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イーグル単4ニッケル水素電池用放電器
「AAA アクティブメイト」
AAA Active Mate の性能を調べる


* 記事を掲載 2007/12/3


 「マッチモア単4ニッケル水素電池用放電器 AAAD「MR-3ADCK」の性能を調べる」ページで話題に出ました、 『イーグル単4ニッケル水素電池用放電器 AAA Active Mate「AAA アクティブメイト」』を購入しましたので分解・測定を行いました。


■ AAA Active Mateとは?

 AAA Active Mateはイーグル模型の放電器「アクティブメイト・シリーズ」の中の1つで、単4電池を4本個別に放電できます。
 ミニッツ用放電器として模型店ではミニッツコーナー(または充電器等のコーナー)に並べられています。

 先に発売されている「マッチモア MR-3ADCB|K|P」と非常に似た外観で、「同一製品のOEM商品では?」とうわさされていた商品です。

 確かに単4サイズギリギリまでコンパクトに収められたアルミ製ボディ、ネジ締め込み式のバッテリーホルダー・ターミナル、LEDによる個別放電表示など見た目は非常に似ています。

 しかしMR-3ADCB|K|Pが定価約6000円、実売が4500〜5000円するのに対して、AAA Active Mateは定価2980円、実売2500円程度と約半額近い安値で売られています。
 また
0.5A #2870 アクティブメイト 0.5A (ライトブルー)
1.0A #2871 アクティブメイト 1.0A (ブルー)
1.5A #2872 アクティブメイト 1.5A (パープル)
と3種類の放電電流が異なる商品がラインナップされています。
(スイッチ切り替えでは無く別商品です)

 最初は各電流値の製品ごとに「ライトブルー」「ブルー」「パープル」の色違い3種、合計9種類の商品があるのかと思いましたが、ショップに並んでいた品や他に購入された方のお話を総合すると、どうやら電流値ごとに色を決めているようです。

 『マッチモアと同じ内容で半額?、それとも安物の粗悪品?』と疑問や想像の噂が飛び交っていてどうにも中身が気になる放電器ですので、実態を探るべく入手しました。


 マッチモアMR-3ADCB|K|Pと比べると
・本体の高さが少し高い・幅も少し広い
・両端の黒い部分の形が違う
・止めネジが片側5本
・LEDが小さい(3mm)
・−側の締め込みネジの頭が小さい
・本体裏側がヒートシンク状になっている
ちょっとカッコイイ…かも→


・側面にはシルク印刷があるが前・後面には無い(コスト削減?)
・ゴム足では無く前後の黒い部分がそのまま足
・脚部には凹凸が付けられていて積み重ね置きができる
・−側のコンタクト(ネジ)はMR-3ADCは長すぎて実際に電池をセットすると非常に長く出っ張る、ActiveMateは適度な長さ
・両端の黒い部分はMR-3ADCはエポキシ樹脂製(に見える)なのに対してActiveMateはプラで、各穴などからヒビが走っているように見える中華プラ素材の安っぽさ
・電池受け内部はMR-3ADCはマット処理で電池はぴったり密着、ActiveMateは板状の突起があり電池は底から浮いた形で固定される(本体が熱くなるため?)

 など見た目での違いもたくさんあります。

 特に底が放熱板風になっていたり電池を浮かせているのは、放電電流1.0Aや1.5Aの製品もあるので発熱も多く、それに対応する為の熱対策などをしているようですね。

 パケージには
放電の仕組み
 AAAアクティブ・メイトは、独立オートカット回路付放電器です。
 個々のバッテリーを0.9Vまで放電し、バッテリー内部を活性化させ寿命と出力を最大限引き上げます。
 バッテリー放電は、独立して行われオートカット回路により放電を停止します。LEDも独立して制御します。しかし、制御用の電源は左右に2本ごとの回路となっており、それぞれ2本セットにしないとLEDが点灯しません
 なお、放電はホールドスクリューで固定した時点で1本でも開始され、終了後はオートカットします
 つまり
・0.9Vまで放電 (←多分ここが皆さんの一番知りたいところ)
・オートカットされる (←ここも?)
・放電は一本単位、セットした時点から開始
・LEDも個別制御、但し電池2本セットした時のみ
こういう性能の放電器という事です。
 お店によっては広告に
   0.9Vカット
などと書かれています。
 0.9Vでカットされるようですね。

 さてAAA Active Mateでも気になるのは「個別LED」の存在です。
 ニッケル水素充電池一本の1.2V程度ではLEDは点灯しません。(約2V近く必要です)
 マッチモアMR-3ADCB|K|Pでは専用機能のICによってそれを実現していました。
 AAA Active Mateではどうなっているのでしよう?


