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気の迷い 「ちょっと奥さん!」
小・情・報 今回は100円ショップで遂に単三電池2本で、昇圧回路内蔵LED懐中電灯の情報です。
![]() 100円ショップF.FLET'S(フレッツ)で購入。 先日「単四×3本使用」の100円ショップLEDライト“ランチャーライト”をご紹介したばかりですが、こんどはなんと100円(税込105円)で昇圧回路内蔵、単三電池×2本使用の3LEDライトの登場です。(電池は別売) 買った時には「また例の単三×2本LEDライトみたいに3VでLEDを直接駆動してるライトだろう」程度に思っていましたが、家に帰って点灯してみると異常に明るい!(笑) そこでヘッドの裏側からLED基板を引き出してみると・・・なんと昇圧用ICらしい物とコイルが付いているではありませんか!? かなり乱暴そうな回路ではありますが、れっきとした昇圧回路搭載のLEDライトのようです。 LR44使用の「VLEDライト」にいつかはDC/DCコンバータを組み込もうかと思ってはいましたが、100円で昇圧回路内蔵のライトが発売されてしまっては改造する必要も無くなってしまいましたね(^^; 電池も入手性の良い単三電池で、ボタン電池などよりは長いランタイムも期待できそうです。 ![]() ちなみに、全く同じボディで従来型のクリプトン球タイプの懐中電灯も100円ショップで売られています。最初はそれだと思って見落としていました。 LEDは最近の100円ショップライトでは多く使われるようになったシルクハット型(帽子型)の5mm白色LEDを3個使用しています。 シルクハット型LEDはLED自体にはレンズは付いていなく光は広角に広がりますので、銀色のリフレクタ(プラ製)で前に向けて集光するようになっています。 このへんは「VLEDライト」と似ていますね。 使用されているLEDはVf=3.2〜3.3V(実測値)@If=20mAというごく普通のものです。 ヘッド部は簡単に分解できます。 ![]() ![]() 残念なことに半導体の型番は消されていて何なのか判明しません。 多分DC/DCコンバータICか、LED点滅ICの発展形のような単純な発振回路IC(ドライバ内蔵)のどちらかだとは思います。詳細は後ほど。 ランタイムテストの結果です。 ![]() 元が3LEDですから、遠くを照らしたりはできませんが手元や足元を照らす程度であれば、単三アルカリ電池2本でも長時間使用できて良さそうですね。 ニッケル水素充電池 VOLCANO NZ(1300mAh)では7時間程度で急に暗くなり始め、8時間過ぎで1.8Vまで電圧が下がりましたのでテスト停止です。(急に電圧が下がり始めた時点で片方の電池が先に放電を終了しはじめた様子ですが、2本とも程なく電圧低下して終止電圧で実験終了しました) どちらのグラフでも「電池電圧が下がっても出力を一定に保つ」という性能を有するDC/DCコンバータチップ使用では無い事は一目瞭然です。 もちろん100円商品にそこまでの性能を求めるのは酷ですが、どんな昇圧回路かという点は把握しておきたいですよね。 上のランタイムグラフを見てもだいたいは分かりますが、電圧と明るさはほぼ比例関係にあり、消費電流は平均で150〜200mA程度ではないかと思われます。 そこで今度は電源電圧と明るさ、そして消費電流を測定してみます。 ![]() 3Vを越えて更に高電圧ではグラフでは明るくなっているように見えますが、昇圧出力に異常な発振が見られはじめチラチラと明るさが変り、またLEDにも過電流が流れているので色味がだんだん青くなってきて「かなり危険な色」になります。 アルカリ乾電池では「暗いが長時間は点灯している」理由もこのグラフを見れば一目瞭然ですね。 ![]() 電源はアルカリ乾電池です。 この時の発振周波数は約500KHzとかなり高いですね。型番不明のチップは小さなコイルで昇圧するのに適した発振機構になっているようです。 ある程度は定電圧仕様のPWMかPFM制御ができるDC/DCコンバータICかも?と思い、淡い期待を抱いて電源電圧を変えて波形を観測したところ・・・「電源電圧に応じて発振周波数が変わるだけの唯の発振回路IC」である事が判明しました。 