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■気の迷い■
![]() ◆ タミヤ製「ニカド自動放電器」性能アップ大作戦 ◆
タミヤから発売されているミニ四駆用の「ニカドバッテリー自動放電器」、1000円(ジョーシン店頭特価では840円)という手頃な価格で単三充電池を放電させる機器としてはリーズナブルな製品です。
しかし開発された当初は今のような高容量のニッケル水素電池は無く700〜1000mAhのニカド電池用に設計されています。 また子供が使うものですから、多少乱暴に扱っても事故の無いようかなりの安全係数で作られています。 現在主流のニッケル水素電池を本製品で放電させようとすると気が遠くなるほど時間がかかったりして実用的とは言えません。 そこでこのニカド専用放電器をいまどきのニッケル水素電池対応の高性能放電器に改造できないかを調査(そして改造)するとともに、いくつかの疑問点を解決してゆきたいと思います。
「放電器」とはなんでしょう?
ニカド電池・ニッケル水素電池は、完全に放電(*1)せずに使いかけで充電すると電池内部でその途中充電した容量を記憶してしまい、フル充電してもその記憶した途中の時点までしか使えなくなってしまう性質があります。これを「メモリー効果」と言います。メモリー効果が起きてしまった電池は本来の性能をフルに発揮することができません。 メモリー効果が起きてしまった電池を元の状態に戻すには、完全に放電(*1)してからフル充電することを数回繰り返せば戻ると言われています。 また、使用途中に充電しなければならない場合には一度放電してバッテリーを空(*1)にしてから充電する(この一連の操作を「リフレッシュ」と言います)とメモリー効果は起きません。 最近では「リフレッシュ機能」つきの充電器も発売されていて、自動的に放電と充電を順次行ってくれて常にベストな状態を保つ製品もあります。
(*1) 「完全に放電」とは電気が無くなるまで放電するのではなく、
電池に定められた終止電圧(約1V)まで放電することです。 本当に空になるまで放電すると電池を痛めてしまいます。 使用する機器によりバッテリーをどれくらい使用してから充電するのかもバラバラですし、ミニ四駆のようにモーターがまだまだ回るけどスピードが落ちたのでもう使わないで充電するというまるで「メモリー効果を起こしてくれ!」と言わんがばかりの使い方をするには放電器は必要不可欠となります。
(注)
ニカド電池では大きな問題だったメモリー効果は
ニッケル水素電池ではかなり改善されています。 また最近ではほとんどメモリー効果の無い 新型のニッケル水素電池も発売されています。
そこで手軽に使えて安価なタミヤ製の放電器がよく使われているのですが、いくつかの疑問も聞かれます。
疑問1.本当に放電の終了を正しく検知しているのか? 先に書きましたように、ニカド電池・ニッケル水素電池は終止電圧(約1V)を越えて放電させると電池を痛めてしまいます。 ですので放電させるのに「懐中電灯に入れて電気を点けっぱなしにして消えるまで放置」「モーターを回しっ放しにして止まるまで放置」するようなことをすると、過放電で電池の性能が著しく悪くなります。 タミヤ放電器では放電中を示す赤色LEDがついていて、放電が終わると消灯すると書かれています。 たった1000円の機器で放電終止電圧の検出をちゃんと行っているのか? 終止電圧を検知してスイッチが切れる感じではなく、なんとなくぼ〜っとLEDが消えて行くけど、ダイオード直列法のような非常に簡易な終止電圧保持回路ではないのか? 疑問2.放電電流はどれくらい? 実際に「2000mAhのeneloopを放電したら一晩でも終らなかった」という話を聞きました。放電が終ったら充電器に入れて充電しようとしたけど一晩中寝れなかった(苦笑)という悲劇が… 果たして本製品の放電電流はどれくらいなのでしょうか? 「モーターを回したほうが早い」という噂は本当? また放電回路はどのような物なのでしょうか? それは改造可能なのでしょうか?