■ 開けてみる

 中には左の写真の基板が入っていました。

 マッチモアMR-3ADCB|K|Pの基板のOEM製品ではなく、全く違う基板である事が確認できました。
 イーグルの放電器などで過去使用されていた基板と同じでレジスト色が「黒」の精悍なイメージのプリント基板です。過去の単セル放電器などではプリント基板が剥き出しで使用されていたので表面保護とデザインの両方の意味で「黒レジスト」が使用されていたと思うのですが、今回のようにケースの中に隠れてしまう物でも同じ仕様にしているのはイーグルの社風なのでしょうか?
 中央に見えるICがLEDの点灯を司っています。
 マッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じCOSMO 1040が使用されていました。
 COSMO 1040の周辺の抵抗・コンデンサもチップ部品にはなっているものの、MR-3ADCB|K|Pと全く同じ値のものが使用されていて回路図も全く同じです。
 ということはマッチモア/イーグルでそれぞれ独自設計しているというよりは、「COSMO 1040というLED点灯ICの仕様書にある標準回路図の通りに作っている」という感じではないでしょうか。
 今後ほかのメーカーが作ってもCOSMO 1040を使用している限りはほぼ同じような放電器になりそうです。

 さてそれでは肝心の放電回路です。
 ここまで書いたらもう説明しなくても想像がつくとは思いますが、放電回路もやはりマッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じで左右に2個ずつ「おなじみのシリコンダイオードと放電用抵抗」があります。
 もちろん0.9Vでの放電カット(停止)回路は見当たりません。

※ これは「1.0Aタイプ」の回路図です。

● 放電回路

 1番から4番までの電池ソケットには、直接「ダイオード+抵抗」の放電回路が接続されています。
 使用されているシリコンダイオードは1N5399でここまでマッチモアMR-3ADCB|K|Pと同じ。これもCOSMO 1040の標準回路図に型番まで書かれているのでしょうか?(別に他のダイオードでもいいのに…)
 ダイオードテスターで測ったらVf=0.54V台(0.542〜0.547)でしたので、最も電流が流れなくなった時には両端電圧は0.54V程度まで下がってしまいます。
 ということは、この放電器のカット電圧は0.54Vという事で、やはり全然0.9Vカットではありません

 放電抵抗は1.0Aタイプで0.47Ω、1.5Aタイプで0.22Ωが入っていました。ある程度発熱しますのでセメント抵抗です。
(1.5Aタイプ写真提供 DESA 様)

 実際に放電するとどうなるのかは次の項でテスト結果をグラフで掲載します。

● LED点灯回路

 LED点灯回路については既に書いたようにCOSMO 1040による2本ごとの点灯回路です。
 専用ICなので中身の正確な回路図はわかりませんが、電池2本ずつを直列にして電源を与え、各電池の電圧を検出する入力端子に(設定調整用の?)抵抗を通して与えた電圧でLEDの点灯状態をチェックしているようです。
(電池2本の場合にLEDが点灯できる原理などはMR-3ADCB|K|Pのページに書いてあります)

 LEDは正しく0.9Vで消灯します。(実際は0.95V程度)
 状況は下のグラフで示します。


■ 放電テスト

 それでは、実際に電池を放電してどのようになるのか測定してみましょう。

▼グラフをクリックすると拡大表示
 今回使用したのは「1.0Aタイプ」なのですが、測定した結果は放電電流は最初は約950mAで大半の時間は720〜730mA前後です。
 700mA前後の放電中の1N5399のVfは約0.8V(500mA放電よりやはり少し高い)、0.47Ωの抵抗にかかる電圧は約0.34Vですのでこの数値です。
 ザップドバッテリーやeneloopなど維持電圧が高いバッテリーの場合は放電中の電圧も高いので初期は約1A、平均で約800mAに近い値で放電が続くでしょう。
 広告の「1.0A放電(但し1.0Aタイプ)」に間違いはありません。

