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◆タミヤ 「ラジ四駆」スピードコントロール改造 ◆
PART-1 ボリューム追加でスピードコントロール化 <<< LC前や危険地帯で安全にスピードダウンしよう! >>> ※ 送信機・受信機共に改造が必要です。 ※ 公式レースでは使用できません。
タミヤの製品に『ラジ四駆』というラジコン模型があります。
それとは別に、専用のコースを走らせるミニ四駆というモーター駆動の模型があり、こちらは電源スイッチを入れたらラジコンのようにスピードをコントロールする術はなく、コースから飛び出さないように車体に付けるローラーの位置を工夫したり、ほかの専用パーツを組み合わせたりして「事故らないよう、かつ速く周回できる」ことを目的にマシンの製作技術を競い合う遊びです。 しかしそれだけでは飽き足らず「マシンスピードをコントロールしたい!」というラジコン風のマシン制御を少しだけ取り入れたのが『ラジ四駆』です。 ただし『ラジ四駆』では普通のラジコンのように停止から最大速度までのスピードを自由に制御できるのではなく、なんと「電源のON/OFFだけ」をボタン1つでコントロールできるだけの単純なコントロール仕様なのです。 もちろんハンドル操作はありません。(車1台分の幅のコースの中を走る競技なので・・・) ですので普通のラジコンのように車を自由自在に走らせるというイメージとはほど遠いラジコンマシンなのですが、自分の手を離れたらもうコントロールはできないミニ四駆と比べると、走行中に操縦者の意思を車に伝えることができることは全く違った走行シーンを生み出せることになり、ミニ四駆レーサーの中で『ラジ四駆』も趣味の範疇にする人は少なくありません。 ON/OFFだけでも操作できることで、使用できるモーターもハイパワーなものまで許可され、コースにはジャンプ台が用意されたりと『ラジ四駆』では人間がブレーキ操作(一時的にモーターをOFFにする)しないとマシンがクラッシュしてしまうようなコース設定で独自の楽しみ方ができるようにもなっています。 さてそんな『ラジ四駆』ですが、やっぱり色々と遊んでいるうちに「普通のラジコンのようにスピードコントロールできたらなぁ〜」とか、「モーター電源OFFじゃなくて、強制ブレーキがかけられたら・・・」と夢は広がります。 そこで今回は「スピードコントロールする」に焦点を当てて、いつものように「最低限の改造(費用)で最大限の楽しみを!」の自己ルール(ぉぃ)で『ラジ四駆』を改良してみることにしました。 PART-1 (このページ) では、速度コントロール用のボリュームほか1〜2点の部品を追加・交換するだけで『ラジ四駆』のスピードをスムーズに減速(速度は100%〜30%くらい)できるように改造します。 危険な「レーンチェンジ」や「ジャンプ台」を最適に速度を落として走行できます。 今回(PART-1)の改造ではスピード0%〜30%くらいのノロノロ運転はできません。 部品代は100円〜500円程度です。(追加ケースなどは含まず) ※ この改造を行った送信機・受信機は公式レースでは使用できません。 自宅で楽しむか、フリー走行できるコースでお楽しみください。
ラジ四駆がどのように無線で制御されているのかを順に探ってゆきましょう。
![]() 右の写真のように、1枚の基板上に全部の回路が載っています。 走行/停止のスイッチが中央下部に見えます。 全てチップ部品が使用されていて、トランジスタ3石、水晶発振子1個の送信回路だというとこが見て取れます。 ● 送信回路を解析しよう それでは、基板パターンを追って回路図を書いてみましょう。 ![]() ※コピー品が作成できるため、型番・部品定数は書いていません。
