データロガーKIT買いました
※ 改良の「つづき」を追加しました (7/1)
色々と電圧を長時間に渡り測定する実験をしていますが、アルカリ電池測定コーナーで紹介しているDVM+CMOSカメラでは同時に1つの対象しか測定できません。
同時に4チャンネルくらいは測定できないと、周囲の温度差などで実験結果に差が出るかもしれないし、なにより 時間のムダが多いのでなんとかしようと色々と物色していました。
秋月電子の8CH(10Bit)データロガーキットなんかが良い感じですが、残念ですが秋月は東京・秋葉原で大阪・日本橋には支店はありません。
根っからの「 通販嫌い」で、実物(とかパッケージ)を自分の目で見て、じっくり考えてからでないと買い物をしない主義なので秋月のネット通販でキットを買うことはあきらめ、大阪日本橋の デジットで前から目を付けていた4CHデータロガーを購入することにしました。
これはベルギーの Vellemanという会社の USB接続型・4CH・8Bit(表に全然書いて無いけど)・最高100サンプル/秒・3/6/15/30Vレンジ測定のデータロガーです。
電源はUSBポートから取るので、本体が非常に小型で、別に電池やACアダプタという付属品が必要無いのも魅力です。そのかわり測定中は常にPCの電源を入れておく必要があります。(24時間動いてるサーバ機があるのでそれに繋ぐ予定)
完成品(PCS10)とキット(K8047)の二種類のパッケージがあり、今回はキットを購入しました。完成品より2000円ちょっと安いです(^^;
ハードウェアー |
ソフトウェアー |
USB接続・外部電源不要
4ch. DCカプリング入力
入力抵抗:1MΩ
最大サンプル数:100サンプル/sec
4段階入力:3V・6V・15V・30V
感度:10mV
精度:±3%(フルスケールの)
最大入力電圧:30VDC
電源・レコーデイング/ロガー表示:LED
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アナログトレースor DVM表示
4ch.同時読取表示
最大/最小値表示:DVM
1〜1,000秒/目盛
画面・データの保存・再表示
長期間自動記録機能
マーカー:時間&電圧
DLL付(開発用)
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【注意】
* 一回の記録動作で1700サンプルしか記録されないとは外装・HP等にはどこにも書いていません。(連続記録ファイルのみ適用外、ってかその説明も…)
* PC側ソフトのアナロググラフモード/DVMモードは記録中は切替できないとはどこにも…(以下省略)
* ソフトの使用方法、USBドライバのインストールについて、のみCD−Rで日本語版マニュアルが同梱されています。
* チップのA/Dコンバータは10Bitですが、記録ソフトで記録されるデータは8Bitです。(データ解像度に少々難アリ)

さっそく組み立て組み立て〜。
プリント基板に部品をはんだ付けするだけです。
回路はPICが1つと、入力のバッファ用にクワッドタイプのオペアンプが1つという至ってシンプルな設計。
USBI/FやA/Dコンバータが全部入ってしまっているPICのおかげでたったこれだけで電圧測定器が出来てしまいます。
測定レンジを切り替える為に、PICのポートからオペアンプの負帰還増幅回路の定数を切り替える為の抵抗が各チャンネルに3本づつ付いているので、回路内容の割には抵抗がやたら多く感じられます。
オペアンプまわりの抵抗は全て1%誤差の物を使用していますが、載せる前に1つづつテスターで抵抗値を計ってみたところ けっこうなバラツキがあり、少し不安になりました。
ところで、このキットには「 日本語組み立てマニュアル」といった説明書が印刷物でもPDFでも どこにも入っていません!
ヨーロッパ各国語と英語で同じ事が延々と書かれた欧州・米国用の説明書は入っていますが、日本語の説明書は入っていないので簡素な英語の説明文を読むか、部品表のページだけ見て基板に適切に部品を載せられる人でないと製作は困難でしょう。
普通に日本製の電子回路キットのつもりで買ったら 痛い目にあいます。
・・・いやまぁ、こんな物ふつーの人(素人さん)は買わないでしょうけど

約1時間ほどで完成。
付いていた組み立てマニュアルは A6ほどの大きさのコピー誌で、画質が荒く部品番号なんかが読めない所も多々ありました。
A4サイズに拡大コピーした基板部品図に、部品表から定数を書き込んで部品を載せる場所を間違わないように1つ1つ確認しながら作業をしましたので少し余分に時間がかかりましたが、サクサクと進めれば45分もあれば完成します。
付属のCD−ROMからソフトウェアをインストール。
マニュアルではUSBドライバを求められたら・・・と書かれていましたが、すんなりとOS標準の「ヒューマンインタフェースデバイス」と認識されてUSB接続は完了。
測定用ソフトを立ち上げて本体が見えているかどうかをテストし、各チャンネルがちゃんと電圧を計れるかのテストをします。
上の画面は、 2.70Vの電圧を全チャンネルに並列に入れた時の測定画面です。
うわっ、結構バラつきがある!