 LEDは約0.95Vで消灯します。(1.0Vくらいから徐々に暗くなってゆきます)
 ほんの少し0.9Vよりは高いようですが、急激に電圧が下がっている期間ですので誤差の範囲程度ですね。

4.放電終了後は、LEDが消えますが約15くらい、バッテリー冷却のために放置してから取り外してください。
 という注意書きがあります。

 「約15くらい」というのが子供をお風呂に入れている時の「15数えてね」相当なのか、「15秒」なのか、「15分」なのかわからないところがやはり説明書に意味不明の記述をするのが常の「イーグル語」です。今回もあって良かった(笑)
 冷却するという事から考えれば多分「15分」だとは想像がつくのですが・・・(それが正しいかどうかはイーグルの人にしか分からない…)
 話が横道に逸れそうなので冗談はこれくらいにして。

 「秋月MW-1268」の説明書でもありましたような少し曖昧な表現ですね、これが「15分後に絶対に取り出さないと電池が壊れるぞ!」なのか「15程度後に取り出しても取り出さなくても良いのか?」、その他なのかが不明な説明ですね。
 『バッテリー放電は、独立して行われオートカット回路により放電を停止します』という説明を信じるとやっぱりLEDが消えた時点では放電はカットされているから、15分待つのは熱い場合にヤケドしないように注意を促してくれているのであって、別に冷めてからならいつ取り外してもいいような説明に読めます。
 「いつ取り外しても」という所に幅があるので問題ですね。

 これを「常識では××分以内程度だろう」と簡単に片付けられないのですから。

 この放電器もラジコン用品に多い『ランプが消えたら電池を外しましょう!』タイプである事がわかります。「0.9Vカット」という甘いささやきを信じてLEDが消えた後も何時間も電池をセットしたままにすると、最低で0.54V程度まで過放電して電池にダメージを与えてしまいます。

 前回のマッチモアMR-3ADCB|K|Pの記事を公開した際に
 ラジコン製品は走行終了後に放電して電池保管ケースに戻すまでが放電器への装着時間な為、LED消灯(0.9V)を見届けて外す方式で問題ありません。
※ その他の要件につしては省略します
というご指摘を受けました。
 確かにそれはその通りだと思います。
 1セットを使用後に放電させておいて、別のセットで走行をして、そのセットで走り終わる頃には前のセットの放電は終了していて交換すれば良いのですから何時間も放置する事は無いので自動カット回路が無くても何時間も過放電状態に置くことはまずありません。
 ピット作業で放電までして、また次の機会へ備えておくのが熟練者の使い方でしょうね。

 しかしミニッツファンや放電器を使用する人が全員プロ並の電池管理ができているかと言えばそうではなく、実際に私の所にくる質問では「○○放電器は自動で切れますか?」という内容がかなりの数になります。
 普通の人はこの放電器のように「0.9Vまで放電」と広告されていれば「0.9V以下には放電しない」物を求めてしまいます。(これは表記の仕方によると思います)
 世の中の全てのラジコンファンやミニッツレーサーの全てがラジコン用品に精通していれば良いのですが、裾野の広いホビーの世界ですから、なんでも知っている上級者でなくても正しくその機器の素性を知ってその上で使用方法について注意して取り扱う意識が生まれれば良いと考えています。

 また走行現場での放電以外でも放電器は使用しますよね。
 保管しておいた電池のコンディションを整える為に充電→放電→充電などを行う作業では、ショップ・コースなど外出先ではなく家の中で長時間かけて放電を行う必要もあります。そのような場合にはすぐに放電は終わりませんのでつい忘れてしまってLED消灯後すぐに電池を取り外す事ができない事もじゅうぶんに考えられる事ではないでしようか。
 プロなら「家の中でも放電中は常に注意して監視しろ!」が基本かもしれませんが、使うのは平凡な人間なのでミスをする事は避けられないと思います。
 そういう使われ方をする事もある機器ですから、「0.9Vカット」と書くならば正しく0.9Vで放電回路が切れて放電を終了してくれるのがプロの人でも初心者でも「どちらが使っても安心」で、より親切で電池も痛めずに済む良い製品と言えると思うのですが。

