます。
三端子レギュレータを使用した定電圧電源回路以外に、一定の電圧を出力する電源回路の方式の一つとして「DC/DCコンバータ」があります。
DC/DCコンバータには「昇圧型(ステップアップタイプ)」「降圧型(ステップダウンタイプ)」「昇降圧型」がありますが、今回は「自転車で走っても速いスピードでLEDが焼け切れない為」の電源回路が主目的ですから高い電圧から低い電圧を出力する「降圧型DC/DCコンバータ」を電源回路に使用します。 安価な降圧型DC/DCコンバータは「100円シガーライターソケット用DC-DCダウンコンバータをアップコンバータに改造しよう!」ページで紹介しているように100円ショップなどで簡単に完成品が購入できます。 いや、部品をそろえて自作しても良いんですが・・・。 上記のページで紹介しているセリアの105円の「USB⇔DC接続器」はもう売られていないようで入手性が悪いので、今回はダイソーの315円商品の「携帯電話充電器」を使用します。 ダイソー315円携帯電話充電器には色々な種類がありますが、自動車のシガープラグ型で12/24Vから携帯電話に充電するものであれば、ほぼ中身は同じです。(基板の形などは違いますが)
写真のものを購入しました。基板の形が流用しやすそうだったからです。 同じ形の基板で、ストレートプラグ型のものも売られています。 プラグの形に沿って細長い基板だったり、ブーメラン型に曲がった基板などあまり流用しにくそうな物もありますので注意しましよう。 対応する携帯電話の種類は関係ありません。 このDC/DCコンバータ基板は12/24Vの自動車の電源から携帯電話充電用の5.5Vに電圧を下げるものです。 中の回路図は少し後の別の項で掲載します。 ![]() 実はDC/DCコンバータ基板上に入力平滑用の電解コンデンサが付いていますので、図4の100〜1000μFの電解コンデンサは特に必要無いかもしれません。しかし自転車では非常に不安定な発電機の交流電源を使用しますので、この図のように整流回路部分に大きな電解コンデンサをつけておいたほうが良いでしょう。(両方ある必要は無いのですが…)
【利点】完成基板を100円ショップで入手できる。(315円商品ですが) 電圧を制限する為に抵抗回路などの負荷を使用しないので無駄な電力ロスや発熱が非常に少ない。 【欠点】 携帯電話用の製品では出力は500mA程度までしか取れないので、それ以上を必要とするW数の強力LEDを使用するには回路を自作する必要がある。 (まー、他の方式の回路の場合は部品を集めての自作ですが) ● 動作測定グラフ ![]() おっとしまった! 7805のテストの時に約4Ωの制限抵抗ではこのLED(個体)に少し多い目に電流を流してしまう抵抗値だったのを忘れてそのまま同じ回路を繋いでしまいました。7805の5Vで過電流だったのに、このDC/DCコンバータの5.5Vでは余計に過電流になってしまっています(^^; 皆さんが作られる際にはちゃんと正しい制限抵抗を付けましょうね。 点灯開始は約4Vから。(もちろんまだ十分な明るさではありません) 約10V以上で安定した電流供給ができています。 入力側(ダイナモ側)の電流はLEDに流れる出力電流が安定した点からは下がっています。 これはDC/DCコンバータが「電力変換」タイプの電圧変換機として作用している為で、必要十分な電圧以上では入力側の電流は下がります。 【走行感】(シミュレーション) 4V程度から点灯を始めるのは7805を使用した定電圧電源回路とほぼ同じです。 しかし完全に出力電圧が5.5Vで安定するには入力が約10V程度必要で、かなりスピードを出さないとLEDに定格電流を流せません。 今回の「ちょっと間違ったなぁ抵抗値」の場合入力7.5Vあたりで定格の350mAを流せています。DC/DCコンバータの出力が5.5Vになると約500mAとちょっと危険な状態になりますが、20Km/h以上ものスピードを出さないとそこまでの電圧は出ないので大丈夫だと思いますが・・・ グラフの「抵抗」は8〜9Vで最もペダルが重く、安定するに従って軽くなります。 電源回路内で無駄に電力を消費しないので、ダイナモに対する抵抗値は7850のように余分な電力を熱に変えて発散するタイプよりずっと高く、ペダルは軽いです。 