まるで、トランジスタを使った電子回路のお手本のような回路です。【電源】 回路図左側、電池と電源スイッチ、そして抵抗とツェナーダイオードで7.5Vの安定した電源電圧を作っています。 【低周波回路】 真ん中にはトランジスタ2石で「無安定マルチバイブレータ」という回路で発振回路が組まれています。Q1とQ2のトランジスタが交互にON/OFFを繰り返す発振回路です。発振周波数は各抵抗・コンデンサの値で決定されます。 ここで発振させた低周波信号が次の高周波発振回路に送られます。 【高周波回路】 右側にはトランジスタ1石の水晶発振回路があり、水晶発振子の固有の周波数(ラジコンのチャンネル)の電波を発信します。 電源スイッチをONにしている限り電波は出っぱなしになっています。 この回路に先の低周波発振回路の出力が繋がっていて、電波にAM変調をかけるようになっています。 低周波発振回路のトランジスタQ2のエミッタに「走行/停止スイッチ」が接続されていて、スイッチがOFFの時は回路がOFFで低周波発振回路は停止しています。 スイッチがONの時は低周波発振回路が動作して、電波にAM変調で信号が乗ります。 つまり、送信機では 「AM変調で低周波発振信号が乗っている時は走行」 「無変調(電波が出ているだけ)の時は停止」 というコントロールになっているということです。 もちろん、電源がOFFで電波が出ていない時も車は走行しません。 ● 低周波発振回路で作られる信号は? さて、送信電波にAM変調で低周波信号が乗っている時に車を走らせることがわかりましたが、電波に乗せている低周波信号はどのようなものでしょうか? どんな信号でもいいから発振信号を電波に乗せれば車は走るのでしょうか? 低周波発振回路の動作を基板上のテストポイント(記号ではTP)の信号、またテストポイントはありませんが実際に変調をかける為に高周波発振回路に接続されている部分の信号(回路図中の変調チェック点)の電気信号をオシロスコープで観測してみました。 ![]() そしてAM変調をかける信号は図の赤線のように約7〜10msecの間電圧が発生しています。 ボタンを押している間、赤線のような波型の信号が電波に乗っています。 ※ 1信号24msrc幅って、2CH以上のラジコンプロポの各チャンネル信号幅と同じですね。プロポの場合はサーボを制御する正信号の幅が1〜3msecなので少し違うようですが、何か関係があるのでしょうか? あ、一応ラジ四駆送信機も「ラジコンプロポ」の一種ですね。 続いて受信機で「この信号をどのように受けているのか?」「モーターの制御はどうしているのか?」について調べてみましょう。
![]() クリスタルを抜き差ししてチャンネル変更はできませんので、もしチャンネルを変えようとすると使用するチャンネルの受信機(送信機も)を用意する必要があります。 また、マシンから受信機をとり外すとソケットの接点が短絡し、無線コントロール無しの『ミニ四駆』マシンとしてレースに参加することもできます。 そのために写真の下側両端に見える電池ホルダーとの接続端子(銀色の部分)の真裏側がモーターへの接点となっています。 中の基板です。 ![]() 大きくわけて3つのブロックから構成されています。 【電源部】 超小型のDC−DCコンバータIC(H50M・詳細不明)(紫枠内左下の3ピンのチップ部品)が使用されていて、電池2本の約3Vから5Vの電源電圧を作っています。 電池が減ったり、高回転型のハイパワーモーターをバリバリに回すと電源電圧は2V程度まで下がりますが、この昇圧回路で安定した電源電圧を供給できるようになっています。 【高周波回路】 FM受信IC(TA31136・東芝)が一個、ほか大きな部品では周波数(チャンネル)決定用水晶と455KHzのセラミックフィルタなどが目立ちます。高周波部はシングルスーパーヘテロダイン受信回路になっています。局発回路などはICのデータシートに載っている推奨回路とは多少違うようですが、より安定させているように見えます。 FM受信ICを使用していますが、FM検波部は使用しておらず(部品が付いていない)、受信信号レベル出力端子(RSSI)からの出力をAM信号とみなしてあたかもAM受信回路のように振舞っています。しかもFM受信時にノイズ量検出(スケルチ)用に使用するフィルタ・アンプ回路をAM信号のアンプに流用するなどの工夫がされています。 【モータドライバ】 左下の8ピンの大きな部品がモーターに流す電流のスイッチの働きをするパワーMOS−FET(HAT2064・ルネサステクノロジ)です。 パワーMOS−FETのG(ゲート)は受信ICから出力されたパルス信号を、トランジスタとC・R(コンデンサ・抵抗)で構成する時定数回路(ワンショット回路)を通してコントロールしています。 この時定数回路が実は『ラジ四駆』の駆動システムの「みそ」だったのです!