それでは早速中を見て見ましょう。
ケースの裏でビス2本で蓋を閉じています。 1本はすぐ見えますが、もう一本は説明書になっているシールで隠れています。シールを剥がすか指で探ってビス穴のある所を少し破ってビスを外します。 ケースを開けると上部に回路基板があります。 基板は電池ホルダーの金属端子にハンダづけされて固定されていますので、ハンダ吸い取り器などでハンダを取り去って外します。 ![]() トランジスタ5石、8.2Ω金属皮膜抵抗を負荷にした放電回路であることがわかります。 最近の放電器では主流の基準電圧発生チップや電圧比較器は影も形も見えません。PICマイコンのような小型CPUによる制御でもありません。 しかしトランジスタが5石も使われているところを見ると、単に電圧がある限り負荷抵抗に電流を流しっ放しにしているだけでは無さそうです。何らかの放電制御回路が組まれていると考えるのが妥当でしょう。 基板パターンを解析して回路図を作成してみました。 ![]() ※コピー品が作成できるため、型番・部品定数は書いていません。
回路図の左側半分が「放電の開始・終了(保持)の制御部」です。右側半分が「放電回路」です。実際に放電をしているのはこちらです。 ●放電回路を見てみましょう。 ![]() LEDもR10と並列に接続されていますので点灯します。 ![]() つまり、この放電回路はQ3のベースに電流を流すか流さないかでON/OFFできます。 ●放電の開始・終了(保持)の制御部を見てみましょう。 ![]() Q1のベースにはR1:(R4+R6)の比で分圧された電源電圧(電池電圧)が加えられます。(赤線) この分圧された電圧でQ1が動作する点を電池の終止電圧になるように各抵抗値は計算されています。(ここ重要!) Q2は放電停止制御用のトランジスタで、ベースにはR2R3R5を経由して電流(青線)が流れる回路ですが、R3C1で構成される積分回路のため電源投入直後はC1に電荷が溜まっていないのでC1に電流が流れ、C1の充電が終るまでR5に電流が流れませんのでQ2はONにはなりません。 Q2がOFFの状態なので、R6R7を通ってQ3のベースに電流が流れますから放電回路はONになります。 (本当は、電池をセットした瞬間にQ1が電圧チェックをして放電が必要な場合は最初からONになりますのでR3C1の積分回路が充電されることはありません。もし放電の必要の無い電池をセットしたら、Q1はONにならないのでC1が充電されるまでの一瞬だけQ2がONにはならずに放電回路をONにしC1の充電完了と共に放電OFF状態になります、その放電ONの間一瞬だけLEDがピカッと点灯します。) ![]() Q1がONの場合R3C1の積分回路には電流が流れません。C1は放電した状態を保たれます。 C1が充電されていないとQ2は働かないので、R7から先の放電回路はONのままです。 ![]() Q1がOFFになるとR3C1の積分回路に電流が流れ、C1の充電が始まりますが、C1が充電されるまで(ほんの一瞬ですが)はまだ放電回路はONのままです。 ![]() これで放電終了です。 単純にQ1の電圧検知部からQ2の充電停止制御部を直接接続しているのではなく、R4C1の積分回路でヒステリシスを持たせているのは、電池挿入時の微接触不良など(子供が扱う物ですし)を規定値までの電圧低下と誤判断して放電を停止してしまわないようにしているものと考えられます。 そしてQ2がONになったことで同時にR4R1にも電流が流れなくなります。 ここがこの回路の第二の重要ポイント! R4R1の分圧回路に電流が流れなくなると、絶対にQ1がONになることはありません。つまり一度放電OFFになると電源を切る(電池を外す)まで二度と放電を再開することはありません。検出回路がOFFでロックされた状態が作られます。 なぜ「検出回路がOFFでロック」みたいな面倒なことをしているのでしょうか? 基準電圧を調べて放電のON/OFFをスイッチするだけではだめ? 電池は負荷をかけて電流を流す間は電圧が下がりますが、負荷を外してしまうと自己回復力でまた電圧がある程度まで上がってゆきます。 もし単に「規定電圧より上なら放電ON、下なら放電OFF」とだけ検査していたら、放電を停止させた後に回復した電圧でまた放電を開始し、放電停止と再開を延々と繰り返して、電圧が残っている限りエネルギーを搾り出すことになり電池を痛めてしまいます。 