 自動的に0.9Vで放電が停止する放電器ではありませんから、『ランプが消えたら電池を外しましょう!』タイプなので放電中は時々はLEDを見て、LEDが消えていたら電池が熱くないか確かめて、なるべく速やかに電池を外しましょう。
 実際にマシン走行に使用した後の電池であれば残容量により変わりますが放電時間も短く、放電開始から少しの時間おきに見る程度でじきに放電が終了するでしょう。
(実際に放電しつつ別のマシンメンテ作業をしていて、そのまま忘れて翌日まで放置していた人も居ますけど・・・。LEDが消えていると意外と机の上で目立たない?)

 何か理由があって(たとえば単四ニカド電池を放電させる為)「俺は0.6Vまで放電させたいんだ!」と思う場合は数時間ほど放置するという使い方にも使えます。


■ まとめ

 外観上は数々の違いがありますが、回路自体はCOSMO 1040を使用したLED点灯回路を中心に作られたマッチモア製品と同じ構成の放電器でした。
 放電電流が0.5A/1.0A/1.5Aと選べる以外の電気的特性・放電特性に違いはありません。0.5Aタイプだと全く同じと言ってもよいでしょう。
 0.5Aタイプを購入するのであればデザイン・メーカーの好みでお好きなほうをどうぞ!という感じですね。

 実売価格2500円程度という購入しやすい価格帯で売り出された普及版単四放電器と考えれば、0.9Vで自動停止する回路が無くてもこれで十分という気がします。(また「納得できますか?」という投稿が来ますか…)
 先に発売されていたマッチモアの製品は多少高価で、後発のこの製品が値段を下げてきているのは(電気)工業製品としてはよくある話なので、そういう背景を踏まえた上で両者の価格は比較しなければなりません。

 機能的にはやはり「ダイオード+抵抗」方式の放電器でした。
 LEDが0.9Vで消えて放電終了をお知らせしてくれる機能に関してはかなり正確な電圧で消えるので、消えてから忘れずに電池を取り外せば良いだけです。
(同じCOSMO 1040を使用しているマッチモアMR-3ADCも同様に正確です)
 残念ながら「自動的に0.9Vで放電が終了する」放電器ではないので、放電終了の監視と手動で電池を取り外さなければならない事はマッチモア製品と同じですが、放電電流が0.5A/1.0A/1.5Aから選べるのは後発商品に付加されたアドバンテージだと思います。

 ダイオード+抵抗の単純放電器なら自作したほうが安いですが、AAA Active Mateやマッチモア製品で使用されている写真(は本機)のようなアルミ製ボディなんて個人で製作するのは非常に困難ですし、似た大きさのラジコン用の放熱板パーツだけでもかなりの値段はしますからこういう「作り」の部分では本当に大量生産のできるメーカー製品の価値はあると思います。
 ミニッツレーサーでも電子工作はできない・苦手という方にとってはやはりメーカーが必要な機材を販売してくれるという事は大変ありがたい事です。

 自作派・自作できる人は好きなように自作すればよい、購入派は今回のように複数メーカーから似た機能の製品が販売されて選択する機会が与えられればよい。
 ミニッツのマシンだって完成品もあれば組み立てパーツも売っている。選択はユーザーの自由。そういうものだと私は思っています。

 使用者が機材を使用する上で、中身を知ってそれをどう活用または注意すれば良いのか、メーカーの説明や注意が不十分とか「不明」の物が多いので、気になる物を調べてみるのが「気の迷い」の趣旨の1つですし、私の趣味です。(←これが最大)


マッチモア単4放電器 AAAD 「MR-3ADCK」の性能を調べる
※ この記事を読む前に先に読まれているとは思いますが。もしお読みで無いなら必読です。
ニッケル水素充電池・単セル放電器の製作
・単セル放電
・カット電圧可変!(完全カット)
・自己電源方式(外部電源不要)
・950-700mA 急速放電

 の単セル放電器の製作記事はこちらです。
 ミニッツレーサーの方の利用者も増えています!
 イーグル放電器「#1799 SPミニ・ディスチャージャー」の改良改造も・・・

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 アクティブメイト1.5Aタイプをインテレクト750、走行後の1パックを5時間放電しました。取り外してデジタルテスターで計測すると0.98〜1.01Vでした。