電波受信回路の部分等は回路図を公開しても今回のスピードコントロール化改造にはほとんど関係ありませんので、受信機の解析では目的に関係のある部分のみ、部分的に回路図を掲載します。 ● FETはどうやって制御されている? パワーMOS−FET周辺の部分の回路図です。 ![]() 基板上のTP2から、生の受信信号(AM)が計測できます。 フィルタ・アンプではパルス波形の整形(増幅)と、「一定のパルスが来ていない間」は制御パルスを出さない為の識別動作をします。 受信パルスはトランジスタQ1のベース(テスト点A)を駆動します。 PNPタイプのトランジスタですので、ベース電圧が電源電圧(Vcc-0.6V)より低いレベルの時にエミッタからベースに電流が流れ、エミッタからコレクタに向けて数百倍の電流を流します。 送信時には低周波発振パルスの極性が正でしたが、この点では受信パルスはTA31136の反転増幅アンプ(FIN-FOUT間)を通っていますので負極性です。負極性になっていますのでパルスのアクティブ信号はトランジスタのベースには電源電圧より低いレベルとして伝達されますので正しくトランジスタを駆動します。 トランジスタQ1がONになると、C10にチャージされていた電圧がC20に加わりC20は一瞬でチャージされます。C20の電圧はそのままパワーMOS−FETのG(ゲート)端子にかかりますのでFETもONになり、モーターのスイッチが入ります。 トランジスタQ1がOFFになるとC20にはチャージ電圧はかかりません。 しかしその時、同時にパワーMOS−FETがOFFになるのではありません。 FETはトランジスタと違い、G(ゲート)−S(ソース)間には電流は流れません。Gにかかった電圧で制御する部品なので、C20にの電気はFETには流れません。 トランジスタQ1もOFFになっているので、C20の電気は唯一接続されているR6を通してGNDに流れて放電されます。 充電は一瞬でしたが、放電は抵抗(R6)を通してゆっくりと行われます。 これは、送信機から送られてきた送信パルスをそのままFETのドライブ信号に使用すると、断続的に電流が流れるパルス動作になってモーターが完全には回らないからです。 Q1とC20、R6で作った「信号がOFFになっても“次のパルスが来るまで以上の”一定時間動作を継続させる回路(遅延タイマー)」を使用することで、パルス状の信号で送られた「スイッチON」の信号から正しくモーターを回す動作をさせることができるのです。 ・・・ということは、このあたりを変更(改造)すればPWM制御でモーターのスピードをコントロールできるんじゃ? ※ PWM制御については後ほど詳しく
今回の改造ポイントが見えてきました。 ● 受信パルスの波形は? 上の回路図の説明では文章で受信パルスの動作などについて説明しましたが、実際にはどのような波形になっているのかを確認しましょう。 ![]() C8で積分されているのでコンデンサのチャージ・ディスチャージ波形となっています。 テスト点Aでは、受信信号を反転増幅しています。C3を通して受信波形の変化をパルス化するようになっています。 テスト点Bの信号は、受信パルスが連続して来ている限り、図中の「チャージタイム」(実際はより少し長く)の間C20がQ1を通して充電され、非充電時間にはR6を通してゆっくり放電されます。 受信パルスが24msecの間隔で連続して来ている限りは、C20は放電してしまう前に再チャージされますので、この点の電圧は約5Vくらいを保っていますのでパワーMOS−FETは安定してONになり続けます。 受信回路の動作としては『規定のパルスが連続して受信できている間はFETをONにしてモーターを回す単なるスイッチ機構』回路であることがわかります。 何か送信機のパルス幅を変えたら直接モーターのスピードを変更できるような、サーボ装置のような構造では無いということです。 さてそれでは、受信パルスが途絶えたとき(スイッチが離された時)はどうなるでしょう。(次の図は上の図の時間軸を1/10に縮めています) ![]() パルスが途絶えるとテスト点Aの電圧はほぼ5Vになり、充電用トランジスタQ1がOFFになりますのでC20にはそれ以降充電は行われず、R6を通じて放電するだけとなります。 テスト点Bの信号グラフは、その放電する電圧カーブを描いています。 この電圧は約10パルス幅程度(以上)の時間をかけて0Vまで下がります。 