1つとして正確な電圧を示しているチャンネルはありません。
入力電圧を測定しているDVMとて誤差があるものなので、必ず2.70Vを表示しないとおかしいというわけではありませんが、実験で使う測定器ごとにデータにバラつきがあっては集計時などに正確な比較ができません。
このバラつきは、やはり組み立て時に感じた抵抗値のバラつきが如実に現われている感じです。
一応この数値だと+−1%誤差程度ですから、製品スペックの3%誤差の範囲内なので不良品ではありませんが、やはり気になります。
放電試験の際などでは0.01Vの差も見逃したくは無いので、なんとかしなければなりませんね。
このソフトのどこを見てもキャリブレーションデータを本体に送って補正する機能や、逆に受け取ったデータを数値補正する機能は全く見当たりません。
回路自体も調整箇所は一箇所も無く、全て1%抵抗の誤差範囲内で収めてそれでおしまいという感じです。(PICチップ内のA/Dコンバータの誤差も)
ということは・・・
改造するしかない!
回路図を眺めて、改造ポイントを決定します。
今回は入力フロントエンドで1MΩと91KΩで入力電圧を分圧している部分を改造することにしました。
(オペアンプの増幅率を決定している部分の改造は実はまた後で・・・ごにょごにょ)
入力電圧を可変にして、入力電圧の分圧状態を全てのチャンネルで同じ数値を出すように調整できるようにすれば良いのです。(多分)
とゆーことでサクっと改造してテストを・・・と思ったら、今週は共立電子・デジット共に週末まで長期休業です。
追加パーツを買うことができません。(マルツは開いてるけど…)
手持ちのストックでは1〜2CHぶんは改造できますが、4CH全部を同じ部品でとなるとちょっと足りません。
とゆーことで、この記事は次回につづきます。
To be continued.
さて、つづきです。
回路図を眺めて、改造ポイントを決定します。
今回は入力フロントエンドで1MΩと91KΩで入力電圧を分圧している部分を改造することにしました。
(オペアンプの増幅率を決定している部分の改造は実はまた後で・・・ごにょごにょ)
入力電圧を可変にして、入力電圧の分圧状態を全てのチャンネルで同じ数値を出すように調整できるようにすれば良いのです。(多分)

91KΩのGND側を外し、そこに5KΩの半固定抵抗を直列に接続します。
半固定抵抗は基板のGNDパターン部にドリルで穴を開けて1番ピンを半田づけして固定しています。2・3番ピンはあわせて抵抗側です。
4CHの所だけ、5KΩではギリギリ調整範囲が足りなかったので2.4KΩを直列に入れて追加調整しています
全チャンネルに同一の電圧を加え、半固定抵抗を調整して電圧表示を整えてゆきます。
こんな感じになりました。
右上の1.20Vのところだけ1CHが1.21Vの表示になっていますが、加えている電圧が1.205V前後のため各チャンネルのバラつきで敷居値の上か下かの数値に振られますので、 誤差は+−0.01V範囲となります。
画面の表示上はそうなのですが、測定データを記録したファイルではレンジ値の3Vを8ビット(255諧調)で割った値が最小単位となりますので、記録データ上の測定値は 11.7647V単位で計算されます。画面表示はこの数値を0.001Vの桁で四捨五入したものです。
これくらいにまで測定誤差を小さく出来れば、電池の放電試験での電圧計測器としてじゅうぶん使用できますね。
今回は上記の試験用途の為に0.8〜1.5V範囲で最も誤差が小さくなるように調整しました。
ある電圧で全てのチャンネルの表示を統一しても、別の違う電圧にすると表示にバラつきが大きくなります。(レンジ内の下限近くと上限近くとか…)
これは分圧抵抗の誤差以外に、分圧後の電圧をオペアンプで増幅してからPICのA/Dポートに入力しているのですが、その増幅率を決めている抵抗や、測定レンジによって増幅率を変更するしくみに使用している抵抗のバラつきなどが影響しているものと思われます。 このへんまで全部改造と調整をして、全レンジ・全電圧範囲で正しい表示にしようとすると・・・・10万円くらいするもっと立派なデジタルデータロガーを買ったほうがいいような気がします。
それとも、PICや汎用ワンチップマイコンで自作するか、秋月の10ビット計測できるPICデータロガーを買って調整した上で、更にデータ数値を補正する補正曲線を計算して集計前にデータに適用するとか・・・・上を見ればキリがありません。
キットで7000円もしない安価(完成品でも9000円弱)な装置ですから、改良して微調整するまでは値段相応の単なるオモチャ程度の機器ということですね。
半固定抵抗55円×4個、抵抗1本5円。合計225円の追加部品でたぶん 1万円くらいの値打ちのある測定器には改良できたと思いますが・・・・はてさて。
記事掲載: 2006/6/19
追加更新: 2006/7/01
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* ご注意 *