【改善点】 15Km/hでの走行ではあまり高い電圧は取り出せず、LEDを明るく点灯させることができないでしよう。 発電電圧が高いダイナモを使用した場合などに適していますが、通常の自転車ダイナモ用ではあまり使わないほうが良いかもしれません。 このDC/DCコンバータ基板も中の抵抗を交換すれば出力電圧を自由に変更できます。 ですので三端子レギュレータ同様に出力電圧の設定を下げて、LEDの電流制限抵抗の値も小さくしてここでの無駄な電圧ドロップ分を小さくすればもう少し低い電圧から点灯させる事ができるでしよう。
さて、これまでは「定電圧電源回路」をいくつか作ってみましたが、LEDは元々定電圧で駆動する素子ではなく定電流で駆動するものです。
LEDの定格は「順電圧3.2〜3.6V、順電流300mA(最大350mA)」(LEDによって異なります)などとされています。 ここで示された順電圧の3.2〜3.6Vの間で電圧を加えると、たった0.4Vの差でもLEDに流れる電流は急激に変化します。 3.2〜3.6Vという表示値を信じて3.6Vをかけると最大定格を超える過電流が流れてしまう場合もあります。 LEDを点灯させる場合はLEDにかける電圧ではなく、流す電流をちゃんと計算したり制御しなければなりません。 定電圧の電源に接続する時に電流制限抵抗を繋いで、計算上の一定の電流値に制限してやるのもその為です。(個体差の為、実際は計算上の数値とは多少ズレますが) そこでこんどは「電源電圧が何Vでも、負荷に流す電流を一定に保つ」という機能の「定電流回路」を使ってLEDを点灯させてみましょう。 いやもちろん「何Vでも」と言っても十分に電流を流せない低い電圧では無理ですが。 ![]() Q1には電源の+側から10KΩの抵抗を通じてベース電流が流れますので、電源に電圧がかかればコレクタ電流を流してLEDを点灯します。 Q1のエミッタから流れた電流はRiを通って電源の−側に流れます。 この時、流れる電流値に応じてRiの両端に電圧が発生します。この電圧はオームの法則で計算することができます。 Riの両端電圧が約0.6Vを超えるとQ2の動作電圧を超える為、Q2にはベース電流が流れてコレクタに接続されたQ1のベース電圧を下げる働きをします。 Q1のベース電圧が下げられるとQ1のコレクタ電流も減少し、LEDを通じて流れる電流が減りますのでRiに流れる電流は減ってRiの両端電圧が0.6Vを下回ったらQ2はまたOFFに戻りQ1のベース電圧が上がり回路に流れる電流が増加します。 この一連の電流を増加させる→電流を減少させる→また増加させる、働きが高速で連続して行われ、実際にはアナログ的に均衡が保たれた点で静止します。 均衡が保たれるのはRiで設定した目的の電流が流れている状態になりますので、この回路は「Riの値に計算した一定の電流を流す回路」となります。 設定するRiの抵抗値の値は Ri (Ω) = 0.6 (V) ÷ I (A) です。 Riには P (W) = 0.6 (V) × I (A) の電力が消費されますので、P(W)以上のワット数の抵抗を使用します。 実際にはLEDに流れる電流はRiに流れる電流だけではなくQ2のベース電流に逃げるぶんがあったり、Riで測定している電流も実はQ1のベース電流が混ざっていたりと、細かい所を突き詰めれば設計値ぴったりではありませんが、各トランジスタのベース電流は非常に小さな量ですので、LEDに100mA程度以上を流す設計では計算上はほぼ無視して良いものとしています。
【利点】使用するLEDにあわせて(ほぼ)きっちりと定格通りの電流を流せる。 LEDに電流制限抵抗が必要無いので、負荷側では無駄な電圧ロスが全く無い。 定電流回路側も電流検出抵抗の0.6V、トランジスタのON抵抗のみがロス分となり非常にロスが少ない。 【欠点】 電流制限用のトランジスタQ1が不要な電圧を制限する為に「抵抗成分」となる為、入力電圧が上がると発熱する。 ● 動作測定グラフ ![]() 点灯開始は約2V少しから。(もちろんまだ十分な明るさではありません) 約5V以上で安定した電流供給ができています。 入力側(ダイナモ側)の電流はそのままLEDに流れている電流と同じです。 