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■気の迷い■
![]() ◆ タミヤ製「AUTO-DISCHARGER/2」を開けてみた ◆
今回のおまけ
◆ 過放電防止(?)「BATTERY ALARM」の製作◆
![]() 予算、約650円
* 記事掲載: 2007/8/2
* BATTERY ALARM 製作記事掲載: 2007/8/12
タミヤから発売されているレーシングパック(充電池)用「オートディスチャージャー」、旧型(黒いボディ)と新型(青いボディ)の二種類の仕様を調べてみました。
※ F氏の依頼で、放電器2台はF氏の提供です。
![]() プラスチック製のボディに沢山の通気口が開けられていて、「いかにも」なデザインです。 スイッチ等は無く、「タミヤコネクター」と呼ばれるタミヤのバッテリー用のコネクタ(メス)にバッテリー付属のコネクタ(オス)を差し込めば放電開始、赤色のLEDが点灯します。 放電が終了するとLEDは消灯します。「オートカット」だそうです。 ![]() こちらには「Ni-MH」「Ni-Cd」を切り替えるスイッチが付いています。終止電圧を切り替えるのでしょうか? 放電のON/OFFスイッチは無く、こちらもバッテリーコネクタを差し込めば放電開始、ケース色に合わせたのでしょうか青色の超高輝度LEDが点灯します。 ミニ四駆用の単3電池専用放電器は「タミヤ製「ニカド自動放電器」性能アップ大作戦!?」ページで性能を調べ、ニッケル水素充電池用に強化改造をしました。 その際に的確な終止電圧で放電を停止させる巧みなトランジスタ回路の存在を確認しましたが、この7.2Vバッテリーパック用の放電器は同じような終止制御回路が入っているのでしょうか。 7.2Vの電源から放電させますので、トランジスタ回路やIC回路を使って正確な終止電圧でカットする電圧比較回路なども容易に組み込めます。 期待を胸に、これら新旧の放電器の性能を探ってゆきましょう。
早速、ケースのネジを外して分解しました。
[注意] 分解するとメーカー保証が受けられなくなります。 また故障や事故の原因になりますので、ご自分の責任で安全に作業する自信のある方以外は分解しないでください。特に放電器は故障すると大きな熱を発生して、火傷・火災・バッテリーの損傷ほか重大な事故の原因になります。 当HPは製品の分解等を推奨するものではありません。分解・改造・メーカー指定外の使い方をされて起きた如何なる結果・損害・損失についても責任は負いません。 ●旧型 ![]() ![]() ※ 市販商品の複製(丸写し)防止の為部品の定数は掲載していません。
真ん中にパワートランジスタと数個の部品が載った基板があり、両脇に放電用のセメント抵抗が2個ついています。セメント抵抗はアルミ板の放熱板に接着されていて熱を逃がすしくみです。抵抗が2個あるのは並列にして電流を分散させ、一個の抵抗の発熱を抑える目的のようです。 基板も放熱板と接着されていて分解できない(し難い)ようになっています。 回路は右側の回路図の通り、ツェナー電圧で放電終了電圧を決めるタイプのオートカット回路です。 バッテリーの電圧がツェナーダイオードのツェナー電圧+トランジスタのVbe電圧より高い場合はベース電流が流れてトランジスタはONになり放電し、それ未満の場合はトランジスタは働かずに放電電流は流れません。 この製品の場合、カット電圧は約4Vになっています。(実測値) ここで注意しなければならないのは、「オートカット」とはいえ電圧判定回路やスイッチ回路による「自動終了方式」では無いということです。 よくあるダイオード+抵抗のオートカットと称する放電回路と同様に、設計値以下の電圧では放電しなくなりますが、その電圧まで下がってからでもバッテリーは接続されっぱなしなので、バッテリーの自己回復力で電圧を戻そうとする働きに対しても放電機能が作動し、設定電圧より回復しようとするとその電圧で放電回路が働いてそれ以上には回復させないようにします。 この時の電圧の設定がバッテリーの正しい終止電圧より低い場合は真綿で首を締めるようにじわじわとバッテリーにダメージを与える「やさしい・バッテリー潰し機能」と私は呼んでいますが、この放電器の場合設定は4V。セルは6個ですから1セルあたり0.6666Vというニカド電池でも少し苦しい「やさしい・バッテリー潰し器」ですね。 単セル放電器でダイオード一個+抵抗で約0.6Vでカットするつもりの回路と同等になるような設計のようです。 もちろん、この放電器は(製造された時期から)「ニカド電池専用です」という事ですから、ニカド電池では多少の過放電ではダメージは少なく、逆にメモリー効果をしっかりと取る為に深く放電させてしまうというラジコン用途の放電のしかたには合った設計と言えるでしょう。 この旧型でニッケル水素タイプのバッテリーパックを放電させた場合、LEDが消えたら早い段階でケーブルを抜いて、それ以上は「じわじわ首締め放電」をさせないように注意しましょう。(ニッケル水素バッテリーの放電はメーカー保証外です) ●新型 ![]() ![]() ※ 市販商品の複製(丸写し)防止の為部品の定数は掲載していません。
