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![]() ![]() イーグル単4ニッケル水素電池用放電器 「AAA アクティブメイト」 AAA Active Mate の性能を調べる * 記事を掲載 2007/12/3
「マッチモア単4ニッケル水素電池用放電器 AAAD「MR-3ADCK」の性能を調べる」ページで話題に出ました、 『イーグル単4ニッケル水素電池用放電器 AAA Active Mate「AAA アクティブメイト」』を購入しましたので分解・測定を行いました。
![]() ミニッツ用放電器として模型店ではミニッツコーナー(または充電器等のコーナー)に並べられています。 先に発売されている「マッチモア MR-3ADCB|K|P」と非常に似た外観で、「同一製品のOEM商品では?」とうわさされていた商品です。 確かに単4サイズギリギリまでコンパクトに収められたアルミ製ボディ、ネジ締め込み式のバッテリーホルダー・ターミナル、LEDによる個別放電表示など見た目は非常に似ています。 しかしMR-3ADCB|K|Pが定価約6000円、実売が4500〜5000円するのに対して、AAA Active Mateは定価2980円、実売2500円程度と約半額近い安値で売られています。 また ・0.5A #2870 アクティブメイト 0.5A (ライトブルー) ・1.0A #2871 アクティブメイト 1.0A (ブルー) ・1.5A #2872 アクティブメイト 1.5A (パープル) と3種類の放電電流が異なる商品がラインナップされています。 (スイッチ切り替えでは無く別商品です) 最初は各電流値の製品ごとに「ライトブルー」「ブルー」「パープル」の色違い3種、合計9種類の商品があるのかと思いましたが、ショップに並んでいた品や他に購入された方のお話を総合すると、どうやら電流値ごとに色を決めているようです。 『マッチモアと同じ内容で半額?、それとも安物の粗悪品?』と疑問や想像の噂が飛び交っていてどうにも中身が気になる放電器ですので、実態を探るべく入手しました。 ![]() ![]() ・本体の高さが少し高い・幅も少し広い ・両端の黒い部分の形が違う ・止めネジが片側5本 ・LEDが小さい(3mm) ・−側の締め込みネジの頭が小さい ・本体裏側がヒートシンク状になっている ちょっとカッコイイ…かも→
![]() ・側面にはシルク印刷があるが前・後面には無い(コスト削減?) ・ゴム足では無く前後の黒い部分がそのまま足 ・脚部には凹凸が付けられていて積み重ね置きができる ![]() ・両端の黒い部分はMR-3ADCはエポキシ樹脂製(に見える)なのに対してActiveMateはプラで、各穴などからヒビが走っているように見える中華プラ素材の安っぽさ ・電池受け内部はMR-3ADCはマット処理で電池はぴったり密着、ActiveMateは板状の突起があり電池は底から浮いた形で固定される(本体が熱くなるため?) など見た目での違いもたくさんあります。 特に底が放熱板風になっていたり電池を浮かせているのは、放電電流1.0Aや1.5Aの製品もあるので発熱も多く、それに対応する為の熱対策などをしているようですね。 パケージには
・0.9Vまで放電 (←多分ここが皆さんの一番知りたいところ) ・オートカットされる (←ここも?) ・放電は一本単位、セットした時点から開始 ・LEDも個別制御、但し電池2本セットした時のみ こういう性能の放電器という事です。 お店によっては広告に
0.9Vでカットされるようですね。 さてAAA Active Mateでも気になるのは「個別LED」の存在です。 ニッケル水素充電池一本の1.2V程度ではLEDは点灯しません。(約2V近く必要です) マッチモアMR-3ADCB|K|Pでは専用機能のICによってそれを実現していました。 AAA Active Mateではどうなっているのでしよう?