 そのまま保管しておくには低い電圧ですが、数日の間に充電して使うなら丁度いいと呼べるでしょう。実際に使ってみないと分からないものですね。
放電マン 様
お返事  よく「放電器から外してテスターで計ると…」という話を耳にしますが、たいへんな勘違いをされています。

 電池に対して過放電がいけいなのは、「電池のセル内部の電圧が一定以下になった場合を過放電と言い、この状態では電池内部の組成が急速に劣化して回復不能のダメージを蓄積する」からです。

 電池を何にも繋がずにテスターで電圧を測ったら1.0V未満でしたらそれはもう確実に過放電ですが、それではなく機器で使用中に電池内部が1.0V未満になっている状態も同じ過放電で電池には大変良くない状態です。
 機器で使用中に、というのはもちろん放電器で放電中に、も同じ事です。

 自動カットしない放電器(ダイオード+抵抗)で電池を放電して、しばらく取り外さずにいてから電池をとり外した時の電圧の推移をグラフで示します。
 たとえばAAA Activemateであれば電池電圧が0.95V下回るとLEDが消灯します。それが「本来のカット時間」で示した位置ですから、そこで電池を放電回路から切り離す・または取り出さないとそこから先は過放電域に入ります。
(水色の破線が正常に放電を終了した場合の電圧の変化です)
 過放電域に入ってもまだ放電を続けた場合、確実に電池内部でダメージを蓄積し続けています。
 そしてそのダメージは不可逆反応ですので、痛んだ電池は性能が劣化する一方で復元はできません

 しばらくしてから電池を取り外すと、取り外した瞬間から電池の回復力が働いて電圧は急上昇します。
 電池の種類・劣化度などによって様々ですが、数秒から1分もすれば1.1V程度までは回復します。

 もし電池を取り外して1分程度でも0.9V〜1.0V程度だとしたら、グラフで見てわかるようにかなり過放電した電池と言えるでしょう。
 この時点で「0.9〜1V程度あるから大丈夫」「〜ならちょうど良い」というのはたいへんな間違いです。

 インテレクト電池は特に過放電に弱いとよく耳にしますので、このような放置(過放電)はなるべくしないように注意したほうが良いと思います。

 ちなみに、カット電圧の0.9VとはJISの規定で1C放電(750mAhの電池なら750mAで放電)する場合の終止電圧とされている電圧です。
 ニッケル水素充電池の終止電圧は1.0Vですが、電流を流している間は電池の内部抵抗の影響でセル電圧より低い電圧が外部に現れますから、1C程度の電流の場合は外部で0.9Vに見える時が放電(使用)終了とされています。
 ですので多くの放電器は0.5C〜1C程度の放電電流では0.9Vでカット、または表示をしています。
 放電時の電流が少ない場合はセル電圧と外部で見える電圧との差は少なくなりますので、AAA ActiveMateでの過放電域のように少ない電流しか流していない時間帯では、ほぼ内部と外部の電圧は等しくなりますのでその時点の電圧が1.0Vより下回っているという事は電池内部に重大なダメージを与える程度の過放電が続いているという事です。

 但し過放電のダメージは過放電した瞬間からすぐに目に見えるものではなく、電池を取り外してテスターで電圧を測ると回復力によって上がった電圧が見えるので一見すると何も無かったかのように見えます。
 過放電のダメージは後からじわじわやってきますので、使用回数や時間が短くなる・維持電圧が下がってくる・容量が抜ける・自己放電が多くなる・突然死するなどの劣化症状が正規の使用方法をした場合より早く、また顕著に現われるようになるでしょう。

 インテレクトで5時間放置というのはあくまで実験の為だけにして、通常はLEDが消えたらなるべく短時間で電池を取り外すようにしましょう!
お返事 2007/12/11
 
 AAA Active Mateを買ってしまいましたがサイバーギガとの組み合わせで使用すればかなりいいですよ。
 サイバーギガは放電に時間がかかるので、自分は最初にこれで抜いてやってからサイバーギガで整えています。
KY 様
お返事  サイバーギガは放電に時間がかかるのですね。