3V…666KHz/2.5V…500KHz/2.0V…333KHz/1.5V…178KHz(このあたりでコイルのチャージ容量が足りなくなり波形のお尻が垂れ始める)。どの周波数でもデューティ比に変化はありません。最初に想像した通り「単純な発振回路IC」でした。 100円商品に入れる事ができる程度の物ですから、自転車のLEDフラッシャー等と同じく比較的簡単な電子回路が入っているくらいの安く作れるICなのでしょうね。 LEDにはパルス状に約3.8〜3.9Vもの電圧がかかっています。パルス駆動でオーバードライブしています。(確かに光の色はかなり青っぽいです) この状態では点灯サイクルでは平均500mAの電流が流れていますので、LED一個には約166mAも流れていることになります。 このLEDのパルス駆動(デューティ60%)での最大定格電流はわかりませんが、かなり多すぎのような感じですね。 電池がある程度減って消費電流が180mA程度になったとしても、LED一個には60mA位の電流をパルス状に印加していますので、かなり暗いと感じるようになるまではこのライトではLEDの寿命にはあまり良くありません。 ![]() 右の写真(暗フィルターをかけています)のように3個あるLEDのうち1個(左側)が死にかけです。 暗いのはもとより、間もなく絶命する「チラチラと点滅する症状」になっています。 まぁ、調査した通りの過電流でバンバン光らせているライトですから、この3LEDライトブラックも「LED寿命は無視した100円ライト」のお仲間のようです。 100円ショップでは定番の「ボタン電池ですぐ電池切れになるLEDライト」とは違い、単三電池を交換することができるライトという位置づけは非常に魅力的です。 安心して使いつづけるには、やはり抵抗を追加する基板改造が必要かも・・・ [12/5 追記] ● 出力安定化改造テスト ![]() 危惧していた「パルス点灯させているから、平滑すると出力が足りなくなるのでは?」という点については無事クリア。平滑後も3.5〜3.7V程度の電圧を保っています(電池が十分な時)。もちろんそのままではまだLEDには過電流です。 そこでわずかに電流制限抵抗を入れてやる事でLEDの定格+αくらいの電流で点灯させる事にします。 4.7Ωの抵抗で、少し使ったアルカリ電池2.7Vで約80mA、ニッケル水素充電池の安定期の電圧2.5Vで60mAとちょうど良い感じです。 これくらいの部品ならLED基板の改造で狭いスペースですが追加できそうですね。 ニッケル水素充電池を使用すれば長時間ほぼ定格電流で光らせることができますのでLEDの寿命は規格通り数万時間は使用できるでしょう。 ● 定電流駆動改造テスト ![]() そのトランジスタの出力でICの電源をカットして過電流になる時点で動作を止めて一定の電流値で安定させる回路です。 実際のテストではICの電源はカットせずに、電源電圧が何Vになったら電流検知回路部分が働くかをチェックします。 結果、電源が2.9V程度以上でトランジスタが働く事がわかりました。 この回路では、新品アルカリ電池でも本当に最初の頃しか3Vくらいの電圧は維持されませんから、この電流制限回路(と110mAという制限値)では新品電池を入れた最初の少しだけしか定電流動作はしないことになります。 電流検知用抵抗は110〜120mAでトランジスタを働かせる為に4.7Ωを使用しましたが、この4.7Ωだと上記の単純に電流制限した時の最適値なので当然と言えば当然なのですが、別にトランジスタで電流制限をかけなくても良いという事です。 そしてもう1つ問題。 このICは比較的消費電流が大きいらしく、電源端子を抵抗で少し制限するだけですぐに動作しなくなります。 という事は、この回路図のような抵抗とトランジスタ一個での電源カット方法ではだめで、もう2つくらいトランジスタを追加してICの電源をトランジスタでON/OFFするようにしなければならず、小さな基板の隙間に回路を組み込むには無理が出てきます。 という事で、このライトには定電流回路を入れる必要もなく、また入れるのは大変なので定電流回路にするのはやめ!でいいという事にします。 (C)「気の迷い」 Kansai-Event.com 本記事の無断転載・転用などはご遠慮下さい |
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