中の基板にはたくさんのダイオードが見えます。トランジスタなどの制御用の部品はいっさい見えませんので、ミニ四駆用放電器のような素晴らしいトランジスタ回路による放電制御は全く行われていないようです。 回路図をご覧いただければわかるように、これはまさしく「ダイオード+抵抗」の最も単純な放電器です。回路的には旧型より退化しています。 6セル直列のバッテリーパックでちょうど良い電圧になるようにダイオードが7本も入っています。 基板には「6&8CELL」と印刷されていて、写真の状態では6セル用ですが部品を追加&一部の部品のとりつけ位置を変えることで8セル用の製品として出荷できるようになっています。電動ガンなどの8セル用放電器として、別のケースに入れて売られているのかもしれませんね。 ![]() ダイオードが沢山並んでいますので「もしかして、ダイオードの本数を切り替えて、終止電圧をNi-MHとNi-Cdで適切に変えているちょっと高性能?」という想像ができます。 ニッケル水素充電池を過放電させない正しいNi-MH対応放電器への期待が高かったのですが、回路図を書いて愕然としました。スイッチをNi-Cdに切り替えたら… オートカット無しの永遠放電器!
まさしくデスチャージャー
Ni-MHモードの場合はやはり約4Vが終止電圧に設定されています。Ni-Cdモードの場合、ダイオードのVfによる電流遮断回路を迂回して、抵抗2個の直列回路で電池が0Vになるまで最後まで放電してくれます。 素晴らしきデスチャージ器。 Ni-MH電池に対しては旧型とほとんど変らない「やさしい・バッテリー潰し器」なのですが、Ni-Cdモードにするとまさにリミッター解除!のフルパワーで電池の最後の一滴まで絞り尽くす超高性能過放電器となります。 これもなにもNi-Cd電池の過放電耐性に頼っているところが大きいので、間違ってNi-MH電池をNi-Cdモードで放電して放置したりはしないでください。多大なダメージを与えることになりかねません。 またNi-MHモードでも「やさしい・バッテリー潰し器」には違いありませんので、自己回復力を無理やり押さえつけて過放電電圧をキープさせる事がお好きな方は別として、できればLEDが消えたら可及的速やかにケーブルを外して放電を終了させてあげましょう。 「★放電が終了したら速やかにバッテリーを外してください。」とタミヤの販売サイトにも書かれていますので、「オートカット式」=「寝ている間に放電して、気付くまで放置しておいてOK!」という放電器では無いのです。
さて、この放電器がどのくらいの電流で放電しているのか気になったので調べてみました。
使われている部品(抵抗など)の定数を見れば計算で設計値はすぐにわかりますが、このページでは定数を伏せているので電流は実測値で掲載します。
新旧どちらも基本は300〜400mA程度での放電のようです。(満充電に近い場合最大600mA程度) 新型のNi-Cdモードの場合は直結用の抵抗で回路がバイパスされるので少し電流が多くなっています。 この放電電流では最近の大容量パックの場合は時間がかかりますね。 新型で新品に近いバッテリーパックで、セルの状態が揃っているものの場合は電池の種類がNi-MHもNi-Cdもどちらも6V以下にはストンと電圧が下がりますので、表の中の6〜7.2V(満充電に近いものでは7.5V以上)程度の電流での放電が長時間続きます。 新型でNi-MHの場合は約5V(1セル0.8V強)前後でLEDは消灯しますから、LEDの消灯を確認したらすぐにバッテリーを外しましょう。 LEDが消灯する頃には放電電流がわずかになっていますので以後は非常にゆるやかに電圧が下がってゆきますので、しばらくはそのまま放置しても大丈夫ですが、長時間放置すると徐々に放電は続いてしまいます。 Ni-MHモードでは電池にダメージを与え難い5V程度の電圧をしばらくは維持しますので、使い方さえ誤らなければ(LEDが消えた後に長期間放置しなければ)すぐには電池を痛めることは無さそうです。 (パック内の各セルのコンディションにもよりますのでご注意を) 新型でNi-Cdモードに切り替えた場合はリミッター解除!で、電池の電圧が0Vになるまでずっと放電が続きます。 その場合でもLEDは4V程度で消灯しますので、強制0V化をしたい以外はLEDが消えたら早い目にバッテリーを取り外すほうが良いでしょう。