定電流回路で、負荷LEDは回路中に組み込んでいますので出力電圧(LED両端電圧とか)は測定していません。 【走行感】(シミュレーション) 3V程度から点灯を始めるのは今までの実験回路の中では最も低い電圧です。 電圧が低い(電流制限をしていない)間は、Q1のON抵抗(非常に低い)とRiの抵抗値だけが制限抵抗になって、電圧的にはかなり良い状態でLEDにかけられているのが低い電圧から点灯する理由です。 4〜5VでじゅうぶんにこのLEDのほぼ定格電流を流せています。 普通に街乗りをしているスピードで1W LED(Luxeon-I)を定格点灯させられます。 グラフの「抵抗」は4Vで最もペダルが重く、それ以降は軽くなります。 街乗りスピードから先は速く走るほどペダルが軽くなるのは嬉しいですね。 【改善点】 改善すべき点がほとんど見つかりません。 自転車ライトには最も適しているのではないでしょうか。 またこの定電流回路は入力電圧が安定化されている必要はありません。 従って整流回路の100〜1000μFの平滑用コンデンサを無しにして、ダイナモの脈流電圧をそのまま加えても動作しますので、コンデンサ平滑しないで脈流の最大電圧でLEDが点灯するようにすれば、すごくゆっくり走っている時でも脈流のピーク電圧がLEDの点灯電圧に達すれば光りますので、より遅いスピードでも「ほんのり、そして交流周期にあわせてチラチラと」光らせることができると思います。 スピードが速くなれば発電される交流の周波数も上がりますので人間の目では残像現象でLEDの点滅は気にならないでしょう。 まるでパナソニックの自転車に付いている高輝度LED5灯程度の純正LEDライトのような光り方になります。 グラフからわかるように、この回路では定電流回路とは言いますが、細かな要因がいくつかあって完全にビシッと一定の電流に保てずに少しだけ電源電圧の上昇に釣られて電流値も上昇してしまいます。 この程度であればLEDを点灯させるぶんには全く問題は無いと思います。精密用途には使えません。
携帯電話充電器のDC/DCコンバータは「定電圧電源回路」ですが、少しだけ手を加えると「定電流電源回路」に変身します。
DC/DCコンバータICMC34063を使用した電源回路で出力電圧をどうやって決めているのかは「100円シガーライターソケット用DC-DCダウンコンバータをアップコンバータに改造しよう!」ページに詳しく書いて有りますのでここでは説明は省略するとして、基準電圧を決めている2本の抵抗の所に追加回路を付けて「定電圧→定電流」の変更をします。
ダイソーの携帯電話充電器(今回購入した物)の回路図はこのようになっています。ヒューズの入っている位置がセリアの「USB⇔DC接続器」とは異なります。(別に回路上は問題ありません) 今回はMC34063の5番ピンに入力されている基準電圧を電流制限用にいじるわけです。 ![]() ![]() ※ 以前「迷い箱」ではトランジスタ2石の回路をご紹介しましたが2石の回路は反応をキビキビさせる為の高感度構成で、今回の回路は1石で簡略化しています。動作はほとんど同じです。 DC/DCコンバータ基板上の部品は取り外したり、変更したりの改造はありません。 追加回路を別基板に作り、必要ヶ所に配線するだけです。 MC34063の5番ピン(2本の抵抗が接続されている所)に一本リード線をハンダ付けし、残りは元から基板に付いている電源入力と充電出力の赤・黒のリード線を必要ヶ所で使用するだけです。 追加回路には充電出力の赤・黒リード線と、5番ピンにつけたリード線を配線します。 入力電圧が上がると出力電圧も上がります。 元々のDC/DCコンバータの動作では出力が5.5V以上にならないように電圧が一定に保たれます。 電流検出抵抗RiにはLEDに流れる消費電流値に応じた両端電圧が発生します。 Riの両端電圧が約0.6Vを超えると、トランジスタ2SA1015の動作電圧を超えますのでエミッタ−ベースに電流が流れ、同時にエミッタ−コレクタにも電流を流すようになります。 2SA1015のエミッタとコレクタは基準電圧生成用の抵抗RA(コンバータ基板中)と並列に接続されていますので、2SA1015のエミッタ−コレクタに電流が流れると並列に接続されているRAとの回路の抵抗値が下がることになります。 