パワーMOS−FETはモーターに電気を「流す」「流さない」のスイッチの働きをしていますが、G(ゲート)端子にじゅうぶんな電圧が加わらないと、入力電圧に応じて電流を流したり遮る働きをします。トランジスタの電流増幅機能とよく似た働きです。 ですので、C20の電圧(テスト点B)が0Vに下がるまでのある点からある点までの間では図のようにモーターに流れる電流はG(ゲート)電圧に応じて下がってゆきます。FETが電流をほとんど流せない電圧までG(ゲート)電圧が下がると、モーターには電気は流れなくなります。 ● 惰性と思っていたのが実は・・・ こうして『モーターには送信機のスイッチを切ってもしばらくは電気が流れて回り続けているのです!』 レーサーの方から「スイッチを離しても“惰性”で走るのでコントロールし難い」」という話が良く出ますが、実は“惰性”で走っているのでは無く、“スイッチを切ってもモーターはすぐには止まっていなかった”というラジコンとしてはかなり困ったモーター制御方式だったのです。 このスイッチを切った後の力走時間は使用するモーターや電池によって多少は変わりますが、だいたい0.1秒前後です。 マシンが25km/hで走っていたとして約70センチメートルほどの距離をレーサーの意図に反して力走していることになり、JCJCのコースではストレート約1.3枚ぶんの距離になります。 スイッチを切ってからストレート約1.3枚ぶんはモーターの力で力走し、それから本当の“惰性”による空走期間となり減速をはじめます。 空走(惰性)走行時の前Gで働く「前輪ブレーキユニット」を装着していても、スイッチを切ってから約0.1秒はこのブレーキですら働いていないのです。 無性に『スイッチ操作ですぐ効く電磁ブレーキユニット』も作りたくなってきました。(またこんど)
ここまで解析すれば、どのような改造でスピードコントロールができるのかの方法はいくつか思いつきます。思いつくだけで実際に成功するかどうかは別問題ですが・・・。
それを順にテストしてゆきます。 ● テスト1:PWM波形を直接送信機から送る 送信機から送られている約24msec周期の発振パルスをPWM制御パルスとして変形させて送信し、その波形をパワーMOS−FETに印加してモーターの回転数を制御しようという試みです。 ![]() PWMでモーターを制御する利点は、パルス幅ぶんの時間モーターには電源のフル電圧がかかりますので、モーターの発生するトルクもフルパワーが得られます。 電圧制御では、0Vから徐々に電圧を上げていってもある点(起動トルクに達する点)までモーターは回りはじめません。ある点から急に回り始めて全然低速からのスムーズな回転はさせられないのです。 それに比べてPWM制御ではモーターのトルクは常に最大ですが、動作する「時間」がパルス幅によって決められますので、もし時間が短ければ「フルパワーだけど、ちょっとだけ回転させようとするだけ」なのでモーターは少しだけ(ゆっくり)回ります。パルス幅を広くしてモーターが働く時間を増やしてやれば、それだけモーターは多く働きますのでよりより強く早く回ります。 ※ 後に説明するこれとは少し違った方法のパルス制御方法もあります。
送信回路の無安定マルチバイブレータの回路部品を交換して、この図のような信号を送信するようにしてみます。 但しいくらAM送信機でも、送信された信号は受信機側でAC電圧として扱ってしまいますので「直通」状態と「停止」信号との見分けがつかなくなります。 そこで「直通」は使わないようにし、最大でも「ほぼ直通」状態までしか使用せずに送信中は必ずパルスを発生しているようにします。 ![]() 無安定マルチバイブレータの時定数は次の式で求められます。 Q1のON時間 T(Q1) = 0.69 × R4 × C2 Q2のON時間 T(Q2) = 0.69 × R5 × C3 この式を見れば、抵抗またはコンデンサの値に比例してON時間が決まることがわかります。 コンデンサをリニアに可変容量にするのは困難ですから、ここは簡単に抵抗のほうを可変抵抗器(ボリューム)に取り替えて実験をしてみます。 %可変タイプのPWM波形を作るためには、片方の時間が長くなればそれに比例して反対側の時間が短くなるように調整しなければなりません。 これを実現させる為に丁度良い「2連ボリューム」(ステレオの右左両側の音量を同時に変えるような時に使う)という部品がありますので、これを使ってQ1とQ2の時間が反対になるように抵抗値を可変にします。 