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気の迷い 「ちょっと奥さん!」
小・情・報 今回はポータブル電源のお話しです。
![]() 丸型の自動車シガープラグ用ソケットが2個ついたバッテリーで、12V用の機器が2個まで使えます。 充電するには付属の「ACアダプター」と「シガーライターケーブル」の2種類の電源で充電できます。(が、実は…) ![]() YUASAのNP7-12というバッテリーで、12V7Ahの容量があります。 上のほうには、シガーソケットが2つとヒューズ、「充電回路基板」「残量表示基板」の2枚の基板が入っています。 ヒューズは自動車用の10Aのものが付いていて、最大出力は12V/10Aとなっています。 災害時用にそのままカー用品店で売られている「12V用蛍光灯」などを使うのにも良いですし、「DC12V→AC100Vインバータ」を繋いで100V機器の電源にするという使い方もあります。 屋外でのお花見やバーベキューの際にはインバータで普通のAC100V用蛍光灯(ボールタイプ)を点灯させて照明に使ったり、電源の無いところでノートパソコン等を使うのに使ったりとかなり色々な場面で活躍してくれています。 実はこのSG-1000はもう5〜6年以上使っているもので、バッテリーがかなりヘタってきたので中身を交換できないかと分解してみたのですが、NP7-12は日本橋でもネット通販でもどこでも売られているバッテリーなので入手には困らないのですが、価格が約8000〜10000円とかなり高いのです。 それに対してSG-1000は安い時で5000円台、ふだんでも6000〜7000円で売られているので、中のバッテリー単体で買うより安いのです。 バッテリーの入替作戦は中止。こんどまた新品を買おう! それでは、という事で今回は中身をバラして、充電回路やバッテリー残量を表示するLED表示回路がどうなっているのか調べてみましょう。 ● 充電回路 先にも書きましたが、SG-1000は付属の「ACアダプタ」か「シガーケーブル」を接続して充電します。 「ACアダプタ」は12V/800mAのものが付属します。 この「ACアダプタ」は開放電圧(無負荷電圧)が約17Vになりますので、単にトランスとブリッジダイオード、コンデンサだけの整流・平滑回路で、安定化電源では無いことがわかります。 「シガープラグ」を通じて車から充電する際も、自動車の電源は規格では12V(13.8V)ですがバッテリー電圧は変動します。 これらの電源から鉛シールドバッテリーを充電する回路が小さな基板に組み込まれていると思われます。 ![]() 写真の電源基板には可変電圧三端子レギュレータのLM317Tが一個と部品がいくつかついています。 | LM317 データシート PDF |
LM317Tは定電圧電源用のシリーズレギュレータですが、回路の組み方次第では定電流電源も簡単に作れてしまいますので、パッと見ではどちらの回路かはわかりません。パターンを追って回路図を書いてみましょう。 ![]() LM317の出力が13.5Vになるように半固定抵抗が調節されています。 バッテリーにかかる電圧はD1のVfを引いたぶんなので、12V以上、13.8V以下なのでごく普通の充電用電圧ですね。 この充電入力基板で鉛バッテリーを12Vに充電しようとすると、LM317の最低ドロップ電圧と、逆流防止用ダイオード(D1)のVfを足した電圧に12Vを足した合計電圧以上の入力電圧が必要です。 付属の「12VACアダプター」では最大17V程度(無負荷時)の電圧がかかりますので、充電電流(負荷)により変化しますが十分に満充電まで充電できます。 しかしながら「シガーケーブル」の場合、元になる自動車のバッテリー電圧が12V程度だと、そこからドロップ電圧を引くと全然満充電用の電圧に足りず、満充電はできないことになります。 なるほど確かに、購入して最初に車に乗せてシガー端子に接続し、何日たっても「バッテリー残量メーターの緑色が点灯しない(満充電にならない)」状況が続いたわけです。 発電機の性能が良く、走行中はシガー端子にも高い電圧が出ている車(それはそれでレギュレータの不良?)でないとシガー端子からは満充電にできない充電回路のようで、発電能力の弱い軽トラックで、しかも車のバッテリーがその後暫くして死んでしまったほど弱っていた車では、このポータブル電源は充電できませんでした。 車から降ろしてACアダプターで充電したら一晩で満充電になりました。 LM317はよく使う電源ICなので、基板からとり外して部品箱に入れておきましょう。 金色の放熱板もなんだかカッコイイですね。 ● バッテリー残量表示回路 SG-1000にはバッテリーの残量を表示するメーターが付いています。 ![]() メーターと言っても3個のLEDで 「緑黄赤」=満 「×黄赤」=要充電 「××赤」=ほぼ空 「×××」=電圧無し という4段階表示です。 ![]() 赤色LEDはそのまま抵抗一個で光らせているだけですので、これが消えるくらいバッテリーが消耗しているとかなり大変です。 LM358を外して部品箱に入れるのも良いのですが、これはこのまま自動車用のバッテリーチェッカーとして流用することもできますので、基板には手を加えずにジャンク箱に入れておくことにしましょう。 ◇ ◇ ◇
![]() バッテリーを単体で買うより、充電回路やケース・コネクタまで付いて安いとおトク感もあり、12V系のポータブル機器を持っている人には便利なバッテリー電源です。 とりあえず、バッテリーが死んで使えなくなったこのケースは中身を抜いて何か持ち運ぶ機器を組み込む用のケースとして保管しておきましょう。
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