RA側の抵抗値が下がると5番ピンに与えられている規準電圧が上がりますので、MC34063は出力電圧が上がったと思って出力電圧を下げようとします。 出力電圧が下がって、電流検出抵抗Riの両端電圧が約0.6Vを下回れば2SA1015はOFFになりエミッタ−コレクタ間の電流は流れなくなります。すると基準電圧は下がりMC34063は電圧が下がったと思って出力電圧を上げようとします。 この下げる→上げる→下げるが超高速で行われ、結果的にはアナログ的に均衡が取れた点で安定します。 安定した点では出力に流れる電流は計算で求めた目的の電流になります。 設定するRiの抵抗値の値は Ri (Ω) = 0.6 (V) ÷ I (A) です。 Riには P (W) = 0.6 (V) × I (A) の電力が消費されますので、P(W)以上のワット数の抵抗を使用します。 [4/29 追記] 別のLED点灯回路のお話を頂き、「そういえばそうだった!」的に下記の回路図を追加掲載します。 ![]() トランジスタ検知式にくらべて部品数が少なくて回路も簡単です。 検知電圧が0.6V→1.25Vと少し高くなりますので、入力電圧のLEDの点灯開始電圧もそのぶん高くなります。ほんの少しなので気にならないと思いますが。 設定するRiの抵抗値の値は Ri (Ω) = 1.25 (V) ÷ I (A) です。 Riには P (W) = 1.25 (V) × I (A) の電力が消費されますので、P(W)以上のワット数の抵抗を使用します。 ここの消費電力もトランジスタ式の倍になりますので、使用する抵抗のワット数は注意してください。 下の測定グラフはトランジスタ検知式の回路で計測したものです。 [追記ここまで]
【利点】DC/DCコンバータ部は完成基板を100円ショップで入手できる。(315円商品ですが) 電流制限する為に抵抗回路などの負荷を使用しないので無駄な電力ロスや発熱が非常に少ない。 本当にLEDが必要なエネルギーしかダイナモから取り出さないので、同じコンバータ基板でも定電圧方式より更にエネルギー効率が良い。 【欠点】 コンバータの入力−出力間の電圧差が1V弱程度になるので、トランジスタ回路だけの定電流回路より少しLEDが点灯しはじめる電圧が高くなる。 ● 動作測定グラフ ![]() 点灯開始は約5V程度から。(もちろんまだ十分な明るさではありません) 約7V以上で安定した電流供給ができています。 入力側(ダイナモ側)の電流は7V以上ではぐんぐん下がっています。DC/DCコンバータが電力変換をしている証拠です。 【走行感】(シミュレーション) LEDが点灯をはじめる5〜6Vまではペダルは非常に軽いです。 LEDが点灯し始める(6〜7V)と電球の時の半分くらいの軽さです。 グラフの「抵抗」で見てとれるように、スピードが上がるにつれグングンペダルは軽くなります。高速走行時のペダルの軽さは群を抜いています。 レーサータイプの自転車などで、高速走行をする人には非常に適している回路です。 【改善点】 もう少し低い電圧から点灯させられれば良いのですが、人が歩く程度のスピードでは光りません。 高速走行時にはグングン軽くなるのでスピード重視の場合は良いのですが、電力効率重視の回路でものんびり走っている時には明るく点灯しないのはあまり良くありませんね。
今までの回路図では、ダイナモで発電された交流をダイオードブリッジで全波整流していましたが、図7のような「倍電圧整流回路」で整流してやれば出力電圧は2倍になります。「スピードが遅い時には電圧が低くてLEDが光らない」という不具合に対しての1つの対処法となるでしょう。 しかし良いことばかりではなく、倍電圧整流回路では電圧は2倍になりますが電流は1/2(半分)になります。 電圧は高くても、LEDをじゅうぶん点灯させられるだけの電流が得られなければやはり過負荷状態で出力電圧は下がってしまいますので、点灯回路やLEDがちゃんと動作しない場合もあります。 興味のある方は実験してみてはいかがでしょうか。
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