それとは別に、Q1とQ2のON時間をそれぞれ別に調整できるように、個別にボリュームをつけた実験装置も用意します。 ・・・・実験中の基板とかの写真が無くてゴメンナサイ。 改造実験をしていた時にはWebで公開する記事にするつもりが無かったもので・・・。 そして、この実験の結果は・・・・・失敗でした。 制御パルスが「弱い」くらいまでのデューティ比までは難なく受信機の出力から送信しているものとほぼ同じようなパルスが出力されました。 しかし「強い」までゆかないうちに、だいたい半分くらいのパルス幅を超えたあたりでピタッと受信機からパルスの出力が止まってしまうのです。それから先は強い側にいくらパルス幅を広げても無理です。 AM受信をしている生信号(受信機TP2)を観測する限りは電波には正しくPWM信号が乗っていますが、受信回路の反転アンプで増幅しているあたりがコンデンサを使った一種のフィルターになっていて、特定の範囲内の幅のパルスしか通さないようになっているようです。「通さない」というより、受信信号を微分してパルスのエッジを捉えて新たにパルスを作ってから出力しているような感じですね。 送信機からの距離で電波が強くなったり弱くなったりと、信号自体の振幅が変動するAM受信信号からパルスを取り出すにはこういうフィルタが必要なわけです。 では、無安定マルチバイブレータの発振周波数を上げて全体のパルス幅を短くしてフィルタを通るまでカットアンドトライでアタリをつけるか、受信機のフィルタ自体を取り払ったり改造したりしてPWM信号を生データに近い状態で通過させる回路に変更するか、はたまた他の方法を取るか・・・・ 無安定マルチバイブレータのON時間は先の計算式をご覧のようにコンデンサと抵抗の値で決まりますが、電子回路の面倒なところとして「あまりにかけ離れた数値のもの同士では正常に働かない」というものがあり、極端にバランスを欠いた数値の部品に交換しても不安定になるか、ちゃんと動かなくなるかのどちらかです。 極小のチップ部品を抵抗・コンデンサと色々と外して変更する改造は「気の迷い」の基本コンセプトである『より簡単に!より安く!』の精神に反します。 さてさて、どうしようかと迷いながらも色々とボリュームを回して様子を見てみると、「信号のハイレベル期間」はフィルタに阻まれて可変範囲が非常に少ないですが、「信号のローレベル期間」(送信機ではQ1がON)はかなりの幅で可変しても大丈夫なことがわかりました。
というより、もう出来たも同然!なのです。 ● テスト2:OFF期間可変PFMで制御する 先ほどのPWMの説明で「少し違った方法のパルス制御方法」と書いた方法で実験します。 この制御方法はPFM(Pulse-Frequency modulation)と呼ばれるパルス周波数を変更してモータの回転数を可変ドライブするものです。 ![]() 「弱い」の場合は元の周期の2〜3倍(あまり間隔を開けすぎるとこれもフィルタを通らない)。 「中くらい」だと元の周期程度。 「直通」では元の周期より短くなるくらい(短かすぎてもフィルタを通らない)、の間でローレベルの期間を可変できるようにします。 おや、「直通」なのに信号は約50%程度のデューティ比くらいしかありませんよ? でも大丈夫、そこは受信機側の改造で全てうまく収まるのです。 その方法とは、受信機のC20の値を変更して、FETのON保持時間を短くしてこのPFM制御のパルス幅にあわせるのです。(受信機改造) 受信機の改造をしなければ、FETのON時間が長すぎてモーターにほぼ常時電圧がかかり、ほとんど減速はできません。 ![]() 「弱い」の時は約20msecのパルスを30〜40msecおきにパワーMOS−FETに印加します。 この幅のパルスでは、モーターをゆっくり回すには強すぎるくらいで、いちばん弱い位置にしても「ゆっくり」というよりは「1/3くらいかな?」と思うくらいのスピードで走ります。 「中くらい」とは書いていますが、「弱い」から「直通」までの間でリニアにコントロールできます。 「直通」の周期では、FETはONになりっぱなしになりますので、モーターには電池の電圧がかかりっぱなしになり、フルパワーで走行します。 またまた写真が無くてすみませんが、この方法で実験は成功しました。 受信機のフィルタ部の改造など色々と検討はしましたが、いずれの方法も交換する部品点数が多くなったり、また2連ボリュームなどあまりふだん使わない部品を購入しなければならなかったりと結構面倒な事になりそうだったのでかなり却下です。 この方法では、「送信機の抵抗を1個外してボリュームに」「ボリュームの0点補正用に抵抗または半固定抵抗を一個追加」「受信機のコンデンサを1個外して代わりのものに」変更するだけという超簡単な改造で済みます。 実に「気の迷い」の基本精神に乗っ取った楽チン改造ではありませんか! (ここまでの解析で基板からほとんど部品が取り去られてテスト配線だらけになった送信機が一台・・・これはもう使えないので部品取り用にしまっておこう)
