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気の迷い ★★ 小ネタ集 ★★ ![]() 100円ショップランプ改造、2分間ランプの製作
* 『自動車用・イグニッション連動自動OFF回路』を追加 11/19
今回も非常に簡単な改造の小ネタをお送りします。
100円ショップで電池式の「プッシュライト」と呼ばれる簡易照明器具が売られています。 数年前に海外のTV通販番組で発売されたのが始まりですが、当時は1個800円くらいし、3〜6個セットで売られていました。 それから1年くらいで中国製のコピー商品が多数出回り、じきに100円ショップにも並ぶようになりました。 100円(電池代別)で買えるならと、使っている方も多いのではないでしょうか。 うちでも納戸やクローゼットの中のランプや、玄関の予備灯として利用しています。 天井に付いている玄関灯(蛍光灯)は松下電工の「玄関スイッチ」でスイッチをOFFにしてから30秒間は点灯し、遅れて切れるようになってはいるのですが、靴を履いて荷物を取ってドアを出るのに時々30秒では足りない時があります。 ドアを出る前に蛍光灯が消灯してしまって真っ暗な玄関ポーチでつまずきそうになった事もありました。 スイッチを同松下電工の「トイレ用」に替えれば(換気扇用端子では)数分くらいまで遅延時間が延びるのでそうしようかと考えた事もありましたが、なんとなくそのまま放置で延び延びになっていました。 そこで今回は玄関の壁にぶら下げっぱなしの乾電池式のプッシュライトを活用することにし、これを「ボタンを押したら数分間だけ点灯し、自動的に消灯するランプ」にしてしまおうというわけです。 電池式ですから、スイッチを切り忘れてわずか数時間で電池を無駄に切らしてしまうようなミスも防げます。
遅延消灯回路(タイマー回路)は色々な方式が考えられますが、今回は「ぴったり××分」とかの精度は必要ありませんので、「だいたい1〜2分くらい点灯してくれれば良い」という程度でなるべく部品点数が少なくて済むように考えます。
これが今回の『2分間ランプ』の回路図です。 ![]() 元から付いていたSW2はそのまま残し、2分ランプでは無く従来通りスイッチを入れている間点灯し続けるランプとしても使用できます。 ※ FET(4V駆動)を使用しますので、必ず電池4本タイプのランプを使用してください。
※ 部品代は店舗により異なります。参考程度にお考えください。
● 動作原理 ふだんは電解コンデンサC1はチャージされていませんのでFETのG(ゲート)端子には電圧がかかっていません。 [点灯開始] 「一時ON」用の押しボタンスイッチSW1をポンと押すと、C1が電源の+に接続されて充電されます。ほんの一瞬で充電は完了します。 C1にチャージされた電圧はそのままFETのG端子に加えられます。FETはG端子(G-S間)に電圧が加わるとD(ドレイン)端子とS(ソース)端子間が通電する性質を持っている素子ですので、D−S間に電流が流れるようになって豆電球が点灯します。 [遅延動作] 「一時ON」用の押しボタンスイッチSW1を離すと充電はしなくなり、C1にチャージされた電気はR1を通して放電されます。 この時R1が小さいと早く放電し、大きいと少しずつ時間をかけて放電します。 FETのG端子にはほとんど電流は流れませんので(このへんがトランジスタと違うところ)、純粋にR1の値でC1の放電時間は決まります。 C1の放電が進み、FETのG電圧が下がってD−S間電流を制限するようになり、豆電球を明るく点灯させられる電流を下回ると徐々に豆電球は暗くなり、G電圧が下がりきると消灯します。 時間が経つとパッと消灯するのではなく、十数秒かけてボ〜っと消えてゆくのでなんとなく高級感があります。(と思うのは私だけ?) もし消灯時にまだ玄関で何かしていて、延長が必要な時には消える前にもう一度ボタンを押せば2分延長しますので、いきなり消えてしまってスイッチの場所がわからないという失敗もありません。 今回の1000μFと100KΩの組み合わせだと、だいたい1分45秒くらいまで全電流が流れて明るく点灯し、そこから約15秒かけてゆっくり暗くなってゆき消灯します。 あくまで簡易タイマー回路なので厳密に秒単位での制御はできませんし、電池が消耗してきたらタイマー時間も短くなります。 [消灯中] 消灯中はFETには全く電流が流れませんので、家電製品で話題になっている「待機電力」は全くありません。無駄に電池を消耗することもありません。
![]() これくらいの部品点数なら基板を使わずに「空中配線」でも良いのですが、後に説明するFETの発熱の問題でFETをちゃんと固定して他の部分に触れないようにする必要があるので基板に組み立てます。 今回使用するパワーMOS FET 2SK2231は図のようなピン配置です。(MAX=5A) FETは静電気に非常に弱い部品ですので、取り扱いには注意してください。 ![]() 今回使用したプッシュライトは大型のものですので、基板の取り付け位置や配線の取りまわしはかなり楽です。 画面下に延びている黄色と白のリード線は、カバーにとりつけたプッシュONスイッチに接続しています。 元からあるON/OFFスイッチから延びている白い物はスイッチを引っ張るヒモです。 一時的にFETが発熱しますので、リード線や他のプラスチック部品と接触しないように注意してください。 ![]() まぁ、ここまでしなくてもそこそこ明るいのですが、なんとなく蓋を開けたついでに・・・ ![]() 本当はフチの下の真ん中にスイッチを取り付けられればデザイン的に良いのですが、中にある元からのスイッチと干渉してしまうのでやむなく少し横にずらした場所になりました。 「ヒモ」無し型のプッシュライトでは、吊り下げ穴の位置が違って真下に内蔵スイッチが無い物もありますので、そういうタイプでしたらプッシュスイッチは真下につけられます。