 急速放電器でだいたい放電してやって、最後はちゃんと放電が止まる放電器で安心して放電は良い方法ですね(^_^)
お返事 2007/12/4
 
 放電器関係の記事を見ていて、既視感を感じたので、よく考えてみました。
 これは、昔の速度レーダー探知機と状況が似てますね。どこかの会社がちょっとだけ技術があって、そこそこの製品を開発して発売すると、同業他社がほとんど同じものを見た目だけ変えて発売する。
 これは、センサメーカーのバックアップがあるため、同じ回路を使うことも有りますが、ほとんどがマンションメーカー(個人営業とほぼ同じ)がたくさん有ったためです。
 彼らは技術は無くても少しの元手と製造工場さえ確保できればそこそこの商売が出来たので、算入しやすかったのでしょう。

 数年後に大手が経営不振で倒産してからは膨大な流通在庫のせいで零細メーカが整理されてしまったので、それを耐えてきたメーカだけが残っていると思います。

 ラジコン用品はニッチなのでそこまでのことは無いかもしれませんが。(笑
kazz様
お返事  ラジコン業界に大手電機メーカーが参入したらたちまち弱小会社は潰れてしまうでしょうが、そんな事はまぁ当分は無いでしょう。

 また小規模メーカー・ディーラーの乱立も「資本力があって有名レーサーのスポンサー企業になれるか」でかなりふるいにかけられる独特の世界なので数が限られてきますね。
 ラジコン大手と呼ばれる数社は「世界・日本のトップレーサーの○○さんも使っている!」というブランド力も持ち合わせています。
 機器製造の面ではレーダー探知機と似た社会構造はありますが、さすがに「F-1レーサーの○○さんは当社のレーダー探知機でスピード違反の摘発を逃れています!」とは宣伝できないでしょう(笑)
お返事 2007/12/4
 
 こんばんは
 わかり易い解説、大変参考になりました。
 やはりマッチモア同様、「自動的に0.9Vで放電が終了する放電器ではない」でしたか・・・
 オートカットを期待していただけにちょっと残念ですが、「LEDが0.9Vで消えて放電終了をお知らせしてくれる機能に関してはかなり正確」ということなので本文に書かれているように放電中もしっかり管理すればかなり有効な放電器ではないでしょうか。
 マッチモアMR-3ADCB|K|Pの投書ページでも書きましたがこの解説が掲載される前に、やはりAAA Active Mateのブルー(1.0Aタイプ)を購入してしまいました(笑)
 見た目もマッチモアより格好良くて使い勝手も非常に良いので、今後のバッテリー管理に役立てたいと思います。

 ところで、放電電流が0.5A/1.0A/1.5Aの3タイプも用意されているのは何故でしょうか?
 素人感覚だと放電電流はいくつでも一緒のような気がするんですが・・・
 単四ニッケル水素充電池にとっては、どの放電電流が最適なんでしょうか?
 放電電流によって電池のパワー等に影響があるんでしょうか?
 また、電気音痴の質問で申しわけありません。
プラムの父 様
お返事  我慢しきれずに買っちゃったのですね(^^;
 「素性を知ってうまく活用する」それでよいと思います。

 電気的な放電性能はマッチモア製品とイーグル製品では同じ(放電電流のみマッチモアは3種類)でしたが、ボディのデザイン・大きさなどが違いますのて日曜に数人に見比べてもらったところ、「自分はマッチモアのほうが好き」「いや自分はイーグルのほうが好みだ」と意見が分かれました。
 こうやって選べる事はいいことじゃないでしょうか。(選んだ人の一部は値段を知らずに外見だけで判断してもらいましたけど…)

 放電電流が3種類用意されているのも「個人の好み」で選んでもらう為だと思います。
 「0.5Aだと時間がかかるから遅い!、だからもっと大電流で速いのは無いの?」とか「自分はゆっくり放電で電池に優しいほうが良いから0.5Aが欲しい」とか、人によって放電電流に対する希望も様々でしよう。