![]() マッチモアMR-3ADCB|K|Pの基板のOEM製品ではなく、全く違う基板である事が確認できました。 イーグルの放電器などで過去使用されていた基板と同じでレジスト色が「黒」の精悍なイメージのプリント基板です。過去の単セル放電器などではプリント基板が剥き出しで使用されていたので表面保護とデザインの両方の意味で「黒レジスト」が使用されていたと思うのですが、今回のようにケースの中に隠れてしまう物でも同じ仕様にしているのはイーグルの社風なのでしょうか? 中央に見えるICがLEDの点灯を司っています。 マッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じCOSMO 1040が使用されていました。 COSMO 1040の周辺の抵抗・コンデンサもチップ部品にはなっているものの、MR-3ADCB|K|Pと全く同じ値のものが使用されていて回路図も全く同じです。 ということはマッチモア/イーグルでそれぞれ独自設計しているというよりは、「COSMO 1040というLED点灯ICの仕様書にある標準回路図の通りに作っている」という感じではないでしょうか。 今後ほかのメーカーが作ってもCOSMO 1040を使用している限りはほぼ同じような放電器になりそうです。 さてそれでは肝心の放電回路です。 ここまで書いたらもう説明しなくても想像がつくとは思いますが、放電回路もやはりマッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じで左右に2個ずつ「おなじみのシリコンダイオードと放電用抵抗」があります。 もちろん0.9Vでの放電カット(停止)回路は見当たりません。 ![]() ● 放電回路 ![]() 1番から4番までの電池ソケットには、直接「ダイオード+抵抗」の放電回路が接続されています。 使用されているシリコンダイオードは1N5399でここまでマッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じ。これもCOSMO 1040の標準回路図に型番まで書かれているのでしょうか?(別に他のダイオードでもいいのに…) ![]() ということは、この放電器のカット電圧は0.54Vという事で、やはり全然0.9Vカットではありません。 放電抵抗は1.0Aタイプで0.47Ω、1.5Aタイプで0.22Ωが入っていました。ある程度発熱しますのでセメント抵抗です。 (1.5Aタイプ写真提供 DESA 様)
実際に放電するとどうなるのかは次の項でテスト結果をグラフで掲載します。 ● LED点灯回路 ![]() LED点灯回路については既に書いたようにCOSMO 1040による2本ごとの点灯回路です。 専用ICなので中身の正確な回路図はわかりませんが、電池2本ずつを直列にして電源を与え、各電池の電圧を検出する入力端子に(設定調整用の?)抵抗を通して与えた電圧でLEDの点灯状態をチェックしているようです。 (電池2本の場合にLEDが点灯できる原理などはMR-3ADCB|K|Pのページに書いてあります) LEDは正しく0.9Vで消灯します。(実際は0.95V程度) 状況は下のグラフで示します。
それでは、実際に電池を放電してどのようになるのか測定してみましょう。
▼グラフをクリックすると拡大表示
今回使用したのは「1.0Aタイプ」なのですが、測定した結果は放電電流は最初は約950mAで大半の時間は720〜730mA前後です。700mA前後の放電中の1N5399のVfは約0.8V(500mA放電よりやはり少し高い)、0.47Ωの抵抗にかかる電圧は約0.34Vですのでこの数値です。 ザップドバッテリーやeneloopなど維持電圧が高いバッテリーの場合は放電中の電圧も高いので初期は約1A、平均で約800mAに近い値で放電が続くでしょう。 広告の「1.0A放電(但し1.0Aタイプ)」に間違いはありません。 LEDは約0.95Vで消灯します。(1.0Vくらいから徐々に暗くなってゆきます) ほんの少し0.9Vよりは高いようですが、急激に電圧が下がっている期間ですので誤差の範囲程度ですね。
「約15くらい」というのが子供をお風呂に入れている時の「15数えてね」相当なのか、「15秒」なのか、「15分」なのかわからないところがやはり説明書に意味不明の記述をするのが常の「イーグル語」です。今回もあって良かった(笑) 冷却するという事から考えれば多分「15分」だとは想像がつくのですが・・・(それが正しいかどうかはイーグルの人にしか分からない…) 話が横道に逸れそうなので冗談はこれくらいにして。 「秋月MW-1268」の説明書でもありましたような少し曖昧な表現ですね、これが「15分後に絶対に取り出さないと電池が壊れるぞ!」なのか「15程度後に取り出しても取り出さなくても良いのか?」、その他なのかが不明な説明ですね。 『バッテリー放電は、独立して行われオートカット回路により放電を停止します』という説明を信じるとやっぱりLEDが消えた時点では放電はカットされているから、15分待つのは熱い場合にヤケドしないように注意を促してくれているのであって、別に冷めてからならいつ取り外してもいいような説明に読めます。 「いつ取り外しても」という所に幅があるので問題ですね。 これを「常識では××分以内程度だろう」と簡単に片付けられないのですから。 この放電器もラジコン用品に多い『ランプが消えたら電池を外しましょう!』タイプである事がわかります。「0.9Vカット」という甘いささやきを信じてLEDが消えた後も何時間も電池をセットしたままにすると、最低で0.54V程度まで過放電して電池にダメージを与えてしまいます。 前回のマッチモアMR-3ADCB|K|Pの記事を公開した際に