まずは簡単な「受信機」の改造から。
![]() コンデンサは写真のような小型の積層フィルムコンデンサを使わないと、セラミックコンデンサや他のフィルムコンデンサでは大きすぎてケースが閉まらなくなります。 元々チップコンデンサがついていたランドに取り替えるコンデンサの両足をハンダづけしても良いのですが、片方はFETの4番ピン(ゲート)に繋がっていますので、片足はそちらのランドにハンダづけしたほうが楽です。 もちろん、0.022μFのチップコンデンサが入手できるならチップ部品を使用してください。 ※ 取り外したチップコンデンサは保管しておきましょう。
受信機の改造はこれで終了です。元の青いケースに入れてマシンにセットしてください。 コンデンサを交換しましたので、FET駆動の遅延時間が元の約1/10程度に短くなっています。通常の送信機の信号ではじゅうぶんなスピードが出ませんので、必ず改造した送信機とセットで使用してください。 続いて「送信機」の改造です。 ![]() 後の追加改造でコントローラを「トリガー型」にするのであれば、走行スイッチの両端にもリード線をハンダづけして後付けのスイッチでON/OFFできるようにします。(写真では白の配線) おや、クリスタルが無くなってソケットが付いていますが・・・まぁ今回のテーマじゃ無いので無視してください(^^; 送信機のケースに穴を空けてリード線を外に出します。 ボリュームの取り付けで最も簡単なのはプラ板か何かを使って送信機に接着してしまうことです。 しかし今回はちょっとケースを作って、トリガー風にスピードをコントロールするようにしてみました。
![]() 透明アクリル板で"グリップ"の部分を作り、速度調整用のボリュームとトリガーー板(輪ゴムで引っ張ってます)、トリガー板がいちばん戻った時にパルスを停止する為のマイクロスイッチ(B接点側を使用)を取り付けます。 ![]() トリガーの角は削って丸くしましたが、まだ指先に当たる部分が少し痛かったために黄色のビニルテープを貼って応急的に柔らかくしています。 これで送信機の操作がやりやすくなりました。 通常のラジコン操作と同様に、トリガーを引けば走り始め、最も引ききった所で最高速度になります。 先の回路改造の項でも書いていますが、今回の改造では「微速走行」はできません。 トリガーを引いてパルス停止スイッチが離されると、ある程度のスピード(一応遅いですが)で走りはじめます。 今回の改造は「ラジ四駆用コースの障害物対策」が目的ですので、忌まわしいジャンプ台の前などで安全な速度までスピードは落とすがちゃんと走り続けているという操作が出来る事を目的としたものです。 スピードコントロールのレスポンスは良く、「スイッチを切ったのに惰性で走っている」という感覚は全くなくなりました。
次回の改造では、今回の改造のような基板上からチップ部品を外したりしないで、一部にリード線をハンダ付けするだけで送信機加工が終るような改造を予定しています。
そして受信機側の改造はありません。 つまり車体側はタミヤレギュのままですので公式レースで走らせる車体をそのまま使えます。 友達の無改造のマシンを、専用改造済みの送信機でスピードコントロールして驚かせるということもできるようになります。 送信機の回路自体は改造しませんが、外付けのコントロール回路(別基板)でスピードコントロール化を行います。 送信機とコントロール回路の間はコネクタで簡単に取り外しが出来るようにするつもりですが、一応ケーブル等が付加される為に送信機は公式レギュのレースでは使用できなくなります。 また、基板組み立てなど多少は電子工作ができる人向けとなりますので、単に元の基板の部品を取るだけとかの簡単な改造では無くなると思います。 それでも誰でも作れるカンタンな内容には近づける予定ですが・・・ 記事掲載: 2006/11/12
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