 普通のニッケル水素充電池は2C程度(容量表記の2倍の電流、満充電で約30分で空になります)での連続放電なら壊れる事は無いので750mAh程度の単四ニッケル水素充電池だと1.5A放電が電池の規格に沿った状態では最大の放電電流値になります。
 実際はAAA ActiveMateのダイオード+抵抗の放電回路では1.5Aと書いてあっても満充電電池で最初の数分だけ1.5Aに近い大電流放電をして、少したったら1.2A程度で放電を続けるでしようから「1.5Aタイプ」と書いていても常に1.5Aで放電するような放電器ではありませんので、電池に対して無理をかけるような事も無いと思います。
 大電流放電に特化した専用のニッケル水素充電池ではその限りではありません。

 それでは「放電電流が電池にどう影響するのか?」については実のところあまり科学的には分かっていません。
 ラジコンの世界では「大電流で充電して、大電流で放電したほうが、モーターを回す時にパンチが出る電池に育つ」などという電池育成論を唱える人も居ます。その理論に従って放電するのであれば0.5A放電より1.5A放電をしたほうが良い電池に育つという事になりますね。
 逆に「大電流での充電・放電・使用では電池の寿命を縮めてしまう、走行中は仕方ないとして、放電などでは電池をいたわって長く使いたいので小電流放電を心がけている」という方もいらっしゃいます。
 レーサーによって様々な充電・放電ノウハウがあるようで、これだけは自分の信じる道を進むしか無いようです。

 実はニッケル水素充電池の放電時の規格でも、放電電流によって終止電圧(カット電圧)にも規定があってそれ以下に放電してはいけないという数値がそれぞれあるのですが、今回の放電器のようにランプが消えても放電が続いているような装置ではそれを厳密に定めたりするのはかなり無意味なのでここでは説明を省略します。

 私としては実際にテストして確認したわけでは無いので「大電流充放電が電池を育てる」という理論自体には疑問ですが、ここではテストして確認していない事まで は深く論じない事にして、あくまでラジコン使用用途では充放電の電流値を様々な数値で使用したいという希望が多いという事、それに対応するような製品を売ればよく売れるという事が放電電流値の違う商品が出てきた理由だと「想像」するに留めておきます。

 ニッケル水素充電池を使用する場合、ラジコン用途でも「放電器」は毎回使用するのではなく充電回数で数回〜20回程度に一回の使用でよいです。
 ニカド電池ではメモリー効果の影響が顕著(特に長期間保管した時)でしたがニッケル水素充電池ではほとんど影響が無いので、中途半端に使用と充電を繰り返しても数回だけで突然性能が落ちるという事はまずありません。(よほど劣化してしまった電池を除く)
 特に「個別充電方式」の充電器を使用しているのでしたら充電器でも充電時に全部の電池を正しく満充電にしてコンディションを整えてくれますので電池の管理は楽になります。

 逆に中途充電ではなく「放電器で完全放電をする」と「放電深度が深い」という事になり電池の寿命を縮める原因になります。
 ニッケル水素充電池では「充電深度」「放電深度」がそれぞれ深くなれば寿命が極端に短くなる性質があります。逆に言えば「終止電圧(カット電圧)までの完全放電はしない。満充電しない(これはちょっと無理…せめて過充電しない)。使ったぶんだけ継ぎ足し充電をする。」という使い方では格段に使用回数は伸びます。
 ですので放電器の使用のしすぎは電池の寿命を縮めますので適度に使用しましょう。
 「寿命なんか関係無い!美味しい状態で数回使って使い捨てるのが速さへの道!」という使い方をされる方はそれはそれで良いと思います。

 もしラジコン用充電器で「直列充電」をしているのでしたら、多少使用してバランスが悪くなっている電池セットだと充電中に中のいくつかに過充電して極端に電池の寿命を縮めてしまう事もありますので、「放電器」を使用してほぼ空にしてから直列充電をしたほうが良い場合が多いようです。(条件によるので全ての場合ではありませんが…)
 ラジコン用充電器を使用する人の多くは「充電電流を選べる(調整できる)から」という理由で使用している人が多く、これも自分独自の充電理論にあわせて電流値を調整できるというラジコン用充電器の機能を使いたいが為にそうしている場合が多いようで、充電の場合は電池の容量にあわせて電流を調節するという目的もありますが、こういう「自分の好みの○○が出来る」がレーサーの心を掴む魅力の1つだと思います。

 市販の家電用の単四対応の充電器が充電電流が少なくて遅いので使ってられない!、という理由も実は大きかったりして・・・
お返事 2007/12/4
 

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