![]() 乾電池4本の6Vタイプなのでかなり明るいです。 プッシュスイッチをポンと押すと約2分点灯、ヒモを引っ張って(または本体カバーを押して)ON/OFFスイッチを操作すれば点灯しっぱなしにもできます。 2分タイマーで点灯中は強制的にタイマーをOFFにすることはできません(OFFスイッチはありません)。タイマー動作をはじめたら素直に2分経って消えるのを待ちましょう。 玄関以外にも、ランプを灯して後に立ち去る場所(ガレージなど)で活用してください。
基本的にパワーMOS FETはONかOFFかのどちらかの状態で使用するのが普通です。ほとんど発熱はありません。
効率の良い(ON抵抗の少ない)スイッチとしての使用がメインの素子で、あまりFETで電流を制御することはありません。 定電流回路で制御電圧−電流比の精度を上げる為にFETを使用することもしばしばありますが(自作放電器Type-Gで使用)、そのように電流制御の為にFETを使用すると当然負荷になるぶんのエネルギーが熱に変換されて放出されます。 ON/OFFだけの制御ならほとんど発熱はしませんが、電流制御の際には放熱にも注意しなければなりません。 今回の2分ランプでは、ランプのON/OFF中は全く発熱しませんが、唯一消灯前の「ぼ〜」っと暗くなる間だけは電流制限をしていますので制限している間の負荷は熱となってしまいます。 最も発熱(電流)が大きくなるよう新品のオキシライド電池を接続してテストしたところ、暗くなる時間の中間点(最も負荷電力が大きい)でFET表面温度が約60度くらいになりました。 もう少し大電流用(MAX=25A)で、パッケージも大きな2SK2232にすると温度はかなり低くなります。 もちろん電流が流れなくなるとすぐに温度は下がりますから2SK2231でも特に放熱板を取り付けなければならないような高温にはなりませんし、連続で点灯→消灯を繰り返しても約2分間は冷却期間がありますからそれ以上の高温になることもありません。 リード線が触れていてビニール被覆が溶けることも60度では無いとは思いますが、安全の為にFETにリード線や他のプラスチック部品などが触れないように注意してください。 今回は電池4本の6Vタイプのランプを使用しましたが、電池2本の3VタイプではFETは不向きです。通常のFETは動作電圧が4V以上なので、G電圧が3V以下では上記の電流制限状態になって電球が暗くなります。 電池2本タイプのランプの場合は2.5V動作の低圧型FETを使用するか、回路を変更してトランジスタによるスイッチ回路にしたほうが良いでしょう。
「迷い箱」のほうにリクエストの投書がありましたので、『自動車のルームランプ用』『イグニッションONで自動消灯する』の回路に変更して使用する例をご紹介します。
自動車用で使用するには ● 12V電源用に変更する (普通自動車用) ● イグニッションONで自動消灯する (リクエスト) ● 手動OFFスイッチを追加する (消せないと不便) の3つの追加・変更を行います。 上記の要件を満たす回路図はこのようになります。 ![]() ※ 2分は結構長く感じるので、この回路では約1分にしました。
約2分にする場合はR1を200KΩに変更してください。 (但し大きくしすぎるとFETの発熱も大きくなります) ● 12V電源用に変更する (普通自動車用) 使用する電解コンデンサは耐圧16V品にします。 FETは発熱対策も含めて2SK2231から2SK2232に変更します。 回路図通りの時間設定・電球のW数だと「ぼ〜」と消える際に最大40度近くまで発熱しますが、特に放熱板をつけるなどの加工の必要はありません。心配なら放熱板をつけるか、車体の金属部にネジ留めすればよいでしょう。2SK2232はオール樹脂製ですのでネジ留めしてもD端子がショートしないので便利です。 ※ 「足元灯」など複数の電球を同時に点灯させる車種の場合は発熱量も増えます
● イグニッションONで自動消灯する (リクエスト) 「イグニッションONで自動消灯する」といっても、いくつかの方法が考えられます。 「イグニッションON中は完全に消灯させ、タイマー動作をしなくしてしまう」のか、 ![]() 「イグニッションONにした時に、ランプが点灯(遅延)していたら自動的に消す」のか、 ![]() 前者の場合、車に乗ってキーを回している間はタイマー動作は全くできず、タイマーONスイッチを押してもランプは全く点灯しなくなります。ルームランプを点灯させる場合は元からあるランプのスイッチを常時ONに入れる必要があります。 もちろん手動でONにするのですから、用事が終わったらAUTO位置かOFF位置に戻せば良いのですが、せっかくワンタッチでタイマー動作する回路(押しやすいスイッチ)があるのにスライドスイッチをカチカチとスライドさせるのも「なんだかな〜」って感じがします。(何分もつけっぱなしにしたいならスライドスイッチ操作ですが…) そこで回路をちょっと工夫して、後者の「イグニッションがONになった時(キーを回した時)」だけタイマーをOFFにする「ワンショットOFF回路」を増設します。 それが回路図の下半分、トランジスタQ2まわりの回路です。 あ!セルスタート信号を使えばワンショットは必要無い…のはナイショ!