そうならないように、放電器では終止電圧まで放電したことを検知したら、放電を止めてそのまま再度放電を続けないようにすることが必要なのです。 放電器を使用することは、先に書きました「懐中電灯をつけて放置する」のとは違うことがおわかりいただけるかと思います。 現在主流の放電器では、精密な基準電圧発生ICや高性能コンパレータ(比較器)、またはA/D変換回路を内蔵したワンチップマイコンなど技術の粋を集めた電子回路で制御することが多いのですが、本機ではたったトランジスタ2個と周辺に部品数個でそんな高性能パーツと同じ働きをさせています。 単純なディスクリート部品だけで構成した回路なので精度は多少劣りますが、「ニカド電池の放電器」という機械の目的を達成するぶんには十分な働きをする回路です。 まるでパズルのような動作をするこの回路はアナログ回路の面白さを再認識させてくれます。
さて、本機の中身がどうなっているかは解析できました。
本当に放電の終了を正しく検知しているのか? だいたい正しく検知しています 実際に測定したところ、電圧検知部でほぼ「1.9V〜1.8V」で放電を停止させています。 1セルあたり0.95V〜0.9V程度となりますので、0.1V程度深く放電させてしまうこともありますが、だからといって電池を激しく痛めるような過放電ではありません。 多少のブレがありますが、単純な回路ですのでこのくらいは許容範囲内です。 放電電流はどれくらい? 最大約300mA、放電終了前約150mA 単純計算では、バッテリー2本で2.6Vを8.2Ωの負荷抵抗にかけた場合、約317mAとなります。 終止電圧間近の2.0V(よりちょっとだけ上)を8.2Ωの負荷抵抗にかけた場合、計算上は約244mAとなりますが実際には180mA程度しか流れていません。 これは放電スイッチで使用しているトランジスタ(Q5)のコレクタ−エミッタ間が完全に0Vとならない為(トランジスタの性質で飽和電圧といいます)で、実測で約0.5Vでした。 負荷抵抗にかかる電圧は2.0V−約0.5Vで1.5V、8.2Ωに1.5Vかけると電流は約183mAですので実測値とほぼ合いますね。 モーターを回したほうが放電は早い? 残念ながら、モーターを回したほうが早いです
電源はフル充電後に少しモーターを回したニッケル水素電池。 同じモーターでも個体差があると思いますが、単にモーターを回すだけでも無改造の放電器よりは多い電流で放電していることになります。 但しモーターでは終止電圧で自動的に止まってはくれませんので、充電容量がまだまだたくさん残っている電池をある程度まで放電するのには無改造の放電器よりはモーター(または台に固定して車輪を浮かせたミニ四駆)のほうが良いということです。 益々この放電器を改造して、より早く放電できるものにしなければなりません。 放電回路はどんな回路?改造は可能? 回路は上記の解析のとおり、改造は「可能」です 回路を解析した結果、大容量のNi−MH電池対応に改造できます。 LEDの表示は正しい? 実は‥‥正しくないです 放電終了が近づくと電池電圧は2.0V近くまで下がります。 その時点では放電電流の項で説明していますが負荷抵抗まわりの回路は右図のような等価回路となります。 ここでまずLED+制限抵抗にかかっている電圧はLEDの順方向電圧の2Vより低くなっていて、薄暗くぼ〜っと点灯する程度の電圧です。 それだけならぼ〜っと光るのですが、負荷抵抗の8.2Ωと並列接続されているためにLEDを光らせるのに十分な電流が得られなくなってしまいます。(詳しい計算式は省略します) そのため、放電完了になる前に既にLEDは暗くなり消えてしまいます。 「LEDが消えたら放電完了」と説明書に書かれていますが、実はLEDが消えたタイミングではまだ放電中です。 かなり放電完了に近い電圧まで下がっていますので、その時点で電池を外しても大きな問題ではありませんが、この事実を知ってしまうとLEDが消えたタイミングで電池を外すのはなんとなく嫌になりますよね。 かと言ってその後実際に放電がOFFになったことを外見から知る術はありません。 電池の端子にテスターを当てて電圧をずっと見続けるなんてムダな事はしたくありませんし、無改造の本機ではLED消灯からしばらく放置で本当の放電完了とするしか無いですね。 寝る前に放電器にセットして、朝起きたらLEDが消えていた!ならLEDが消えてからじゅうぶんに時間が経っているので大丈夫でしょう。 これは改造ポイントに追加しなければなりませんね。