あ、今回はパワーアップ改造は無しです(^^;
「改造してみたいけどやり方がわからない」「どう改造すればよいですか?」等のご質問もご遠慮ください。この放電器に関しては改造の予定も考えもありません。 「タミヤの7.2V放電器が新しくなったけど、どうよ?」という話で旧型と新型の比較をしてみるのが目的でしたので、上記の分解と放電電流の調査で全て終了です。 放電器は2個とも無改造で持ち主に返しますので以後はこちらで改造や部品交換の実証試験はできません。 もし高性能化するなら、これを改造するよりちゃんと「終止電圧可変(セル数変更も対応)」や「放電電流可変」のコントロール回路を作った高機能放電器を設計したほうが楽しいです。安くても設定電圧や電流のデジタル表示とかカッコイイ物を!(笑) ミニ四駆用放電器ではその高機能ぶりに驚かせてくれたタミヤ製の放電器ですが、ラジコン用ではほとんど素人が作るのと変らない簡単な物がメーカー製ケースに入れられているだけという、なんだか肩透かしを食らった感じに終りました。 これでも電子部品を集めて自作できないラジコンファンの方にはじゅうぶん価格に見合った働きはしてくれますので、(安全性もメーカーが保証する)市販の製品としては必要に応じて購入して使うには価格も手頃で良いのではないでしょうか。 特にデスチャージ機能(Ni-Cdモード)を使わないのであれば、約3000円する新型より場所によっては1000円を下回っている旧型でも、放電性能自体はほとんど変りませんので(Ni-MHの使用は危険性を熟知した上の自己責任で)旧型で安く済ませるという手もありますね。 ※※ 緊急追加!? ※※ 2007/8/12
![]() 「バッテリープロテクター(指定電圧での自動OFF回路)」でも良かったのですが、それだと別にタミヤ放電器を繋がなくても放電抵抗を繋ぐだけで完全な「放電器」が出来てしまいますので面白くありません。 「このタミヤ放電器を活用する為のサポート装置」という位置付けで、「★放電が終了したら速やかにバッテリーを外してください。」という「タミヤの天の声」に我々愚民が絶対服従を誓う為の装置を考えました。(…嘘50%です) いや、この素晴らしい放電器に敬意を表して、改造などして手を加えるなんてもってのほか、究極の高機能はそのままになんとか「放電しながら寝てしまう」ような気合の足りない私でもちゃんと放電が終了したら速やかにバッテリーを外せるようになんとかできないものかと無い知恵を絞って、人間の足りない部分を補うヒューマン・サポート・テクノロジーの粋を集めた装置を設計しました。(…余計にうそ臭い) ![]() 放電機能・性能には全く変化はありませんが、放電中のバッテリーの電圧を監視して指定の電圧未満になったら ピピピピピピピ…
とアラーム音を鳴らして「バッテリーを外して!」とお知らせしてくれます。 なんて便利なんでしょう
(ああ悲しい・・・)これで私達はたとえ放電させたまま寝ていても、アラーム音に気付いてバッテリーを外せばタミヤへの絶対服従が果たせるのです。 放電させたまま外出する時はポケットにバッテリーと放電器とBATTERY ALARMを入れて放電しながら軽やかに出かけましょう!(発熱にだけは注意して、放電器は外に出しておきましょう) 電車に乗っていても、映画館で映画を見ていても、どこでもバッテリーの放電が終了したらBATTERY ALARMがピピピピ…と放電終了をお知らせしてくれます。 (その結果何が起きても私は責任は持ちません)
冗談はさておき、回路図と基板のパターン図は次の通りです。 ![]() バッテリーの電圧をツェナーダイオードとトランジスタの電圧監視回路でチェックし、設定電圧(今回は約5.5V)を下回ると4011Bで作っている発振回路を動作させて圧電ブザーを「ピピピピ…」と鳴らします。 音程は約2KHz(そのまま聞くとピーという感じの電子音)で、それを約10Hzで断続して「ピピピピ…」という感じの警告音にしています。 100円ショップで売っている目覚し時計の電子音に似た感じです。 鳴動開始の設定電圧はツェナーダイオードのツェナー電圧+トランジスタの動作電圧ですので、ツェナー電圧の表記+0.2〜0.5V程度となります。 ツェナーダイオードの個体差(誤差)などで多少の違いがありますので、製作された場合は最大±0.2V程度の違いがある場合があります。 今回はRD5.1E(5.1V)を使用することで5.5Vを下回ると鳴り始めるよう設計しています。 5.5VはAUTO DISCHARGER 2(新型)のNi-MHモードでLEDが暗くなりはじめる電圧です。