トランジスタQ2がONになると、タイマー用コンデンサC1に蓄えられている電荷はR2とQ2を通じて急速に放電され、タイマー動作を終了します。 R2は放電電流を制限してQ2を保護する意味と、もし放電時に「タイマーONスイッチ」が入れられていて、直接電源電圧がかかっている時にショートしてしまうのを防ぐ為に入れています。コンデンサとFETのGとの間に入れてG側を引き落としているのは、タイマーOFF動作の時に「パッ」と消えるように見えるようにする為です。 ※ 人間は、ボタンを押しても目に見える反応が無いと不安になるものです。
キーを回してイグニッションON信号(12V)がこの回路に与えられると、D1とC2とR4を通ってQ2のベース(とR3)に電流が流れます。 しかしC2は直列に接続されている為「微分回路」となっていて、C2に電荷が溜められて端子電圧が上がるとこの回路には電流が流れなくなります。(本当は極少しだけ) ですので、イグニッションをONにしてからC2がチャージされるまでの約1〜2秒程度の時間だけ、Q2をONにするのに十分な量のベース電流が流れて「タイマーOFF」にする動作をする「ワンショット回路」となっています。 このワンショット回路のおかげでキーを回してONにした瞬間だけ、もしランプがタイマー点灯していたら自動的に消灯する(点灯していないと何も起こらない)便利な動作をします。 キーをONにしていても「タイマーON」スイッチを押せばタイマー点灯ができます。 キーをOFFにすると、C2はR5を通してゆっくり放電し、ワンショット回路はリセットされ、また次にキーをONにした時に働きます。 C2とR5を取ってしまって、D1とR4を直結すれば、ワンショット動作はなしで「12V信号がある間はタイマースイッチは無効」回路になります。 セルスタート信号からランプOFFの為の信号を取ってくる場合など、ワンショット動作が必要無い(キーをセル位置に数秒回している間だけでタイマーOFFできるから)場合はC2とR5は必要ありません。 ※ D1はどこから12Vを引っ張って来るのかわからない為、保護用に入れている"おまじない"です。無くてもほぼ問題は無いです。
● 手動OFFスイッチを追加する (消せないと不便) 車の室内灯で使用する場合、「タイマーONにしたら消したくても時間が来るまでつきっぱなし」では不便でしょうがありません。 そこでトランジスタQ2に並列にスイッチをつけて「タイマーOFF」の操作をできるようにしました。 家で使うプッシュライトにも「タイマーOFF」スイッチを付ける場合はR2とSW2を追加すれば実現できます。 自動車に組み込む場合、少し部品点数が多いので基板をかなりコンパクトに組み立てないとルームランプの中の隙間に入らないかもしれません。 それよりも、「イグニッションON時に12Vになる信号」をどこから取って、どうやって天井裏まで引っ張ってくるかのほうが大変なような気がします。 信号はエンジン用のイグニッション配線でなくても、オーディオ電源あたりのキーON時に12V電源が入るポイント等からも得られるでしょうが、天井の内装を剥がして、コンソールから頭の上まで配線を一本追加するのはかなり大変だと思います。 でも、自動車改造を趣味にしている方ならこのくらいは朝飯前かもしれませんね。 ※ 今回の回路は、ドアスイッチ等すべてのランプONを遅延消灯させるものではありません。 記事掲載: 2006/10/16 追加更新: 2006/11/19
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