改造1.放電電流を1A程度までパワーアップする
大容量ニッケル水素電池を従来のニカド電池と同等の時間で放電できる「ニッケル水素電池対応放電器」になるよう改造します。 放電電流を1A程度にし、そのための回路部品変更と増加する放熱対策について考えます。 ※ニッケル水素電池なら2A放電程度でも電池自体は大丈夫なのですが、放電回路の発熱の関係で今回は1Aまでとします。 改造2.放電電流を自由にコントロール(可変)にする(できたらいいな) 大容量対応化のついでに、放電電流がボリュームで自由に変更できると嬉しい。 電池にあわせて放電電流を変更できると何かと便利かもしれない。 ボリュームで変更が無理なら、スイッチで「ニカド」「ニッケル水素」モードを切り替えられるだけでも良い。 改造3.LED表示が放電完了まで灯いているようにする(できたらいいな) LEDが正しく「充電中」を表示するようにできないか? 色々と部品を追加する事で目的を達成することは可能。 しかし「いかに物を追加しないか」というこのコーナーの基本(貧乏)姿勢は貫きたい。 ケースの空き空間が少ないので、あまり部品を増やすと熱問題にも関わってきてあまり良くない。 改造4.できるだけ原型をとどめる 改造したは良いが、ケースの外に発熱する抵抗が出ていたりするのは不恰好な上に持ち運び時に破損したりする。 できるだけケースの外観は変わらないように中の改造だけで済ます。 発熱の関係でこれは無理かもしれない・・・。 さて、これらの希望が叶えられるのか、実際の改造記事に続きます。
全体の回路を解析したところで、放電電流を変更するには回路図の左側の制御部には何も手を加える必要が無いことがわかります。
改造するのは右側の放電回路です。 ![]() 放電電流はR10とQ5を通って流れます。 R5は8.2Ωですので単純計算で流れる電流は(バッテリー電圧2.4V時)293mAです。 (本当はトランジスタのVce電圧を差し引いて計算する必要がありますが…) それを駆動しているQ5に使用しているトランジスタはIce=800mA、hfe=200(160〜320)のもので、この電流を駆動するには十分なものです。 ![]() ![]() しかし、トランジスタには480mAまでしかドライブするようにはなっていませんので、単に抵抗を変えただけでは1A放電器にはなりません。 ![]() そこでこのスイッチング用のトランジスタも大きな規格の物に取り替えます。 今回使用したのは2SC4685(ストロボ/中電力増幅用)です。Ice=5Aなので今回の1A程度の使用なら余裕です。また大電流をコントロールするための増幅率(hfe)も非常に高く、飽和電圧も低いので今回のような低電圧回路で大電流を流すには良いトランジスタです。(105円) 更に中電力用にしてはパッケージが小型なので今回のQ5を取り外した基板穴にぴったりのサイズなので好都合です。 ![]() トランジスタに流れる電流の量はベース電流でコントロールできますから、Q5のベース電流を絞ってやれば放電電流を制限することになります。 ![]() ![]() 負荷電流の可変実験や、各部の電圧・電流の状態などを詳しく検査して問題が無いかチェックします。 さて、3つ目の課題「LED表示が放電完了まで灯いているようにする」にとりかかる前に、R10の値を小さなものに変更した弊害が発生しています。 「電流負け」です。 R10の値を小さくしたせいで、並列に接続されているR11+LEDの表示回路に送るパワーがより少なくなると思ってください。(細かく説明すると長くなるので…) まえにも増して放電完了前にLEDがより暗く、より早く消えてしまうようになりました。 ですので、「LED表示が放電完了まで灯いているようにする」改造は「できたらいいなー」ではなく「重要な改造課題」となったのです。 さてどうしたものか・・・・じっと手を見る。 すると目に入ったのはさっき取り外した元Q5のトランジスタ。 「これを使わない手は無い!」ということで、もしかしたら捨ててしまっていたかもしれないQ5を再利用した回路が次の改造です。 (意外と使い勝手の良さそうな石だったので、多分捨てずに部品箱に入れておいたでしょうけど) ![]() LEDのカソードをQ5のコレクタから切り離し、放電回路とは別に「LED点灯専用ドライバ」を元Q5のトランジスタでQ6として作ります。 