確かにそれはその通りだと思います。 1セットを使用後に放電させておいて、別のセットで走行をして、そのセットで走り終わる頃には前のセットの放電は終了していて交換すれば良いのですから何時間も放置する事は無いので自動カット回路が無くても何時間も過放電状態に置くことはまずありません。 ピット作業で放電までして、また次の機会へ備えておくのが熟練者の使い方でしょうね。 しかしミニッツファンや放電器を使用する人が全員プロ並の電池管理ができているかと言えばそうではなく、実際に私の所にくる質問では「○○放電器は自動で切れますか?」という内容がかなりの数になります。 普通の人はこの放電器のように「0.9Vまで放電」と広告されていれば「0.9V以下には放電しない」物を求めてしまいます。(これは表記の仕方によると思います) 世の中の全てのラジコンファンやミニッツレーサーの全てがラジコン用品に精通していれば良いのですが、裾野の広いホビーの世界ですから、なんでも知っている上級者でなくても正しくその機器の素性を知ってその上で使用方法について注意して取り扱う意識が生まれれば良いと考えています。 また走行現場での放電以外でも放電器は使用しますよね。 保管しておいた電池のコンディションを整える為に充電→放電→充電などを行う作業では、ショップ・コースなど外出先ではなく家の中で長時間かけて放電を行う必要もあります。そのような場合にはすぐに放電は終わりませんのでつい忘れてしまってLED消灯後すぐに電池を取り外す事ができない事もじゅうぶんに考えられる事ではないでしようか。 プロなら「家の中でも放電中は常に注意して監視しろ!」が基本かもしれませんが、使うのは平凡な人間なのでミスをする事は避けられないと思います。 そういう使われ方をする事もある機器ですから、「0.9Vカット」と書くならば正しく0.9Vで放電回路が切れて放電を終了してくれるのがプロの人でも初心者でも「どちらが使っても安心」で、より親切で電池も痛めずに済む良い製品と言えると思うのですが。 自動的に0.9Vで放電が停止する放電器ではありませんから、『ランプが消えたら電池を外しましょう!』タイプなので放電中は時々はLEDを見て、LEDが消えていたら電池が熱くないか確かめて、なるべく速やかに電池を外しましょう。 実際にマシン走行に使用した後の電池であれば残容量により変わりますが放電時間も短く、放電開始から少しの時間おきに見る程度でじきに放電が終了するでしょう。 (実際に放電しつつ別のマシンメンテ作業をしていて、そのまま忘れて翌日まで放置していた人も居ますけど・・・。LEDが消えていると意外と机の上で目立たない?) 何か理由があって(たとえば単四ニカド電池を放電させる為)「俺は0.6Vまで放電させたいんだ!」と思う場合は数時間ほど放置するという使い方にも使えます。
外観上は数々の違いがありますが、回路自体はCOSMO 1040を使用したLED点灯回路を中心に作られたマッチモア製品と同じ構成の放電器でした。
放電電流が0.5A/1.0A/1.5Aと選べる以外の電気的特性・放電特性に違いはありません。0.5Aタイプだと全く同じと言ってもよいでしょう。 0.5Aタイプを購入するのであればデザイン・メーカーの好みでお好きなほうをどうぞ!という感じですね。 実売価格2500円程度という購入しやすい価格帯で売り出された普及版単四放電器と考えれば、0.9Vで自動停止する回路が無くてもこれで十分という気がします。(また「納得できますか?」という投稿が来ますか…) 先に発売されていたマッチモアの製品は多少高価で、後発のこの製品が値段を下げてきているのは(電気)工業製品としてはよくある話なので、そういう背景を踏まえた上で両者の価格は比較しなければなりません。 機能的にはやはり「ダイオード+抵抗」方式の放電器でした。 LEDが0.9Vで消えて放電終了をお知らせしてくれる機能に関してはかなり正確な電圧で消えるので、消えてから忘れずに電池を取り外せば良いだけです。 (同じCOSMO 1040を使用しているマッチモアMR-3ADCも同様に正確です)
残念ながら「自動的に0.9Vで放電が終了する」放電器ではないので、放電終了の監視と手動で電池を取り外さなければならない事はマッチモア製品と同じですが、放電電流が0.5A/1.0A/1.5Aから選べるのは後発商品に付加されたアドバンテージだと思います。![]() ミニッツレーサーでも電子工作はできない・苦手という方にとってはやはりメーカーが必要な機材を販売してくれるという事は大変ありがたい事です。 自作派・自作できる人は好きなように自作すればよい、購入派は今回のように複数メーカーから似た機能の製品が販売されて選択する機会が与えられればよい。 ミニッツのマシンだって完成品もあれば組み立てパーツも売っている。選択はユーザーの自由。そういうものだと私は思っています。 使用者が機材を使用する上で、中身を知ってそれをどう活用または注意すれば良いのか、メーカーの説明や注意が不十分とか「不明」の物が多いので、気になる物を調べてみるのが「気の迷い」の趣旨の1つですし、私の趣味です。(←これが最大)
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