製品の分解・改造はメーカー保証が無くなるだけでなく、故障・ショート・発火・副次的な災害の危険、また工作時のケガの危険性があります。
機器を改造する場合は十分な電気工作の知識を学習の上、自作の回路・装置として取り扱うことを前提に全て自己責任で行ってください。
本ページで紹介している改造例の通りに改造を行って、全く同じ結果や安全を保証するものではありません。責任は負えませんのでご了承ください。
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一昨日、PCS10を買いました。チャンネル間の測定値をそろえるのに、こちらの方法だと完成品なので分解するのに表面のシールをはがす必要がありますね。(開けちゃいました)
完成品を開けたくない場合は、各チャンネルの測定用リード線の途中へ直列に100KΩの半固定抵抗を入れて、抵抗値を最小にした状態から指示値の一番小さいチャンネルにそろえるのが良いのかなと思います。
測定する電圧の絶対値ではなくチャンネル間の相対値を合わせるのが重要ですよね。
kazz 様
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お返事 |
購入おめでとうございます!
実はうちのは、いまだに表面のシールは貼っていません(^^;
蓋はセロテープで貼ってあるだけで、いつでも開封できます。
中の調整VRをいつでも触れるようにして、大きな実験前には確認と微調整をやり直しているのと、実は入力段の分圧抵抗を使わずに内部のOPアンプによる増幅器を使って更に小さな電圧の測定用のプローブ配線を追加したりと、日々改造を追加していたりします。
中をいじらずに外部だけで各CHの数値をそろえるとなると、仰るとおり各CHの入力に直列に半固定抵抗を入れて調節すれば、最も低い数値を示すCHにあわせられますね。
後はその数値が実際の数値とどれくらい違いがあるのかが精密な測定器で測定して求められていれば、後で数値を補正すればほぼ正しい値は求められますので、大きな問題は無くCH間で誤差の少ない測定ができますね。
お返事 2007/9/2
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投稿 |
測定データを見ていて気づいたのですが、かなりばらつくようです。エクセルで処理する前提なら変にハードで補正するより、素の状態で生データをそのまま取り込んで、エクセルのマクロで平均化と補正をしたほうが賢いような気がして、いろいろ検討中です。
各チャンネルのレンジ毎の補正カーブのテーブルを作成して置き、測定データに対して一括補正をすれば便利ですよね。
実際にはエクセルよりもアクセスに慣れているのでこっちかな。
安定化電源とDMMを準備して、一定時間毎に電圧を変化させながらデータを取得すればカーブの作成も難しくないし。
kazz 様
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お返事 |
このデータロガーで精度を求めようとすると大変です。
PIC内部のA/Dコンバータの特性が悪く、リニアリティにかなり不満がありますので、本ページで掲載している測定結果は全て補正カーブを適用してからの数値で使用しています。専用のプログラムを用意して。
本文中にも書きましたが、A/Dコンバータの分解能が10bitなのでそのまま10bitで出力されていればもっと精密な補正もできるのですが、8bitではそれなりです。
まー安物ですから。
ちゃんと精度を出したいなら自分でハードとソフトを作って自作したほうが早いです(笑)
お返事 2007/9/3
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‘07 Feb 14現在 秋葉原の東映無線で 7980円で販売されています。
通販もしていると思います。
メーカーHPのスペックをみているのですが、最速サンプリングレートはどのくらいでしょうか?
NR500 様
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お返事 |
東映無線ではかなり前から販売していますね。googleでPCS10検索すると東映無線の通販ページも容易にHitします。昔はこの通販ページはありませんでした。
以前はどこかの紹介記事(東映無線で売ってると紹介)がHitしたのですが、今はかなり下のほうになっています。
最速サンプリングレートは、メーカーHP、また本ページにも書いているように「最高100サンプル/秒」です。
デジタルオシロスコープのように早い波形を観測する用途には向きません。
長時間に渡る測定に適したデータロガーです。
お返事 2007/2/15
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データをPCに取り込む際の,制限が1700個という意味でしょうか?できれば,PC上でデータを垂れ流して監視できて,トリガーがかかったときのみ数分分のデータ(50Hzサンプリング)を記録するという用途で使いたいのですが.