リサイクル時代にふさわしい廃品利用です。エコですよエコ! 点灯コントロールはQ3をコントロールしている「放電/停止コントロール」点(Q2のコレクタ)から10KΩの抵抗(5円)を介して頂きます。ここに部品を追加するということは「終止電圧の検知回路」に少なからず影響を与えます。 (放電用トランジスタを制御しているQ4のコレクタあたりから取るということも考えましたが、そこは可変抵抗をつけていたりして電圧が変動する点なのであえてここはQ2のコレクタにしました) この影響の調査と改良は次に回すとして、これで3つ目の課題「LED表示が放電完了まで灯いているようにする」もクリアしました。 以前のようにぼ〜っと暗くなって、いつ放電が終ったのかわからないのではなく、放電終了と同時にパッと消えます。(大電流放電では最後のほうは多少暗くなります) これを見ていたら、「メロディーICでもつけて、放電完了を知らせるオルゴールが鳴ると嬉しいかも」とか、野望は膨らみます。 ![]() 具体的には、Q1で行っている終止電圧検知用のチェック電圧がほんのわずかに下がりますので「メーカーの設計より高い電圧で停止してしまう」ことになります。 そういえば最初に調査した時に1.9〜1.8Vと多少低い電圧で終了しているという結果が出ていますので、これが「2.0Vで終止するように調整できるかもしれない」という『副作用』が望めるのではないか?という実験を行うことになりました。 右の写真は実験中の様子です。完成直前で色々と検査用の配線が接続されています。2SC4685に放熱板を付けている様子も見れます。 Q6へのベース電流制限抵抗を半固定で変更したり固定抵抗を色々と取り替えたりして調整した結果、10KΩで最小放電時ほぼ丁度2.0V(2.006V前後)で放電終了することがわかりました。 但しこれは無負荷時で、負荷に大電流を流すほど検知点が下がります。1A放電ではやはり1.8Vくらいまで下がりますので元のメーカー設計状態とほとんど変わりませんでした。 あまり意味無し。
![]() 負荷抵抗の消費電力は流す電流に応じて大きくなります。(青線) トランジスタが消費する電力は電流が約600mAの時点で最高となります。(紫線) 両方をあわせた消費電力は流す電流に比例します。(黄線) ※400〜1200mAが半固定抵抗で可変できる実際の領域 この消費電力はそのまま「熱」になって空気中に発散されます。 ![]() しかし(電子部品として)特に冷却をしなければならないほどの温度ではなく、密閉せずに空気が循環する状態であれば問題ありません。(写真→) トランジスタのほうも少し熱を帯びています。 こちらは高熱で壊れてしまう部品ですので、安全のために熱伝導の良い銅版で小さな放熱板を作ってとりつけました。 ![]() 2.5Wの発熱源をケースに入れたらどれくらい熱くなるのか測定してみましょう。(写真→) 1A放電を続けて、本体内の回路基板付近で約50〜60度でした。 負荷抵抗の真上のケース内で約70〜80度、ぎりぎりプラスチックが変形しない限界ですね…。 (大出力のオーディオアンプなんかだとよくある温度です) ケース側面の下側にドリルで数箇所穴をあけて空気の通り道を作り放熱効果を上げてみましたが、約1度くらい下がるだけでほとんど効果はありませんでした。 もし2A以上の電流で放電する装置にすると、とてもこのプラスチックケースでは耐えられない温度になります。「できるだけ原型をとどめる」ために外に部品を出したり大きな放熱板を付けたりしないためには1A放電が限界です。 現在の状態でケース外側では触って「あったかい」と感じるくらいなので、燃えたりヤケドをしたりする温度ではありませんが、フル充電のニッケル水素電池を放電させるなどの無意味なハイパワー放電はあまりしないほうが良いです。 また、放電中は本機を逆さにしたりすると熱が中の基板のほうに回りますので電子部品の寿命を縮めます。必ず電池が上になるように置いて使用します。 間違っても使用中に放熱口を塞いだり、本機に布を被せたりしないように!
今回の改造のまとめです。
改造費用(部品代のみ)201円。 記事掲載: 2006年4月5日
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