旧型でもだいたい同じくらいの電圧でLEDが暗くなりはじめます。 ですのでBATTERY ALARMが「バッテリーを外して!」と鳴り始めたらLEDの点灯状態を見て、じゅうぶんに暗いか消灯していればすぐさまバッテリーを外しましょう。 まだ明るく点灯している場合は、お好みのタイミングで外してください。 鳴動開始の設定電圧を変更したい場合は任意のツェナーダイオードに変更してください。(明らかに動作しないような範囲のものは除く) 本回路の電源はそのままバッテリーパックからもらっています。 満充電で8V強、通常は7.2V前後。放電が進んで「オートカット」で最終的に維持される電圧は4V前後。 という事で、使用するICはC-MOS ICの4011Bを選択しています。 C-MOS ICの4000Bシリーズは動作電圧が18〜3Vと非常に広く、今回のような8〜4V程度に変化する電源でも特に別途安定化電源回路などを用意しなくても動作するのでたいへん便利です。 元々はデジタル回路用のロジックICなのですが、今回は厳密な論理回路として使用するのではなく、アナログ的な発振回路として利用するので特に電源に厳密には拘りません。 4011Bは各社から互換品が出ていますので、C-MOSロジックICを取り扱っている店ならどこでも入手可能です。 ほかのトランジスタ・ツェナーダイオード・抵抗・コンデンサなどもごく一般的な部品なので入手困難な事は無いでしょう。 圧電ブザーは「発振回路なし」のタイプです。 電源を繋ぐだけで「ピー」と鳴る「発振回路あり」の物もありますが、今回は音を鳴らす為の発振回路を4011Bで作りますので、圧電ブザーは単なる「圧電素子のみ」のタイプを使用します。(回路側で自由に音程を設計できますし)
![]() 基板全体のサイズはケースにちょうど収まる大きさにカットしています。 ケースに入れると特にネジなどで固定しなくても良いように・・・(押し込むだけ) ![]() ケースはメタリック塗装して、てきとーにシールを貼って完成。 ![]() ケース表面の穴は圧電ブザーの音の出る穴です。 圧電ブーザーは接着剤でケース内側に固定しています。 本機は「調整箇所」はありませんので、組み立てが間違っていなければちゃんと鳴ります。 バッテリーに繋いで本機から煙が出たりバッテリーが熱くならないかテストしましょう。 電流計をお持ちでしたら、バッテリーと本機だけ繋いだ時の電流はまだ電気が大量に残っているバッテリーで10mA〜20mA程度です。 もちろんバッテリーを繋いだ時点では普通はバッテリー電圧は5.5V以上ありますのでブザーは鳴りません。 可変電圧電源装置をお持ちの方は、バッテリーの代わりに電源装置を繋いで8V程度から徐々に電圧を下げていって、約5.5Vを下回るあたりでブザーが鳴り始めることを確認してください。 可変電圧電源装置をお持ちでない方は、単3電池2〜3本で3〜4.5V程度の電圧を本機に入力したらブザーが鳴ることを確認することで動作試験ができます。 そういう試験も出来ない場合は・・・素直にバッテリーと放電器を繋いで実際に放電してみて、放電器のLEDが暗くなるか消えるくらいのタイミングで本機のブザーが鳴り始める事を確認してください。 鳴らない場合は回路の組み立てをよく確認してください。 音量は目覚まし時計の半分くらい、静かな室内では十分気付く音量です。 屋外や走行音のうるさいサーキットではちょっと聞き取り辛いかもしれません。 先にも書きましたが電源は放電中のバッテリーからもらっています。 5V時で約10mA程度ですので、放電終了間近で放電電流が減っている時でもこのBATTERY ALARMのせいで急激に過放電してしまうような心配はありません。 しかしバッテリーを外す事をお知らせする為の機器ですので、鳴ったらバッテリーは外してください。鳴っている間もごく微量ずつはバッテリーの電力を消費しています。 Ni-Cdモードにして0Vまで放電しようとしている場合は、一応2V弱程度まで鳴り続けます。もちろん音量は非常に小さくなって実用的ではありませんが。 ● さいごに このBATTERY ALARMはタミヤの放電器専用というわけではありませんので、ほかのメーカーの放電器や自作で7.2Vバッテリーを放電させる抵抗や電球などの放電器を製作されている方もお使い頂けます。(コネクター等は適宜変更してください) 鳴動開始電圧を6.4〜6.6V程度(RD6.2E)に変更すれば8.4Vバッテリーパックの過放電防止アラームにも使えます。(但し8.4Vに対応した放電器を使用すること) ◇ 関連記事 ◇
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