岡本 様
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お返事 |
USBポートを制御するプログラムをご自分で作るならなんなりと可能だと思います。(私はUSBまわりのプログラムは出来ませんが)
その場合は毎秒100サンプルのモードに設定してやれば、ご希望の50サンプル/秒でのデータ取得が可能となります。
それ以外では添付のソフトで「直接記録モード」でHDDに記録したデータファイルを後で任意に使用します。(何万、何億サンプルでも記録可)
添付のデータ記録ソフトで「グラフを見る/描く」場合はソフトの内蔵メモリーに記録される1700サンプルぶんのデータしか利用できません。
Single記録では1700サンプル(グラフ一枚ぶん)で自動的に測定が終了してしまいます。RUN記録では手動で止めるまで永久に測定を続けますがメモリーには最新ページぶん(1画面のグラフ、描画途中ならそのまま)のデータしか残らず古い物は破棄され続けます。
いずれの記録モードでも、記録開始前にファイル名を指定(入力)して同時に「直接記録モード」で測定データをHDDに書き出すことができ、RUN記録では1700サンプルの制限はありません。
「どうせ後で編集するのだろう」という考え方かどうかは分りませんが、画面がグラフモードの状態で連続記録をONにして測定すると、グラフの下の各チャンネルの電圧を表示するエリアが記録中のファイル名(パス名)の表示になって、測定中の電圧を○.○○Vという形で見る事はできません。グラフ上の線の位置から推定するしかなくなりたいへん不便です。
グラフ画面で電圧の推移を見ながら測定するのではなく、デジタル電圧計(DVM)モード(上記の4チャンネル電圧表示)の画面で電圧を確認しつつ、HDDにデータを記録する使い方なら問題はありませんね。
私の場合は電池の放電電圧などを測定するので、測定中にグラフが見れないと測定開始からどのくらいの割合で電圧が下がったとか急激に落ち込んでいるタイミングなどをリアルタイムで見れないので不便なのでいつもグラフ表示モードです。
つまりは、『デジタルテスター×4個がPCに繋がって、HDDに電圧記録ファイルが作れる』という最も単純な使い道であれば、デジタル電圧計画面+直接記録モードでファイルを書き出す方法で特に問題はありません。(何万サンプルでも)
あくまで同梱のソフトでグラフを見る場合にのみ、どの測定モードでもプログラム上の内蔵メモリーには最後の1700サンプルぶんのデータしか残らないので不便という事です。私はそういう使い方の為に買ったので不便です。
同梱のソフトには「外部トリガー」で記録を開始する機能はありませんので、入力のどれか1CHをトリガー電圧入力とみなして必要なチャンネルを「直接記録モード」でHDDに常にファイルを書き出しながら測定し、測定が終ってから記録されているファイル中のトリガーとみなすチャンネルのデータをご自分でトリガー電圧以上かどうか等を検知してそこから必要時間ぶんのデータを取り出すソフトなどを自作する必要があります。
トリガー1回だけ(ファイルへの記録は1回だけ)で良いのなら、任意のトリガー信号でマウスの左ボタンを1回押す回路を自作して、記録開始ボタンの上にカーソルを合わせて待機させておくという原始的な回路でも実現できますが・・・
お返事 2006/12/25
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投稿 |
早速ご返事いただきありがとうございました.
今日日本橋で買ってきました.完成品しかなかったのですが年末特価とかで少し安くしてくれました.現物を相手に年末年始の休みでちょっと調べてみます.電池の記事は大変参考にさせていただいています.よいお年を!
岡本 様
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お返事 |
キットは売り切れていましたか。
確かに前に見た時はキットはレジの下のガラスケースの中にあと一個しか残っていませんでしたので、売り切れてしまったのでしょうね。
付属のCD−ROMに開発用DLLが付いていますので、Windows上でC++等の開発言語で独自のデータ取り込みプログラムを作ることができます。
年末年始のお休みでいろいろと弄って楽しんでみてください。
それでは、よいお年を。
お返事 2006/12/26
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あなたは偉い!是非これからも続けてください。
PCへのデーター取込み等、プログラムの公開もお願いします。
大変参考に、又興味深く拝見いたしました。
遠藤 様
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お返事 |
遠藤様、ご覧いただきありがとうございます。
K8047からPCへのデータ取り込みはキットに付属の専用ソフトで行っています。
画面を掲載しているDVMモードとグラフモードで監視できます。(途中切替が出来ないのは難点ですが)
PC側の記録データファイルはTAB区切りデータですので、Excelでもなんでも読み込んで加工やグラフ作成などに利用できますので特段難しいことはありませんよ。
お返事 2006/10/25
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